五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

朝日新聞の報道に見る佐賀県知事のトーンダウン

 長崎新幹線の全線フル規格化に向けて、またマイナス材料となるニュースが飛び込んできました。

mainichi.jp

 発言の内容は失言としても論外で、佐賀県知事に対して失礼であるだけでなく、何よりも韓国や北朝鮮に対して失礼です。もし、谷川弥一議員が自民党ではなく日本維新の会に所属していたら、今頃とっくに維新から除名処分を喰らった上、松井一郎代表が佐賀県庁まで謝罪に訪問し、国会では谷川弥一議員の辞職勧告決議案が提出されていた事でしょう。しかし、実際には山口祥義知事はこのような談話を発表しています。

www.saga-s.co.jp

 丸山穂高議員と同質の失言・暴言の直後にも関わらず、「しっかり向き合いながら誠意を持って対応していきたい」という談話を引き出せる辺りに、自民党の強かさを感じます。

 さて、今回の談話は、第15回佐賀県GM21ミーティング時の記者会見において発表されたものです。

www.pref.saga.lg.jp

 当然ながら、この席上でも長崎新幹線北朝鮮発言が話題に上る事になった訳ですが、そのトーンは報道機関によって大きく異なります。佐賀新聞が「在来線を活用する一点で長崎県と合意し、互いに知恵を出し合いながらやってきた」とする山口祥義知事の発言を強調しているのは先掲記事の通りですが、読売新聞も「新幹線整備を求めていない」とする山口祥義知事の発言を強調し、そこに鹿島市長や小城市長が同調した事も記事にしています。

www.yomiuri.co.jp

 一方で、朝日新聞の記事では、「長崎がどうしてもというなら、新しい話として議論したい」とした山口祥義知事の発言に注目しています。

www.asahi.com

 つい最近、山口祥義知事は「負担ゼロでも認めない」と気勢を上げ、県内だけでなく県外からも喝采を浴びたものですが、この発言がハイライトされてしまうと、整備新幹線のスキームを使わないのであれば、佐賀県内での新幹線建設を認める」という趣旨だと誤解されてしまいます。

 勿論、「負担ゼロでも認めない」という発言自体が有権者へのリップサービスでしかなく、水面下では副島良彦副知事共々全線フル規格化の財源負担に係る条件闘争を続けていたという事であれば、単なるソフトランディング狙いの発言と解釈する事は可能です。しかし、昨年の佐賀県知事選挙で全線フル規格化推進派が対抗馬を擁立できなかった所を見ても解るように、佐賀県民の大多数は真に長崎新幹線そのものを求めていないのであって、ここへ来て(仮に佐賀県の財政負担が大幅に軽減されるとしても)長崎新幹線の建設容認に転向するような事があれば、今度は山口祥義知事自身の進退問題に直結する事になります。果たして、佐賀県民の真意が「負担ゼロでも認めない」なのか「負担ゼロなら認める」なのかは、長崎県との議論に臨む前に改めて確認しておくべきでしょう。

 山口祥義知事は、武雄温泉=長崎の先行開業までに結論を出せば良いという程度に考えているのかも知れませんが、長崎県JR九州も全線フル規格化で佐賀県を「転ばせる」機会を虎視眈々と狙っています。朝日新聞の報道が事実だとすれば、こんなに短期間で大幅にトーンダウンした事になる訳で、この勢いだと6月までに佐賀県が全線フル規格化で全面降伏させられる事になりかねません。「リレー方式の長期化もやむを得ない」という発言通りに整備方式の議論を長期化させたいのであれば、山口祥義知事は改めて脇を引き締めるべきでしょう。