五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

九州ブルトレが漸く全廃へ

 という事で、ブロハラ更新を半月以上サボっている間に、こういう大きなネタが転がり込んでいました。

○消えゆく東京駅発ブルトレ 「銀河」来春に引退

ウェブ魚拓+ウェブ精米)

 「走るホテル」などと持て囃されたのも今は昔、JR各社による放置プレイで老醜を晒すのみに落魄れているブルートレインなど、鉄道会社にとっても鉄道ファンにとっても百害あって一利なしというものです。まともなクオリティのサービスを提供する気がないのなら、2009年春とは言わず、来春のダイヤ改正にでもブルートレインそのものを全廃してしまった方がいいでしょう。



 後掲するトラックバック先ブログの数多くで指摘されている事ですが、現在のブルートレインは剰りにも費用対効果が悪過ぎます。開放式B寝台、通称開ハネですら、運賃・特急料金の他に寝台料金だけで6,300円も取られるというのですから、まともな金銭感覚を持った旅行者であれば、絶対に選択肢にはなり得ません。最近のビジネスホテルなら、6,300円も出せば客室LAN対応の禁煙ルームですらお釣りが来てしまいますし、場合によっては朝食無料サービスまで付いてきます。当然ながら、全室ユニットバス・トイレ付きですし、どんなに狭いシングルルームでもA個室のロイヤルと同等かそれ以上の余裕があります。アウトバス・トイレで鍵も掛からないなんてのは、カプセルホテルどころか山谷や新今宮の簡易宿泊施設にも劣るというもので、料金改定もせずにこんな開ハネを放置している所からして、JR各社のブルートレインに対するやる気のなさを感じさせられます。
 新幹線や航空機といった高速交通機関の充実により、従来は夜行でなければ行けなかった区間も昼行できるになりました。しかし、これまた複数トラックバック先ブログで指摘されている事ですが、夜行需要そのものが壊滅状態にあるのではなく、寧ろ都市間高速バスやツアーバスの台頭に見えるように、格安な交通手段として夜行バスは往時のブルートレインよりも広く浸透しています。新幹線や航空機よりも格安に移動できて、なおかつ宿泊費を浮かす事も出来るのですから、貧乏旅行者にとっては一石二鳥というものです。旅費を浮かす事を第一に考える貧乏旅行者にとって、宿泊費と同等の寝台料金を取られるブルートレインが選択肢になり得ないのは、自明の理というべきでしょう。当然ながら、新幹線や航空機の運賃を負担できる旅行者がコストパフォーマンスに劣るブルートレインを選ばないのも、また自明の理なのです。
 では、JR各社がブルートレインに梃子入れせず安楽死(<(C)憑かれた大学隠棲氏)させた理由は何なのかと言えば、偏にランニングコストの高さに尽きるでしょう。50系レッドトレインの絶滅を例に出すまでもなく、客車列車は電車列車や気動車列車よりも運行コストが高く付きます。始発駅や終着駅では機回しが必要になりますし、スピード面で不利なのでダイヤ策定上の大きな制約事項になってしまいます。更に言えば、ブルートレイン寝台特急以外に使い途が無く、日中は客車区で文字通り昼寝しているしかありません。航空機と同様、鉄道車両においても、ターンアラウンドタイムが長くなれば長くなるほど、運賃収入の機会が減り、コスト支出だけが拡大していくのです。これは、夜行列車に特化してしまった寝台客車の宿命とも言うべきものですが、そのコストに見合うだけの運賃収入を稼ぐ事が出来ないのであれば、ブルートレインそのものが公共事業ではない以上、JR各社が廃止の決断を下すのは寧ろ企業として当然というべきであり、逆に今までブルートレインで無駄に赤字を垂れ流していた事こそ責められるべきなのです。
 今回のブルートレイン廃止に当たっては、沿線自治体や無関係な鉄ヲタから数多くの批判や非難が寄せられる事でしょう。しかし、地方在住者が東京や大阪との往復にブルートレインではなく新幹線や航空機を利用し、鉄ヲタですらブルートレインを敬遠しているという現実においては、JR各社によるブルートレインの大幅縮小という英断を批判する資格は誰一人として持ち合わせていません。個人的には、日本海北斗星が生き残ってしまう辺り、まだJRも生温いと思っていますが、どうせこれらは新幹線の延伸と同時に消え行く運命にありますから、ブルートレインとしての老醜を晒すのもあと少しの話でしょう。