五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

JALがスーパー特便割引28を先得割引にリニューアル

 一瞬、何の事かと思ってしまいました。

JALグループ、お先に予約でおトクな運賃「先得割引」を届出

http://www.jal.com/ja/press/0000673/673.html

 要するに、スーパー特便割引28の名称変更なのですが、これを期に先得割引を大々的に売り出そうと、三谷幸喜相武紗季*1まで引っ張り出して新作CMを投入してきました。

○JALTV - JAL国内線割引運賃「先得」着メロ篇 30秒

http://www.jal.co.jp/jaltv/source/?s1=cm&s2=cm&s3=mitani&id=sakitoku-30

 ( ゚д゚)ポカーン
 糸山英太郎大先生に言われるがままに広告予算をケチったら、見事なまでに品質から劣化し始めていますね。こんな見ている方がこっ恥ずかしくなるCMで、果たしてどれだけ先得割引が利用者に浸透するんだか、私は甚だ疑問
でなりません。



 さて、今回JALがスーパー特便割引28を先得割引に名称変更した狙いですが、それは恐らくバーゲンフェアやバースデー割引からの誘導でしょう。現在でも、便によってはこれらのバーゲン型運賃よりもスーパー特便割引28の方が安い場合があるのですが、「スーパー特便割引28」という名称では、どうしても特便割引1や特便割引7の延長線上にある「それほど安くない常設型運賃」というイメージが先行してしまい、なかなかバーゲンフェアやバースデー割引からの移行は進んでいないのが現状です。以前にも書いた通り、スーパー特便割引28を導入した究極の意図がバーゲンフェアやバースデー割引の廃止にある事を考えれば、そのスーパー特便割引28がなかなか利用されない現状は、JALにとって非常に由々しきものであり、抜本的な対策が迫られていました。
 今回の名称変更は、スーパー特便割引28を「バーゲン型運賃に近似した割引運賃」として利用者に認知させるのが第一の目標です。同等の割引運賃に「旅割」という独自の名称を与えたANAにおいては、バースデー早割の廃止や超割の設定期間縮小などと相俟って、相当程度旅割の認知度が向上しています。勿論、この旅割も実質的には「特割28」に過ぎないのですが、利用者にとっては恰も新運賃が登場したかのような印象がありますから、従来特割を利用しなかった層にまで旅割は浸透しているのです。今回の名称変更がその二番煎じである事は、言うまでもありません。
 では、何故ここまでしてJALがバーゲンフェアやバースデー割引を先得割引に移行させようとしているのかというと、日別・時間帯別の需要を均等化させたいからです。抑も、バーゲン型運賃は航空需要の閑散期にロードファクターを向上させる為に設定されていたのですが、超割やバーゲンフェアの認知度が向上するに連れて、却って利用客がこのバーゲンフェアの設定期間を狙って旅行するようになり、バーゲンフェア設定期間の前後に新たな需要閑散期が発生してしまったのです。更には、多くのライトユーザーにとっては、このバーゲンフェアの運賃が「標準」になってしまい、その他の運賃に割高感を抱かせてしまう事にもなったのです。一方、バースデー割引においては、「需要閑散期」という概念こそ関係しないものの、今度は生年月日という先天的な条件による利用可能期間の有利不利*2が発生してしまい、特に需要閑散期に生年月日のある利用客から「不平等だ」とのクレームが発生してしまいました。
 先得割引は、バーゲン型運賃と近似水準の運賃を通年設定する事により、「需要閑散期」の発生抑止と生年月日による不平等感の解消とを同時にクリアしようとしています。そして、前便変更不可という特便割引ベースの運賃である事を利用して、曜日別・時間帯別の弾力的な運賃設定にも踏み込んできています。これらの施策は、既に今年4月からスーパー特便割引28が実施してきた事ですが、今回の先得割引への名称変更に当たり、より一層その施策が鮮明になっていく事でしょう。
 スーパー特便割引28の時は単なるANAの追随といった感じでしたが、どうやら今回のJALは本気のようです。片道500マイルのボーナスマイルやフライトオプションの先得割引価格設定などに、JALの不退転の決意が見て取れます。これで、来期以降のJMBたび倶楽部対象運賃に先得割引が追加されるような事があれば、いよいよバーゲンフェアやバースデー割引の終焉が近付いたと見るべきでしょう。
 そういう意味では、今回の名称変更が10月ではなく11月に実施された事は、従来のバーゲン型運賃のヘビーユーザーにとっては救いでもありました。先得割引へのリニューアルが1ヶ月遅れた事により、バーゲンフェアもバースデー割引も上期と同様に設定され、その恩恵に与る事が出来るのです。恐らく、先得割引の先行受付は将来的にも実施されないでしょうから、上級会員がクラスJ争奪戦で優位に立てるのも、今期が最後という事になるんでしょうね。

*1:私のATOKは、何をトチ狂ったか「愛撫先」と変換してくれました。何処のAV女優だ、何処の(笑)。

*2:ANAがバースデー早割の廃止に踏み切った理由の1つは、この生年月日による不平等の発生です。