五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

止まらないJALの縮小均衡

 さて、色々と客離れが止まらないJALですが、遂に経営破綻の波はここまで来ました。

JALグループ、再生に向けた2010年度路線便数計画を策定

http://press.jal.co.jp/ja/release/201004/001530.html

 国内線の廃止路線数が巷間で囁かれていた50路線の大台に乗ったのもさる事ながら、ここで特筆すべきはB747-446の全機退役でしょう。クラシックジャンボの末裔であるB747-346が全機退役したのが昨年(2009年7月31日)ですから、それから2年も経たない内にB747-446まで全機退役というのは、かなりのスピード入れ替えです。結局、B747-446DのクラスJ増席も最後まで行われないままとなり、スカイクルーザー好きの私としてはかなり残念な結果となってしまいました。
 本来なら、ダウンサイジングするにしてもB787-846の就役を待ちたかった所なのでしょうが、それを許さないくらい、現在のJALは危機的な経営状況にあるという事です。しかし、路線によっては機内設備で競合他社にかなり見劣りするB767-346ERで運航する事となり、これでいよいよ熱狂的JAL信者以外はJALに乗らなくなるという悪夢が現実のものとなりかねません。ツアー向けに座席をばらまいてロードファクターを稼ぐというのも1つの手ですが、別に財務状況が改善する訳でもないので、国際線に関してはかなり負の連鎖が続く事になりそうです。



 今回の追加撤退で、私がもう1つ気になるのは、定期路線が途絶えてしまう空港や飛行場です。ざっと確認しただけでも、以下の空港は定期路線が絶滅する事になります。

 名古屋(小牧)も広島西も、既に基幹空港は郊外に移転していますから、路線網という意味ではそんなに影響はありません。しかし、奥尻空港は離島であり、フェリーで江差に渡るにも2時間以上掛かります。ここから函館までとなると更に2時間近く掛かりますから、いよいよ奥尻島は完全に世間から置いてけぼりにされる事になります。このまま行けば、礼文空港と同様に奥尻空港も供用停止へと追い込まれるのは必至で、場合によっては廃港まで一直線という事すら考えられます。とはいえ、根本的には限界集落と同様の話なので、最早為す術はないのかも知れません。需要で言うなら、新島空港と同レベルにはあると思うのですが、如何せん地元自治体の財政力が違いすぎるのでしょう。
 また、小牧から撤退する事になると、ジェイエアの本社が何処に移転するのかという事も、合わせて注目すべきでしょう。元々は広島西飛行場を拠点にしていた航空会社ですが、広島西も小牧も閉鎖となると、考えられる次の拠点は伊丹空港です。となれば、ひょっとしたらジェイエアの本社が実質的にJALエクスプレスの本社と同居するなんて事まで考えられます。どちらも日本航空インターナショナルの100%出資子会社ですから、最終的には両社を経営統合して「JAL小型ジェット機部門」みたいな会社が出来るのかも知れません。
 こうなれば、JALの小型機拠点として今後益々伊丹空港がその重要性を増していく事になり、橋下徹大阪府知事が目論んでいる「伊丹廃港」がいよいよ難しくなる事になります。無理に関空への移転を強行しようものなら、今度は橋下徹府知事が「JALグループの再建を阻んだ」という事になり、ともすれば橋下徹JALを潰した」とまで言われかねません。まぁ、名古屋飛行場は今後も航空自衛隊小牧基地として存続しますから、別に滑走路自体がなくなるという事ではありません。しかし、単なる縮小均衡の結果とはいえ、名古屋でも広島でも航空路線の片寄せに成功した事になるのですから、橋下徹府知事にとっては羨ましい事この上ないでしょう。