五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

朝日新聞の報道に見る佐賀県知事のトーンダウン

 長崎新幹線の全線フル規格化に向けて、またマイナス材料となるニュースが飛び込んできました。

mainichi.jp

 発言の内容は失言としても論外で、佐賀県知事に対して失礼であるだけでなく、何よりも韓国や北朝鮮に対して失礼です。もし、谷川弥一議員が自民党ではなく日本維新の会に所属していたら、今頃とっくに維新から除名処分を喰らった上、松井一郎代表が佐賀県庁まで謝罪に訪問し、国会では谷川弥一議員の辞職勧告決議案が提出されていた事でしょう。しかし、実際には山口祥義知事はこのような談話を発表しています。

www.saga-s.co.jp

 丸山穂高議員と同質の失言・暴言の直後にも関わらず、「しっかり向き合いながら誠意を持って対応していきたい」という談話を引き出せる辺りに、自民党の強かさを感じます。

 さて、今回の談話は、第15回佐賀県GM21ミーティング時の記者会見において発表されたものです。

www.pref.saga.lg.jp

 当然ながら、この席上でも長崎新幹線北朝鮮発言が話題に上る事になった訳ですが、そのトーンは報道機関によって大きく異なります。佐賀新聞が「在来線を活用する一点で長崎県と合意し、互いに知恵を出し合いながらやってきた」とする山口祥義知事の発言を強調しているのは先掲記事の通りですが、読売新聞も「新幹線整備を求めていない」とする山口祥義知事の発言を強調し、そこに鹿島市長や小城市長が同調した事も記事にしています。

www.yomiuri.co.jp

 一方で、朝日新聞の記事では、「長崎がどうしてもというなら、新しい話として議論したい」とした山口祥義知事の発言に注目しています。

www.asahi.com

 つい最近、山口祥義知事は「負担ゼロでも認めない」と気勢を上げ、県内だけでなく県外からも喝采を浴びたものですが、この発言がハイライトされてしまうと、整備新幹線のスキームを使わないのであれば、佐賀県内での新幹線建設を認める」という趣旨だと誤解されてしまいます。

 勿論、「負担ゼロでも認めない」という発言自体が有権者へのリップサービスでしかなく、水面下では副島良彦副知事共々全線フル規格化の財源負担に係る条件闘争を続けていたという事であれば、単なるソフトランディング狙いの発言と解釈する事は可能です。しかし、昨年の佐賀県知事選挙で全線フル規格化推進派が対抗馬を擁立できなかった所を見ても解るように、佐賀県民の大多数は真に長崎新幹線そのものを求めていないのであって、ここへ来て(仮に佐賀県の財政負担が大幅に軽減されるとしても)長崎新幹線の建設容認に転向するような事があれば、今度は山口祥義知事自身の進退問題に直結する事になります。果たして、佐賀県民の真意が「負担ゼロでも認めない」なのか「負担ゼロなら認める」なのかは、長崎県との議論に臨む前に改めて確認しておくべきでしょう。

 山口祥義知事は、武雄温泉=長崎の先行開業までに結論を出せば良いという程度に考えているのかも知れませんが、長崎県JR九州も全線フル規格化で佐賀県を「転ばせる」機会を虎視眈々と狙っています。朝日新聞の報道が事実だとすれば、こんなに短期間で大幅にトーンダウンした事になる訳で、この勢いだと6月までに佐賀県が全線フル規格化で全面降伏させられる事になりかねません。「リレー方式の長期化もやむを得ない」という発言通りに整備方式の議論を長期化させたいのであれば、山口祥義知事は改めて脇を引き締めるべきでしょう。

もしもAnswer×Answerがオンレートだったら(つづき)

 昨日の記事の続きです。

もしもAnswer×Answerがオンレートだったら - 五月原清隆のブログハラスメント

 この記事では、通常の全国対戦を前提にAnswer×Answerをオンレートにする事を考えてみましたが、実際のAnswer×Answerにおいては「特番」としてサバイバルバトル(緑特番)や総当たりバトル(黄特番)が実装されていました。当然ながら、Answer×Answerをオンレートにする場合は、サバイバルバトルや総当たりバトルでもレートが付く事になる訳で、ここでは補足的にこれらの特番やイベント大会のレートを考えてみます。

 

【増1.サバイバルバトルのレート】

 サバイバルバトルは、全員が★×6を持った状態でスタートし、★の数が0以下になったら脱落します。全国対戦では、★×10を基準としてレートを設定しましたが、サバイバルバトルでは最大でも★×8までしか増えない為、★×6からのマイナスについてレートを設定すべきでしょう。

 順位ウマについては全国対戦と同一のものを適用するとして、★のレートは概ね以下の通りでしょうか。

  • 【点5相当】200G(最初に脱落すると▲2,200G)
  • 【ピン相当】1,000G(最初に脱落すると▲9,000G)
  • 【スピードバトル相当】2,000G(最初に脱落すると▲17,000G)
  • 【デカピン相当】20,000G(最初に脱落すると▲150,000G)

 何れも、全国対戦の2倍のレートになっていますが、元々の基準が低い分、特に点5相当はそんなに大きな動きにはなっていません。とは言え、全国対戦が稼働していた当時もサバイバルバトルを苦手にしていた人は多くいましたから、そういう人にとっては強制的にこれだけ持って行かれてしまうのは実に厳つい話でしょう。

 

【増2.総当たりバトルのレート】

 総当たりバトルは、リーグ戦で1vs1の対戦を3試合行い、その上位2名が決勝戦に進出するというものです。当然ながら、★という概念自体がありませんから、順位ウマ以外のレートは得失点差で付ける事になります。

 順位ウマについては全国対戦と同一のものを適用するとして、得失点差のレートは概ね以下の通りでしょうか。

  • 【点5相当】100G(予選で3試合とも完封負けすると▲1,900G)
  • 【ピン相当】500G(予選で3試合とも完封負けすると▲7,500G)
  • 【スピードバトル相当】1,000G(予選で3試合とも完封負けすると▲14,000G)
  • 【デカピン相当】10,000G(予選で3試合とも完封負けすると▲120,000G)

 何れも、全国対戦の★と同価のレートにしていますが、完封負け(0pt - 30pt)の最下位でもそれほど大きくは沈みません。サバイバルバトルとは逆に、普段よりも大人しいレートに感じられる事でしょう。

 

【増3.イベント大会のレート】

 イベント大会は、1vs1の対戦を1クレジット当たり3試合(チケットボーナスがある場合は4試合)行い、タワーを登っていくものです。★の概念がないのは勿論、順位ウマの概念も存在しません。そこで、1試合毎にサシウマを設定し、同時に1試合毎の得失点差にもレートを設定する事とします。

 サシウマ及び得失点差のレートは、概ね以下の通りでしょうか。

  • 【点5相当】サシウマ:500G、得失点差:100G(3試合とも完封負けすると▲2,400G)
  • 【ピン相当】サシウマ:1,000G、得失点差:500G(3試合とも完封負けすると▲7,500G)
  • 【スピードバトル相当】サシウマ:2,000G、得失点差:1,000G(3試合とも完封負けすると▲15,000G)
  • 【デカピン相当】サシウマ:10,000G、得失点差:10,000G(3試合とも完封負けすると▲120,000G)

 クイズ力だけで言うと、Answer×Answer 2以降のイベント大会では絶対にマイナスにはならなかった為、特に下位のプロアンサーにとってはイベント大会は格好の「稼ぎ場」だった訳ですが、オンレートになった瞬間に下位プレイヤーの狩り場となってしまいます。1クレジット当たりの平均プレイ時間も全国大会よりは短くなる為、時間当たりの勝ち負けも全国大会より大きくなる事でしょう。

 

 こうして見ると、特番やタワーもオンレートならそれなりにアツいバトルが期待できそうな感じがします。往時のアンサーの中には、これらのクイズを得意としていた人も多くいますから、全盛期の私がそういう人と戦って何処までの成績を残せたのかは、気になる所です。今となっては、麻雀と同じくらいボロ負けしそうですが。

もしもAnswer×Answerがオンレートだったら

 早いもので、Answer×Answer最後の店舗大会から2年が過ぎました。最近になって、私も少しずつ麻雀を打つ頻度が高くなってきましたが、現役アンサー時代の私は「スポラン部の調整でフェアリーに行く」というハイブリッド生活を送っていました。今でこそ、Mリーグの影響でノーレートの雀荘も増えてきましたが、当時のフリー雀荘は(というか現在のフリー雀荘も)殆どがオンレートで、「ノーレートのクイズ大会の調整をオンレートの麻雀で行う」という、なかなか酔狂な調整でした。

 一般的には、まだまだ「麻雀=ギャンブル」というイメージが強いですが、では実際に麻雀で食えるかとなると結構難しいというのが、福地誠先生の有料noteで書かれていました。

note.mu

 私は、この記事に出てくるような仕事師の域には到底達していませんが、現役アンサー時代は一応「プロ」を名乗れる程度には勝てていました。そんな当時を振り返る度に、「Answer×Answerがオンレートだったら、結構稼げていたんだろうなぁ」という思いが募ってきます。そこで、今回はAnswer×Answerが市井のフリー雀荘と同程度のレートで打つクイズゲームだったらどうなるかを妄想してみました。

 

【共通条件(通常の全国対戦)】

 レートの基本は順位ウマ+★の数です。順位ウマは、4位・3位にそれぞれレートに応じたマイナスを付け、準優勝に一定額のプラスを付けた残りを優勝者に付けます。★の数は、逆転ラウンド終了時に★×10を基準(麻雀で言う返し点)として★1つ当たりにレートを設定し、精算時に加算します。決勝戦では、10pt当たりのレートを設定し、トータルの収支に加算します。

 

【1.点5相当のソフトなレート】

 ここでのレートは、以下の通りです。

  • 順位ウマ:+1,500G/±0G/▲500G/▲1,000G
  • ★×10を基準として、★1つ当たり100G
  • 勝戦では、10pt当たり100Gを加算

 この場合、予選を★×24で通過してから決勝戦でストレート勝ち(30pt獲得で優勝)すると、単純計算で1,500+1,400+300=3,200Gの勝ちとなります。また、予選を★×(-6)で敗退(第1ラウンド・第2ラウンドとも最下位で、逆転ラウンドでも2誤答・正解なしで4位敗退)すると、▲1,000+▲1,600=▲2,600Gの負けとなります。実際の精算では、4位・3位の負け分から準優勝の勝ち分を引いた残りが優勝者の勝ち分となりますから、ここまで大きく勝ち負けが発生する事はないでしょうが、概ね点5のフリー雀荘と同程度の体感レートになる事でしょう。

 

【2.ピン相当の標準的なレート】

 ここでのレートは、以下の通りです。

  • 順位ウマ:+4,000G/±0G/▲1,000G/▲3,000G
  • ★×10を基準として、★1つ当たり500G
  • 勝戦では、10pt当たり500Gを加算

 この場合、予選を★×24で通過してから決勝戦でストレート勝ちすると、単純計算で4,000+7,000+1,500=12,500Gの勝ちとなります。また、予選を★×(-6)で敗退(第1ラウンド・第2ラウンドとも最下位で、逆転ラウンドでも2誤答・正解なしで4位敗退)すると、▲3,000+▲8,000=▲11,000Gの負けとなります。ピンのフリー雀荘では、チップのウェイトが点5よりも大きくなりますから、それなりにチップが動いた際の勝ち負け(それも6万点終了やトビ終了)に近くなり、ギャンブル色が若干濃くなってきます。

 

【3.スピードバトル相当の厳ついレート】

 ここでのレートは、以下の通りです。

  • 順位ウマ:+7,000G/±0G/▲2,000G/▲5,000G
  • ★×10を基準として、★1つ当たり1,000G
  • 勝戦では、10pt当たり1,000Gを加算

 この場合、予選を★×24で通過してから決勝戦でストレート勝ちすると、単純計算で7,000+14,000+3,000=24,000Gの勝ちとなります。また、予選を★×(-6)で敗退(第1ラウンド・第2ラウンドとも最下位で、逆転ラウンドでも2誤答・正解なしで4位敗退)すると、▲5,000+▲16,000=▲21,000Gの負けとなります。東風戦のフリー雀荘だと、かなりのスピードで場が回りますから、体感的にはそれに近いレートになるでしょう。警察当局が「娯楽の範疇」とお目こぼししてくれるかも知れないギリギリのレートです。

 

【4.デカピン相当のマンションレート】

 ここでのレートは、以下の通りです。

  • 順位ウマ:+40,000G/±0G/▲10,000G/▲30,000G
  • ★×10を基準として、★1つ当たり10,000G
  • 勝戦では、10pt当たり10,000Gを加算

 この場合、予選を★×24で通過してから決勝戦でストレート勝ちすると、単純計算で40,000+140,000+30,000=210,000Gの勝ちとなります。また、予選を★×(-6)で敗退(第1ラウンド・第2ラウンドとも最下位で、逆転ラウンドでも2誤答・正解なしで4位敗退)すると、▲30,000+▲160,000=▲190,000Gの負けとなります。こうなると、完全にクイズ賭博の世界ですし、流石にゲームセンターという風俗営業で開帳できるレートではありません。そして、ここまで来ればAnswer×Answerの世界でも仕事師が暗躍する事になるでしょう。

 

 こうして見ると、一般人に毛が生えた程度のプレイヤーが参入できるのは精々ピン相当までで、スピードバトル相当以上のレートになると本職のクイズ屋同士の鉄火場になる事が容易に想像されます。そして、「クイズで1,000万円貯めた男」なんて本が世に出て、プロのクイズ屋が生まれる事になるのでしょう。 

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  そういえば、この題材となった人も今や立派なMリーガーですよね。

大津事故における保育園側の落ち度

 暫く更新が空きました。元々、毎日更新をモットーとするブログではないので、今後も不定期に更新していきます。そして、「二度ある事は三度ある」と身構えていたTwitterスラップ通報ですが、今のところ3回目は来ていない模様です。とは言え、決して油断できる状況ではありませんので、引き続き状況を見守っていきます。

 さて、たまには新幹線以外の事も書きます。

 交通事故ネタは、So-net blog時代に凍結処分を食らう直接の原因となった鬼門ではあるのですが、こういう記事が出てしまうと、やはり黙ってはいられなくなります。

www.j-cast.com

www.kyoto-np.co.jp

 何を以て「落ち度」とするかの定義は色々ですが、取り敢えず保育園側に「交通事故の過失割合」における過失責任がない事について争いはないかと思われます。横断歩道で漫然とスマホを見ながら信号待ちしていた所にもらい事故した所で、歩行者側の過失責任を追及する事は困難だからです。

 しかし、ここまで「保育園に落ち度はない」とばかり繰り返されてしまうと、果たして本当にそう言い切れるのか訝ってしまいます。そして、保育園側の落ち度を考える上で重要な参考資料となるのが、事故現場を撮影したGoogleストリートビューです。

www.huffingtonpost.jp

 事故現場となった大萱六丁目交差点の見取り図は、この記事に載っていました。

www.asahi.com

 大萱六丁目交差点には、歩行者を保護する為のガードレールこそありませんでしたが、一応車道と歩道とを区画する縁石の設置はありました。そして、今回の事故においては、下山真子容疑者が運転していた軽自動車は、この縁石の右側から歩道に侵入し、園児や保育士を跳ね飛ばしています。

 今回、ポイントとなるのはこの縁石です。Googleストリートビューで園児や保育士が待機していた場所は、滋賀県道559号を唐橋東詰交差点方面に南進している車両から見ると、ちょうど縁石の裏側に位置します。交通工学上の精密なシミュレーションを経ないと正しい結論にはならないかも知れませんが、この位置で待機していれば、仮に右直事故が発生したとしても、直進車の速度が縁石で減殺され、或いは進行方向が逸れていた可能性があります。

 そして、今回の事故で園児や保育士が直進車の直撃を受けたという事は、即ち保育士が直進車の歩道への侵入を想定していなかったという事です。これが歩行中の事故であれば、まだ「保育園側に落ち度はなかった」と強弁する事も出来るかも知れません。しかし、今回の事故においては、園児や保育士はあの場所で信号待ちをしていた事が、警察や保育園の発表で明らかにされています。

www3.nhk.or.jp

 もし、Googleストリートビューの画像と同じ場所で信号待ちをしていれば、或いは2名の園児の命は奪われなくて済んだかも知れません。大萱六丁目交差点で発生する様々な交通事故のパターンを想定しても、縁石の裏側に車両が侵入するパターンは他のパターンよりも想定しにくく、今回事故が発生した場所が信号待ちにおいて「最も安全な場所」であったかについては些かの疑問が残ります。そして、この疑問が残る限り、果たして本当に「保育園側には何の落ち度もなかった」と断言できるのかは、改めて批判的に検証する必要があります。

 繰り返しますが、今回の事故における保育園側の過失割合はゼロです。しかし、縦令過失割合がゼロだとしても、交通事故でより重大な損害を受けるのは100%歩行者の方なのです。だからこそ、「落ち度はなかった」と思考停止に陥るのではなく、より安全な選択(或いはより被害を軽減できる選択)を常に追求すべきなのです。そして、保育園児が自らその選択を行う事が難しいからこそ、園児を散歩させる時は保育士により重大な選択責任が課せられるのです。この事は、行政(道路管理者や公安委員会)に道路環境の改善を求めるのと同時に、歩行者への意識啓蒙も進められるべきでしょう。

四国新幹線の問題点

 10連休の最終日に、日帰りで大阪へ行ってきました。メインの目的は麻雀でしたが、折角大阪へ行ったのだからと、おおさか東線を乗り潰すと共に、恵美須町のモモモグラで開催されている「漫画ローレンス展」に行ってきました。

 流石に、お土産を買おうにも、職場に持ち込んだらセクハラで一発レッドカードの限りなくアウトに近いアウトな商品しかありませんでしたから、手ぶらで帰ってきましたけどね。

 さて、またも新幹線ネタです。これまでは長崎新幹線の話ばかりでしたが、今回は四国新幹線の話です。

 このツイート主に些かの事実誤認は見受けられるのですが、私自身は「四国新幹線は不要」という立場です。但し、これはあくまでも四国新幹線整備新幹線として建設するならばという前提であり、四国4県が地域単独事業として四国新幹線を建設するのであれば、住民の総意に基づく限り外野が口を挟むべきではないと考えます。

 整備新幹線のスキームで四国新幹線を建設しようとする場合、その着工時期はどんなに早くても北陸新幹線敦賀=新大阪が開通する2046年度以降になります。現時点でさえ、JR四国の沿線自治体は過疎化に次ぐ過疎化で旅客需要が落ち込んでいるというのに、これから更に四半世紀も経過した後となれば、最早B/Cの計算すら出来ないレベルまで沿線自治体の人口減少が申告になっている事が予想されます。そして、JR四国の経営状態も極めて深刻な事態に陥り、現在のJR北海道のような立場に置かれている事でしょう。

 では、これから速やかに四国新幹線を事業化するならばという話ですが、これは全く現実味がありません。と言うのも、整備新幹線のスキームによる着工を待たないという事であれば、事業費に係る国費負担は一切期待できないという事になりますから、事業費の全額を四国4県や沿線市町村で負担する必要があります。当然ながら、JR四国にも自社事業として四国新幹線を建設できるだけの余裕はありません。構想を練るだけならタダかも知れませんが、いざ四国新幹線を建設しようとなれば、その費用を誰が負担するのかという議論で早々に行き詰まってしまいます。

 となると、今度は「四国4県の身の丈に合った輸送力増強」という事で在来線の改良という考え方も出てきますが、残念ながらJR四国の在来線に改良の余地は殆ど残されていません。JR四国の特急形車両が振り子式車両ばかりなのは、それだけ在来線の線形が悪いという事でもあり、これを改良するとなると線路の大幅な付け替えが必要になってしまいます。新幹線であれば、駅付近以外は山間部を長大トンネルで貫く事も可能ですが、在来線の改良となると既存駅の経由は不可避となる訳で、若干の駅移設を受容するにしても土地買収費用だけで膨大な金額になってしまいます。勿論、複線化なんかしようものなら、更に事業費は膨れ上がってしまいます。

 国鉄分割民営化から30年余のJR四国の歴史は、血反吐を吐くような努力で特急列車を高速化しても、結局は高速道路の開通でフルボッコにされるという繰り返しでした。その昔、国鉄改革において角本良平氏が「四国の線路は全て剥がしてしまうべき」と主張していましたが、四国新幹線を建設する財源が沿線自治体になく、整備新幹線のスキームで順番待ちしている間にJR四国の体力が尽きる可能性も高い事を考えると、これからのJR四国が進むべき道は、現状維持よりも寧ろ縮小均衡です。どんなに在来線特急を高速化した所で、線形という根本的な問題が解消されない以上、高速道路を走行する自家用車や高速バスへの勝ち目はないのですから、先ずは車体傾斜式車両による高速化自体を諦める所から始めるべきです。振り子式車両に代表される車体傾斜式車両は、開発費や維持費が高額になるだけでなく、軌道への負担も大きくなります。それならば、今後開発・導入する特急形車両は、車体傾斜装置を省略し、最高速度も予讃線で110km/h程度に抑えた方が、高速バスとの競争力こそ失っても、特急形車両として「維持可能」なものになるでしょう。

 そして、これらの縮小均衡により特急列車も普通列車も採算を維持できなくなるのであれば、その時はいよいよ「四国における鉄道の要否」というテーマに真正面から向き合うべきです。正直な所、四国程度の人口規模や経済規模しかないのであれば、都市間輸送において鉄道と高速道路との両立が必要とまでは言えない可能性もあります。少なくとも、形式上は民間企業であるJR四国に路線維持の負担を押し付けるのは酷な話で、在来線を維持しようとするのであれば、四国新幹線の建設の有無に関わらず、行政の積極的な財政支援が不可避となります。あとは、四国4県が鉄道の維持に対してどれだけの財政負担を受容できるかの問題です。取り敢えず、「鉄道はタダでは維持できない」という認識は、四国4県の住民に(当然それ以外の住民にも)広めるべきでしょう。

既存区間の改良に向けた新しい整備新幹線のスキーム

 何だか、復活後のブロハラでは長崎新幹線の事ばかり書いているような気がしますが、今日も新幹線ネタです。お題はこちら。

 九州新幹線の全線開通時からある程度問題にはなっていた話ですが、ここへ長崎新幹線まで乗り入れるとなった時に、いよいよ本格的に考えなければならないのが、新大阪駅の容量不足問題です。特に、山陽新幹線からの折り返しについて、現状はほぼ考慮されていないと言い切れるレベルです。それは、新大阪駅の配線図を見れば解る事です。

ja.wikipedia.org

 新神戸方には東海道新幹線用の引上線が設置されている為、山陽新幹線の上り列車が新大阪駅で折り返す為には、引上線の更に遠方にあるシーサスクロッシングを使うしかありません。これにより、かなりの長距離を本線逆走する事になってしまい、それが増発余力を大幅に削減してしまっています。

 そんな新大阪駅では、国土交通省が新幹線用の地下ホームを増設する事を検討し始めています。

www.nikkan.co.jp

 どのようなスキームで地下ホームを建設するのかは不明ですが、現時点で考えられるのは以下の3つでしょう。

  1. 財政投融資の活用により、国土交通省の単独事業として施行する。
  2. 北陸新幹線新大阪駅の先行工事とみなして、整備新幹線のスキームを適用する(福井駅の高架化と同様)。
  3. 整備新幹線に関連する既存区間の改良として、新たなスキームを構築する。

 この中で、一番手間が掛からないのは既存スキームを流用できる2番ですが、当然ながら沿線自治体である大阪府に多額の財政負担が生じる事になり、場合によっては京都府福井県にも財政負担が発生してしまいます。いくら将来的には北陸新幹線に活用できるとは言え、当面は山陽・九州新幹線の専用ホームとして供用される事になる地下ホームの建設に京都府福井県が財政負担する事は、納税者である京都府民や福井県民の理解を得る事は難しいでしょう。勿論、大阪府としても簡単に支出できる金額ではありませんから、実際には敦賀=新大阪の着工予定である2031年度まで身動きが取れなくなってしまう事でしょう。

 では、1番はどうかと言うと、これはこれで「誰が受益者(=最終的な建設費の負担者)となるか」という問題が残ります。実際の施工が鉄道・運輸機構になるのはほぼ間違いありませんが、線路使用料をJRから徴収できるのか、徴収できるとしたら鉄道・運輸機構のどの事業に該当するのか、法令レベルでの整理が不可避となります。そして、地方自治体の財政負担を着工の前提としている整備新幹線のスキームが存在する脇でその枠外から国土交通省の直轄事業が可能になるのであれば、当然ながら大宮駅や福島駅についても沿線自治体から改良要求が湧いてきますから、事態の収拾が付かなくなってしまいます。

 となると、やはり正攻法は3番の新スキーム策定でしょう。既存区間の改良の場合、基本的に施工区間が所在する地方自治体と直接の受益がある地方自治体とは一致しませんから、通過距離に応じて地方負担分を比例按分する従来のスキームは適合しません。そこで、既存区間の改良においては、通過距離ではなく受益割合に応じて個別に地方自治体間の負担割合を決定する事とすべきです。例えば、上越新幹線大宮駅の配線を改良して大宮始発の列車を多数設定できるようにすれば、その受益は埼玉県だけでなく新潟県富山県、石川県にも及びます。また、新大阪駅山陽新幹線専用の地下ホームが設置されれば、その受益は遠く鹿児島県や長崎県長崎新幹線が全線フル規格になった場合)にまで及びます。この受益を数値化するのは困難かも知れませんが、改良区間の所在自治体に財政負担のモチベーションが余りない事を考えれば、新幹線の沿線自治体全体で広く財政負担するスキームの構築は十分検討に値します。

 そして、このスキームが確立すれば、長崎新幹線を力技で全線フル規格にする方法にも目が出てきます。現時点では、武雄温泉でのリレー方式で暫定開業する事はほぼ確実ですから、博多=武雄温泉での運行が見込まれる「リレーかもめ(仮称)」も長崎新幹線の一部と見做せなくもありません。そして、整備新幹線を暫定的に代替する区間である新鳥栖=武雄温泉の在来線を「改良」するという名目で、フル規格の車両が260km/h以上で走行可能な新線を建設する事にしてしまえば、財政負担に係る議論から佐賀県をハブる事が可能になります。勿論、山口祥義知事が「負担ゼロでも認めない」と明言している以上、この裏技が使えなくなる可能性も当然ありますが、外堀を埋める1つの方法として検討する事も無駄ではないでしょう。

 既存のスキームを活用するにしろ、新しいスキームを構築するにしろ、これからの新幹線の整備は地方自治体の積極的な財政負担なしには進展し得ません。いくら整備新幹線の建設が進んだ所で、既存区間ボトルネックがあったら十分に活用できないのですから、その解消の為には整備新幹線の受益自治体による十分な財政措置が行われるべきでしょう。

並行在来線の沿線自治体が学ぶべき「攻めの廃線」

 Twitterアカウントの凍結騒ぎで、先月末に読んだ日本経済新聞の記事についての言及が遅れてしまいました。

 

 鈴木直道北海道知事が夕張市長時代に推進した「攻めの廃線」は、夕張市の内外で様々な異論反論を浴びる事もありましたが、結果的に夕張市民からは一定の評価を得ているようです。

www3.nhk.or.jp はてなブログにURLの埋め込み機能があるというのは初めて知りましたが、リンク切れを起こした後にどう表示されるのかは不明です。

 閑話休題夕張市の場合は、(旧)財政再建団体に転落した事情もあり、石勝線夕張支線の維持に十分な財政支援を行う事が出来なかった為、鉄道の維持を早々に諦める代わりに、「夕張市民の移動手段の確保」を最終防衛ラインと設定して、その維持に向けた交渉をJR北海道と行う事が出来ました。鈴木直道前市長に対する夕張市民の高評価は、現実路線での交渉により住民の利便性を確保できた事の証左でしょう。

 北海道には、石勝線夕張支線の他にも、JR北海道が自力での維持が困難だとする線区が12あります。これらの沿線市町村が赤字ローカル線への財政支援に軒並み非協力的である事を考えれば、鈴木直道新知事による「攻めの廃線」の全道展開により、何れ廃止・バス転換への道を辿る事になるでしょう。

当社単独では維持することが困難な線区について

https://www.jrhokkaido.co.jp/pdf/161215-4.pdf

 北海道の場合、「攻めの廃線」が必要になる理由の多くは過疎化や少子高齢化による利用者の大幅減ですが、内地においても「攻めの廃線」が必要になる路線はあります。それは、整備新幹線の開業により並行在来線として経営分離される区間です。現時点でも、以下の区間並行在来線としてJRからは経営分離される予定となっています。

 そして、整備新幹線が全線開業した暁には、以下の区間並行在来線の仲間入りをする事になります。

 この内、長崎本線肥前山口諫早)については、整備新幹線の着工5条件に係る交渉から鹿島市をハブる為に、当面の間はJR九州が自社運行する事となっていますが、何れ経営分離される事については何等変わりはありません。

 これらの路線は、何れ沿線自治体による第三セクターへと移管される事になりますが、並行在来線のどの区間を経営分離するかはJRの胸先三寸で決まりますから、このまま漫然と整備新幹線の開業を待っていれば、信越本線篠ノ井=長野)や鹿児島本線(川内=鹿児島中央)のようなエエトコドリを許す事になります。上記の並行在来線で言えば、湖西線が将にJR西日本のエエトコドリのターゲットになる事でしょう。

 では、何故ここで「攻めの廃線」が必要になるかという事ですが、石勝線夕張支線でも湖西線でも「将来的な廃線(JRからの経営分離)は不可避」という出発点は共通しているからです。それならば、廃線を所与の条件として、その後で出来るだけ沿線自治体が有利になる廃止条件をJRから引き出す事こそ、行政の使命であると言うべきです。そして、この交渉は早期に始めれば始めるほど、沿線自治体にとって有利な条件を引き出しやすくなります。

 佐賀県滋賀県も、「並行在来線の経営分離など罷り成らん」という一本槍で、凡そ経営分離に向けた条件闘争などという態度は見られません。しかし、これまでの整備新幹線の経緯を見れば、最終的に並行在来線が(特に営業係数が伸びそうにない区間は)分離される事が不可避なのは自明であり、一方で第三セクターの経営努力により却って利便性も採算性も高くなるという事実も富山県や石川県で証明されています。それならば、下手に態度を硬化させるよりも第三セクターが経営努力し易くなる環境の構築に尽力した方が、余程沿線住民の福祉の向上に貢献すると言うべきです。

 湖西線で言うならば、堅田以北だけ経営分離されるよりは、山科=堅田も含めて経営分離してもらった方が、第三セクターの採算性は向上します。それならば、滋賀県JR西日本と交渉すべきは、北陸新幹線開業後の運行継続ではなく、全線の経営分離を前提とした利便性向上策の確保でしょう。堅田近江今津で経営分離された場合、第三セクターからJR西日本への直通は絶望的でしょうが、山科からの経営分離となれば、京都までの片乗り入れは十分交渉可能ですし、ともすれば大阪以遠からの相互直通運転まで視野に入ります。また、今から条件闘争を始めれば、(旧)京都総合運転所の継続利用についてもJR西日本から有利な条件を引き出せる可能性があります。北陸新幹線の着工前倒しを主張する向きは、こうした所について滋賀県を側方支援する事も考えるべきでしょう。

 そして、今となっては手遅れになってしまった部分も多々ありますが、本来は佐賀県もこういう条件闘争を行うべきでした。長崎新幹線については、鹿島市の並外れた政治力により整備新幹線のスキームを大きく逸脱する部分が多々ありますが、将来的に肥前鹿島が新鳥栖=長崎のメインルートから外れる事は不可避な訳で、武雄温泉=諫早の新線建設が既定路線になった時点で、佐賀県並行在来線の将来について現実路線に切り替えるべきでした。もし、早期に佐賀県鹿島市が現実路線に切り替えていれば、全線フル規格での建設(及びそれに伴う佐賀県の財政負担)の見返りに、JR九州から以下の条件を引き出す事は決して不可能ではなかったでしょう。

 「プロ市民」という言葉が元鹿島市長の桑原允彦氏による造語である事は広く知られていますが、本来であれば国家プロジェクトとしての整備新幹線に協力しつつ水面下で並行在来線の運営に有利な条件を引き出す事こそ「プロ公務員」の仕事でしょう。もし、佐賀県鹿島市がこうした現実路線を考える地方自治体であれば、FGTの開発頓挫と同時に長崎新幹線の全線フル規格化がスムースに実現し、今頃は着工時期も具体化されていた事でしょう。こればかりは、長崎新幹線全線フル規格化推進派である私も、実に残念でなりません。

JR九州はミニ新幹線を受け入れるか

 今のところ、3回目の凍結は来ていません(;´∀`)

 こんなマクラで始めるブログも如何なものかと思いますが、取り敢えず長崎新幹線について思う所があったので、こっちに書く事にしました。

長崎新幹線ミニ新幹線」導入を考える。単線並列と複線三線軌を検討

https://tabiris.com/archives/nagasaki-shinkansen20180331/

 外部リンクを記事内で紹介する際にどういうフォーマットにすればいいのかは、今のところ試行錯誤中です。はてなダイアリー時代も、色々と試行錯誤してあのレイアウトに落ち着いたので、もう暫くは色々なパターンが出てくる事になるかと思います。

 閑話休題長崎新幹線新鳥栖=武雄温泉については、全線フル規格化が絶望的となっている以上、整備方式は以下の三択にならざるを得なくなっています。

  1. 武雄温泉でのリレー方式の恒久化
  2. 武雄温泉=長崎を狭軌に再変更(スーパー特急方式に戻す)
  3. 新鳥栖=武雄温泉を標準軌に改軌(ミニ新幹線化)

 直近のタイムラインで、この内のミニ新幹線化を単線並列方式により政治的に実現すべきとの指摘がありましたので、これをステークホルダーが了承する条件について考えてみます。

 先ずは、国土交通省長崎県といった全線フル規格推進派の行政機関についてですが、これは単純にミニ新幹線化で諦めてもらうしかありません。佐賀県を説得する事に失敗した以上、代替方式での整備は不可避ですし、それは政治的に完遂させる責任が生じます。幸い、武雄温泉=長崎で建設中の新線はそのまま使える訳ですから、ここで手戻りが発生する事もありません。勿論、新鳥栖=武雄温泉の改軌費用を誰が負担するのかという問題も生じますが、佐賀県が一切の財政負担に応じない以上、整備新幹線とは別のスキームで国土交通省長崎県が負担する必要があるでしょう。

 次に、運行事業者であるJR九州ですが、ミニ新幹線化によって生じる具体的なコストは、ミニ新幹線用の車両を新規に開発する費用(フル規格ならN700系をそのまま流用できる)や、改軌工事に伴う輸送力減少による営業収入減です。車両開発についてはE6系ノックダウン生産できればかなり手間は省けますが、山陽新幹線への直通を想定するなら、N700系側にも併結運転対応工事が必要になります。そして、営業収入減は国土交通省長崎県による損失補填でカバーする事になるでしょう。西鉄高速バスに代替輸送を依頼するなら、その費用(車両や乗務員の確保)も損失補填の対象になります。

 そして、山陽新幹線への直通を前提とするなら、JR西日本ステークホルダーとなります。JR西日本ミニ新幹線用車両の共同開発に応じてくれれば、JR九州や行政の負担も大幅に軽減されますが、残念ながらJR西日本にはそのインセンティブはありません。というのも、伯備線瀬戸大橋線ミニ新幹線を導入する見込みがない(両線とも定期貨物列車が存在するので簡単に改軌工事できない)以上、新型車両は事実上長崎新幹線専用となり、他で活用できないからです。恐らく、JR西日本としては「長崎新幹線ミニ新幹線にするのは勝手だが、ウチは車両開発には協力しない」という結論になるでしょう。場合によっては、山陽新幹線への乗り入れすら拒否する可能性もありますが、本数を限定した単独乗り入れであればギリギリ政治力でゴリ押しできるでしょう。

 ここまでやって、漸く佐賀県を説得する段に至りますが、実は当の佐賀県がこんな事を言っています。

ミニ新幹線「メリットない」 新鳥栖-武雄温泉で佐賀県 | 2019/3/15 - 長崎新聞

https://this.kiji.is/479092391671383137

 この発言は、あくまでも事務方からのものですから、理事者レベルでミニ新幹線化を正式に決定すれば簡単に覆せる性質のものではあります。しかし、ミニ新幹線化に係る佐賀県の財政負担を全額免除した所で、抑も山口祥義知事が長崎新幹線の整備に反対する理由は財政問題ではない訳で、暫定開業により博多=長崎のメインルートから外れる事になる肥前鹿島を含め、佐賀県の全域で特急列車の利便性が現状から後退しない事が保証されない限り、佐賀県ミニ新幹線化に合意する事はありません。

 となると、新鳥栖=武雄温泉をミニ新幹線化するのであれば、同時に肥前山口肥前鹿島も改軌して、博多発着のミニ新幹線を高頻度で運行する必要があるでしょう。ここまでの工事を佐賀県の負担ゼロで実施する事で、初めて山口祥義知事が交渉のテーブルに着く事になります。果たして、JR九州にとって採算に見合う事業なのかは不明ですが、そこを押し通す事もまた政治力なのかも知れません。

二度ある事は三度ある(予告)

 世間では、無事に令和が始まったようです。私も、表稼業では元号を使う立場ですから、予定通りの改元が無事成立した事に一先ず安堵しています。あとは、情報システム系がきちんと改元できたかどうかですね。取り敢えず、池上彰改元ライブを視ながら、一人で乾杯していました。

f:id:MayField:20190501104324j:image

 と、ここでTwitterへの埋め込み対象となる愚にも付かない写真を挟み込んだ所で、本題です。昨日の予想通り、またもTwitterのアカウントが凍結されました。それも、昨日今日のツイートではなく、半年以上も前のツイートを発掘しての通報です。しかも、その内容が従来であれば箸にも棒にも掛からない程度のものでした。

f:id:MayField:20190501104632j:image

 まさか、「老害の駆逐」で年齢差別と言われるなど思ってもみませんでしたが、こうなると通報者が狙っているのは完全に私の存在そのものでしょう。どうせTwitter当局が聞く耳を持たないというのは百も承知ですが、この程度で凍結を食らうという事は、次の凍結もそんなに遠くないという事です。

 昨日のツイートがこんなにも早く現実のものになるとは思ってもみませんでしたが、今のところ通報者の思惑は成功している訳で、この凍結ラッシュは私のTwitterアカウントが永久凍結されるまで続くでしょう。そうなった時に、次のアカウントを今から用意しておく事も考えておいた方がいいのかも知れませんが、恐らくそのアカウントも直ぐに特定されて凍結ラッシュに晒される事になるでしょうね。

現行スキームで長崎新幹線を建設する方法

 さて、7年前の時点からかなり迷走が続いている案件です。

佐賀県知事佐賀県は新幹線整備を求めたことはなく、現在も求めていない」とその反応 - Togetter

https://togetter.com/li/1343010

 一応、Twitter上では都度都度私見を述べてきましたが、私は基本的には全線フル規格推進派です。但し、その大前提として「現行法令や慣習上のスキームに則り、沿線自治体が財政負担するならば」というものがあります。そして、沿線自治体が財政負担を拒否している以上、プロジェクトとして成立しませんから、スーパー特急ミニ新幹線という代替整備方式に逃げる事なく、武雄温泉=長崎を含めて建設を中止すべきであると考えます。

 山口祥義知事は、「負担ゼロでも認めない」と財源論へのすり替えを真正面から否定し、一切の交渉を拒否する姿勢を見せています。これは、新鳥栖=武雄温泉がフル規格で建設されてしまうと、現在全国でも屈指の運行本数を誇る博多=佐賀の在来線特急が大幅に削減され、2枚きっぷで高速バス並みに抑えられている運賃水準も大幅に上昇する事が明白だからです。また、上下分離方式の導入により先送りされている並行在来線の経営分離も、所詮「20年後に作動する時限爆弾」に過ぎませんから、何れ肥前鹿島駅を要する鹿島市が大騒ぎする事になります。

 となれば、佐賀県長崎新幹線の着工に同意する条件は唯一つ、現在の在来線特急の利便性を恒久的に保証する事です。具体的には、新鳥栖=武雄温泉の開業後も以下の条件が満たされるよう、長崎新幹線を建設しようとする者が財政的に保証する事です。

  1. 長崎新幹線の全線開通後も、長崎本線佐世保線の全線をJR九州が運行する。
  2. 博多=佐賀で毎時3本、博多=肥前鹿島及び博多=佐世保で毎時1本の在来線特急を運行する。
  3. 現在発売中の2枚きっぷは、長崎新幹線の全線開通後も現在の価格水準を維持する。

 ハッキリ言って、JR九州にとっては二重投資もいい所ですし、並行在来線での特急運行は北陸新幹線でも明確に拒否されています。当然、JR九州が身銭を切ってやる訳がありませんし、ここまでの条件を呑まされるとなればJR九州長崎新幹線不要論に傾いてしまいます。だからこそ、これらの条件を満たす為に必要な投資や経費は、行政が支援する必要があります。

 では、誰がその財政負担を受け容れるべきかですが、当然ながら佐賀県ではありません。勿論、佐賀県内の地域輸送の確保が目的である以上、国土交通省が財政負担すべき案件でもありません。となれば、長崎新幹線による直接かつ最大の受益者である長崎県が、その第一の負担者となるべき事は、論を俟たないでしょう。そして、長崎新幹線を必要としていない佐賀県内においても、例外的にその恩恵を受ける事になる武雄市嬉野市も、長崎県と連帯して財政的な責任を負うべきです。

 ここまで条件を満たして、初めて長崎新幹線本体の財源論に話を進める事ができます。しかし、大前提として「佐賀県は新幹線の整備を求めていない」訳で、当然ながら法令に則った佐賀県の財政負担を期待する事はできません。一方で、整備新幹線の建設に係る財政負担は、全国新幹線鉄道整備法第13条や全国新幹線鉄道整備法施行令第8条に規定されていますから、佐賀県の財政負担を軽減する為にこれらの規定をねじ曲げる事は許されません。となれば、現行法令で注目すべきは、全幹法第13条第2項です。

2 都道府県は、その区域内の市町村で当該新幹線鉄道の建設により利益を受けるものに対し、その利益を受ける限度において、当該都道府県が前項の規定により負担すべき負担金の一部を負担させることができる。

 この規定に基づけば、現行スキームにおいても、当該都道府県内の市町村に財政負担を肩代わりさせる事は可能になりますから、佐賀県内で「長崎新幹線の建設により利益を受けるのは武雄市嬉野市だけだ」というコンセンサスが得られれば、佐賀県負担分の全額を両市に肩代わりさせる事ができます。そして、武雄市嬉野市による佐賀県負担分の全額負担こそが、長崎新幹線の建設を可能にする唯一の方法であると言い切れます。

 結局、長崎新幹線を全線フル規格で開通させる為には、武雄市嬉野市が身の丈に合わない財政負担を受け容れる必要があるという事です。そして、それに全く現実味が伴わない以上、長崎新幹線は永久にリレー方式のままとなる可能性が濃厚です。こうなると、今年3月に国土交通省が試算したB/Cが0.5しかなかったという事実を踏まえ、長崎新幹線の建設自体が白紙に戻されそうな気もしますね。