五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

羽田空港アクセス線に見るJR東日本のツッコミ待ち

 気が付いたら6月になっていました。来週には、YOSAKOIソーラン祭りで札幌に行きますが、ブロハラを開設した14年前には飛行機もホテルもJALバーゲンフェアで格安だったのに、今では1泊2万円でも宿が見付からないレベルになっています。YOSAKOIソーラン祭り知名度が上がった事自体は喜ばしい限りなのですが、気軽に行けなくなってしまうのもそれはそれで考え物です。

 さて、飛行機に乗ろうとする際には、必ず空港アクセスのお世話にもなる訳ですが、JR東日本が事業化を目論んでいる羽田空港アクセス線で、環境アセスメントの計画書が東京都から公表されました。

trafficnews.jp

 一次資料は、東京都環境局のホームページで閲覧が可能です。

www.kankyo.metro.tokyo.jp

 これを見ると、所謂「東山手ルート」の計画がある程度詳細に載っているのですが、特記事項としては東海道本線との接続部が単線であるという事です。勿論、単線だから無条件に悪という事ではないのですが、空港アクセス鉄道には通常の鉄道路線よりも高度な定時性が求められますから、特に上野東京ラインと直結する東山手ルートにおいて定時性確保の大きな障害となる単線区間の設置は極めて高いリスク要因であると言うべきです。

 とは言え、上野東京ライン湘南新宿ラインまで拡げて考えると、この界隈は実に平面交差だらけだったりします。代表的な所で言うと、以下の通りです。

 これらの平面交差を旅客列車が多頻度で運行する訳ですから、ちょっとした遅延が大きなダイヤ乱れに直結し、空港アクセス鉄道としての羽田空港アクセス線への信頼を大きく損ねる事になります。一方で、これらの平面交差を解消しようとすると、莫大な事業費が必要になり、とてもJR東日本が単独で事業化できるものではありません。

 一方で、仮にこれらの平面交差が全て解消し、何等かの形で東山手ルートも全線が複線化されたとしても、現在の計画では羽田空港アクセス線羽田空港駅はたったの1面2線しかありません。Twitter界隈では、「1.5km程度の単線区間があっても毎時8本程度なら余裕で捌ける」との向きも見掛けられますが、抑も羽田空港のアクセス鉄道として片道毎時4本しかないのは剰りにも少ないと言うべきですし、新宿方面や新木場方面からの乗り入れを考えたら1面2線では剰りにも心許ないと言うべきです。恐らく、これはJR東日本が行政からの財政支援がなくても施工可能な内容として示されたものではあるのでしょうが、エルシャダイルシフェルよろしく「そんな設備で大丈夫か?」と思ってしまいます。

dic.nicovideo.jp

 そして、JR東日本が狙っているのは、この計画を受けて国土交通省や東京都が羽田空港アクセス線の容量不足を懸念する事でしょう。或いは、JALANAといった羽田空港に就航する航空会社でも構いません。羽田空港アクセス線ステークホルダーが「一番いいのを頼む」と言ってしまえば、事業主体であるJR東日本の返答は唯一つです。

 「じゃあ、その分の費用はお前が負担しろ」

 個人的には、自動車安全特別会計の空港整備勘定(平成19年度までの空港整備特別会計)を投入してでも、羽田空港アクセス線は将来の多頻度運転に十分耐えられる設計にしておくべきだとは思うんですけどね。空港アクセス鉄道で設計をケチって大失敗した事例は、新千歳空港関西国際空港で十分に見ているはずなんですが。

ANAがホノルルにA380を飛ばす2つの目的

 今日は、海老名検車区で開催されている小田急ファミリー鉄道展に行ってきました。

www.odakyu.jp

 写真については、私よりも撮影の技術・機材共に大きく優れた人々が大量にSNS上にアップロードされていますから、ここで重ねて投稿する事はしません。ビナウォーク会場でのステージイベントでは、ホリプロ南田裕介マネージャーが見事に暴走していて、構成作家の必要性を改めて感じさせられました。

 さて、そんな小田急電鉄では、5/24に無事70000形GSE鉄道友の会からブルーリボン賞を受賞しましたが、交通関係では同日にこんなニュースもありました。

travel.watch.impress.co.jp

 このA380は、ANAデルタ航空とのスカイマーク争奪戦の成れの果てでホノルルへ飛ぶ事になったのですが、これを巡ってこんな指摘がありました。

 A380については、エアバス自身が事実上ビジネスとしては失敗であった事を認めている訳ですが、フリートに加えた以上はANAも使い途を考えている訳で、その結果最も費用対効果に優れているとされたのがこのホノルル線です。

 では、主にANAが何を狙っているのかと言えば、以下の2つでしょう。

  1. ファーストクラスやビジネスクラスを含め、ANAマイレージクラブ(AMC)会員に特典航空券でマイルを使用してもらう。
  2. 主にエコノミークラスで価格攻勢を仕掛けて、JALからシェアを奪い取る。

 A380の座席数を考えれば、いくらANAのブランドを以てしても、ある程度は格安運賃で捌かないと、エコノミークラスの空席を埋める事は不可能でしょう。そして、この格安運賃が恒常化してしまうと、それによってANAが自縄自縛に陥る事になってしまうという指摘があります。

diamond.jp

 これ自体は、14年前のはてなダイアリー時代に私が指摘していた事で、決して目新しい論点ではありません。

スカイマークの自縄自縛 - 五月原清隆のブログハラスメント

 このスカイマークが経営破綻に陥り、結果的にA380諸共ANAに拾って貰っているのですから、実に皮肉なものです。

 閑話休題ANAは恐らくエコノミークラスで黒字を出そうとはしていないでしょう。かと言って、ファーストクラスやビジネスクラスを有償運賃で埋める事も、それなりに困難でしょう。そこで、AMC会員に手持ちのマイルをホノルル線で吐き出してもらうのです。その事は、先程引用したツイートの主も指摘しています。

 言うまでもなく、AMC会員の保有するマイルは、ANAにとっては負債の一部です。私はAMCについてはほぼ門外漢の平会員ですから、特に中長距離路線においてANAがどのようなアワード座席のコントロールをしているかは不明です、しかし、ファーストクラスやビジネスクラスを有償運賃で販売する難易度は、ビジネス需要が多い欧米路線よりも観光需要が主であるハワイ路線の方が高いであろう事は容易に想像が付きます。となれば、何時どの路線で行使されるとも判らないマイル負債を抱え続けるくらいなら、ホノルル線で大量にマイルを「喜捨」して貰った方が、ANA全体の経営安定に資する事になります。

 ここで、当初のツイートに戻ります。ANA関空ではなく成田に就航させたのは、マイルの「喜捨」という観点から考えると自然な結論です。ANA国際線特典航空券においては、国内線乗り継ぎ区間があっても必要マイル数は変わりません。

contact-jp.ana.co.jp

 となれば、出来るだけ多くの国内線へ乗り継げる空港に就航するのが、最も有効にマイルの「喜捨」を集める手段です。ANAの本音は羽田空港への就航であった事は間違いありませんが、現時点で羽田空港へのA380の就航が認められていない以上、次善策となるのは成田空港への就航になります。

 現在、大阪を発着するANA国内線の大多数は、関西空港ではなく伊丹空港に就航しています。もし、関空発着で乗り継ぎ需要を集めようとすると、乗り継ぎ客は伊丹から関空への地上移動を余儀なくされる事になります。これでは、AMC会員の「喜捨」も思うように進まない事でしょう。

 それならば、国際線同士の乗り継ぎ客を関空で拾えばいいという考え方もあります。しかし、関空発着のANA国際線は完全に支那大陸線に集中しており、スターアライアンス加盟航空会社の力を以てしてもANAの経営改善に資する程度のマイル負債を圧縮する事は不可能でしょう。そして、米国への乗り継ぎ需要を満たす程度に東南アジア路線を充実させる為には、これまで以上に関空自体のエアポートセールスが必要になります。

 現在の関空が賑わっている最大の要因は、LCCによるインバウンド需要です。しかし、レガシーキャリアの就航を増やす為には、何時終わるとも知れないインバウンド需要に依存するのではなく、大阪という都市自体がビジネスの拠点として魅力を高める必要があります。ANAA380関空に就航するのは、あくまでもその結果としての話でしょう。

「4時間の壁」を巡る発言に見る鳥塚亮氏の不見識

 整備新幹線の話からは外れますが、またも新幹線ネタです。元いすみ鉄道社長の鳥塚亮氏が、Yahoo!個人ニュースでまたも珍説を披露していました。

news.yahoo.co.jp

 鳥塚亮氏を巡る不見識については、はてなダイアリー時代のブロハラでも何回か取り上げましたが、ローカル線だけでなく新幹線についてもそのオッペケペーぶりを遺憾なく発揮しています。

社長の発言に見るいすみ鉄道の不要性 - 五月原清隆のブログハラスメント

いすみ鉄道は地域衰退のツール - 五月原清隆のブログハラスメント

 この当時は、「俺は鉄ヲタ向けに電車ごっこをやる。地域活性化の事はテメエらで勝手に考えろ」という沿線自治体への塩対応っぷりを開陳していましたが、今度は新幹線の沿線自治体に「新幹線は放置プレイでいいから航空路線の維持に全力を注げ」という塩対応のススメを開陳しています。これ自体が北陸新幹線の沿線自治体に対する冒涜以外の何物でもないのですが、この記事には他にもツッコミポイントだらけで、とてもTwitterで扱いきれる量ではありませんでした。以下、細かく見ていきましょう。

地方都市にお住いの皆様方の「東京」はほぼ都内23区に集中しているのに対し、東京人にとっての「東京」は東京都下、神奈川、千葉、埼玉、あるいは茨城など、かなり広範囲にわたっています。

 これは逆もまた真なりというもので、東京から地方都市に向かう需要は基本的に市街地や観光地が目的地となるのに対して、地方都市から東京に向かう需要の出発地は周縁部の住宅地です。そして、地方都市においては新幹線駅や空港まで自家用車で乗り付ける事がままあり、その際の駐車料金は新幹線駅よりも空港の方が安くなる傾向にあります。これは、既成市街地に建設される事が多い(在来線の中心駅に併設される事も多い)新幹線駅とは異なり、空港は基本的に郊外に建設される事が多いからです。

 一方で、地方から新幹線で東京駅や品川駅に着いた所で、目的地が駅の周辺にあるとは限りません。例えば、記事中で「東京と名乗っている千葉県の遊園地」と僭称を揶揄されている東京ディズニーリゾートは、東京駅から一応「電車一本」で行ける場所ではありますが、関東在住者ですら東京駅で迷う人が多いというのに、地方から来た人が東京駅で新幹線ホームから京葉線ホームへとすんなり行くのは極めて難しいでしょう。その点、羽田空港や成田空港からは東京ディズニーリゾートへの直行バスが出ていますから、リムジンバス乗り場にさえ辿り着けば、難しい乗り換えなしで東京ディズニーリゾートに辿り着けます。

 出発地や目的地とのアクセスにおいて、新幹線と航空機とのどちらが便利かなどというのは、ケースバイケースでしかありません。「地方からの上京には新幹線の方が便利」などと断言する事は出来ません。

今のインバウンド時代、羽田空港に到着した外国人観光客を自分たちの地域に呼び込もうと思ったら、羽田からの直行便が飛んでいるかどうかが重要なカギになりますから、都会からの人ばかりでなく外国人も呼び込もうと考えるのであれば「新幹線も飛行機も」両方あったほうが良いのです。

 鳥塚亮氏はブリティッシュエアウェイズ出身ですから、ルフトハンザがドイツ鉄道と提携していた事を知らない訳はありません。

ルフトハンザ エクスプレス Rail&Fly

https://www.lufthansa.com/jp/ja/lufthansa-express-rail-fly

 羽田空港や成田空港の発着枠が逼迫しているのは周知の事実なのですから、外国人観光客を地方に誘客するのであれば、ヨーロッパで多く見られる空港と高速鉄道との連携を推進する方法も検討すべきですし、空港アクセス鉄道の強化による新幹線へのシームレスな乗り継ぎという提言もなされるべきでしょう。記事タイトルにある通り、「新幹線は逃げられない」のですから、それを空港と結び付けない手はありません。

・国際線(チャーター便や不定期便を含む)を誘致するには、日本航空全日空が就航している空港でなければ飛行機の運航補助や旅客取り扱いなどができない。

 これは、空港側の努力次第でどうにでもなる話です。別にJALANAの国内線が就航していなくても、グランドハンドリング事業者に行政が適切な財政支援を実施する事によって、運航補助や旅客取り扱いの安定実施を確保する事は可能です。寧ろ、国際線の誘致という事であれば、地方自治体の努力だけではどうにもならないCIQ(税関、出入国管理及び検疫)をどうやって常設するかの方が重要になるはずなのですが、不思議とこの事は記事中では取り上げられていません。

まして、新幹線というのは地上のルートを走りますから、途中で何らかの形で線路を支障されてしまうと走れないという、当たり前といえば当たり前の現実があります。

例えば、「かかあ天下とからっ風」で有名な群馬県で、からっ風に乗って農業用のビニールシートが飛んできて架線に絡まっただけで新幹線は動けなくなります。

ということは、富山県から首都圏への移動手段の首根っこを、埼玉県、群馬県、長野県、新潟県に握られていることに等しいと考えられますね。

 地上走行区間が多い在来線ならいざ知らず、高架橋やトンネルを多用する新幹線において、気象条件により輸送障害が発生するリスクは極めて限定的です。寧ろ、地上走行区間における輸送障害のリスクを回避する為に、ミニ新幹線で開業した区間をフル規格で建設し直そうという動きすら出てきています。

 富山県に限って言うのであれば、北陸新幹線における輸送障害のリスクと富山空港における欠航のリスクとのどちらが高いかは、ブロハラ読者諸兄には説明するまでもないでしょう。

こういうことを言うとひんしゅくを買うかもしれませんが、すでに新幹線が開業している地域にとってみたら、新幹線はどうでも良いのであって、守らなければいけないのは航空路線なのです。

なぜならば、飛行機はすぐに逃げてしまいますが、新幹線は逃げられないからです。

 記事タイトルにもなっている一節ですが、これがどれだけ不見識であるかは、新幹線を赤字ローカル線に置き換えてみれば解る話です。故宮脇俊三氏の小説に「国鉄全線2万キロ」というものがありますが、赤字ローカル線の沿線住民が「鉄道はどうでも良い」と塩対応を決め込んだ結果が、今日に至る鉄道網の大幅な縮小です。

時刻表2万キロ (1978年)

時刻表2万キロ (1978年)

 

  鳥塚亮氏が社長を務めていたいすみ鉄道において、会社が行政に塩対応されたのか、行政が会社に塩対応されたのか、一概に言い切れるものではありませんが、少なくとも行政と鉄道事業者との緊密な協力なしに赤字ローカル線の存続はあり得ないのであって、行政が「どうでも良い」と塩対応を決めた赤字ローカル線に未来はありません。そして、それが現在進行形で見られるのが、現在のJR北海道なのです。

 新幹線の場合、どれだけ行政が塩対応を決め込んでも、駅そのものが廃止される事はないでしょう。しかし、そんな駅にどれだけ列車を停めるかは、完全に鉄道事業者の裁量です。今後、確実に塩対応への報いが見られるとすれば、沿線自治体が中間駅への財政支援を全面的に拒否したリニア中央新幹線でしょう。どんな塩対応になるかは、実際に品川=名古屋が開業してみなければ判りませんが、少なくとも沿線自治体が期待する程の経済効果が発生しない事は間違いありません。

ということは、JRは一度作ってしまった新幹線はやめたくてもやめられないというのも事実であります。

だとすれば、新幹線は乗ろうが乗るまいが地域にとっては関係ありませんね。

 仮にも鉄道事業者の社長を務めていた人がこんな発言をするとは、世も末です。当たり前ですが、「新幹線に乗ってくれる人」「新幹線で来てくれる人」が多ければ多いほど、地域経済も活性化します。となれば、新幹線の経済効果を最大限に高める為には、出来るだけ新幹線を利用してもらえるように沿線自治体が知恵を出すしかありません。そして、それこそが整備新幹線への財政負担を正当化する唯一の要素になるのです。

地域の人たちは自分たちが東京へ行くことを中心に考えるのではなく、東京の人たち、あるいはインバウンドの外国人の目から見て、どうやったらいらしていただけるかという視点で交通を見るようにしていただければ、今やらなければならないことは何かということがお解りいただけると思います。  

 この視点で考えるならば、最もやってはいけない事は「新幹線は乗ろうが乗るまいが地域にとっては関係ありません」と無関心を決め込む事です。とは言え、私の知る限り、北陸新幹線の沿線自治体でこんな無関心を決め込んでいた所はありませんけどね。

ただ、少なくともいえることは、富山空港と羽田の間には、新幹線が開業した今でも、きちんと飛行機が飛んでいるということで、その航空会社(ANA)の運航サポートにより、昨今では富山空港を発着する国際線も飛び始めているということは紛れもない事実です。

これはつまり、富山県のリーダーの皆様方が航空路線を維持することの大切さに気付いて努力しているということなのです。

 そんな富山県のリーダーの皆様方が、羽田=富山のダブルトラックを維持する事の大切さを無視してJAL富山空港から追い出した事は、今でも忘れていません。

JAL富山陥落か - 五月原清隆のブログハラスメント

 結局、富山県にとって大事なのは「ダブルトラックの維持」ではなく「ANAの羽田便」だったんです。もし、JAL就航当初から富山県がダブルトラックの維持に腐心していれば、今頃は羽田=富山や羽田=山口宇部と同程度には育っていたであろう事が予想されるだけに、JALグローバルクラブ会員の私としては実に残念でなりません。

ということで、皆さん、本屋さんへ行って「鉄道ジャーナル」をどうぞお求めください。

ジャーナリズム的視点で鉄道を取材していますから、勉強になりますよ。

 私は、「新幹線はどうでも良い」などと抜かす輩にジャーナリズムを語って欲しくありませんね。幸い、枝久保達也氏等のまともな論客も寄稿しているので、全体としてはジャーナリズムの体を為していますが。

朝日新聞の報道に見る佐賀県知事のトーンダウン

 長崎新幹線の全線フル規格化に向けて、またマイナス材料となるニュースが飛び込んできました。

mainichi.jp

 発言の内容は失言としても論外で、佐賀県知事に対して失礼であるだけでなく、何よりも韓国や北朝鮮に対して失礼です。もし、谷川弥一議員が自民党ではなく日本維新の会に所属していたら、今頃とっくに維新から除名処分を喰らった上、松井一郎代表が佐賀県庁まで謝罪に訪問し、国会では谷川弥一議員の辞職勧告決議案が提出されていた事でしょう。しかし、実際には山口祥義知事はこのような談話を発表しています。

www.saga-s.co.jp

 丸山穂高議員と同質の失言・暴言の直後にも関わらず、「しっかり向き合いながら誠意を持って対応していきたい」という談話を引き出せる辺りに、自民党の強かさを感じます。

 さて、今回の談話は、第15回佐賀県GM21ミーティング時の記者会見において発表されたものです。

www.pref.saga.lg.jp

 当然ながら、この席上でも長崎新幹線北朝鮮発言が話題に上る事になった訳ですが、そのトーンは報道機関によって大きく異なります。佐賀新聞が「在来線を活用する一点で長崎県と合意し、互いに知恵を出し合いながらやってきた」とする山口祥義知事の発言を強調しているのは先掲記事の通りですが、読売新聞も「新幹線整備を求めていない」とする山口祥義知事の発言を強調し、そこに鹿島市長や小城市長が同調した事も記事にしています。

www.yomiuri.co.jp

 一方で、朝日新聞の記事では、「長崎がどうしてもというなら、新しい話として議論したい」とした山口祥義知事の発言に注目しています。

www.asahi.com

 つい最近、山口祥義知事は「負担ゼロでも認めない」と気勢を上げ、県内だけでなく県外からも喝采を浴びたものですが、この発言がハイライトされてしまうと、整備新幹線のスキームを使わないのであれば、佐賀県内での新幹線建設を認める」という趣旨だと誤解されてしまいます。

 勿論、「負担ゼロでも認めない」という発言自体が有権者へのリップサービスでしかなく、水面下では副島良彦副知事共々全線フル規格化の財源負担に係る条件闘争を続けていたという事であれば、単なるソフトランディング狙いの発言と解釈する事は可能です。しかし、昨年の佐賀県知事選挙で全線フル規格化推進派が対抗馬を擁立できなかった所を見ても解るように、佐賀県民の大多数は真に長崎新幹線そのものを求めていないのであって、ここへ来て(仮に佐賀県の財政負担が大幅に軽減されるとしても)長崎新幹線の建設容認に転向するような事があれば、今度は山口祥義知事自身の進退問題に直結する事になります。果たして、佐賀県民の真意が「負担ゼロでも認めない」なのか「負担ゼロなら認める」なのかは、長崎県との議論に臨む前に改めて確認しておくべきでしょう。

 山口祥義知事は、武雄温泉=長崎の先行開業までに結論を出せば良いという程度に考えているのかも知れませんが、長崎県JR九州も全線フル規格化で佐賀県を「転ばせる」機会を虎視眈々と狙っています。朝日新聞の報道が事実だとすれば、こんなに短期間で大幅にトーンダウンした事になる訳で、この勢いだと6月までに佐賀県が全線フル規格化で全面降伏させられる事になりかねません。「リレー方式の長期化もやむを得ない」という発言通りに整備方式の議論を長期化させたいのであれば、山口祥義知事は改めて脇を引き締めるべきでしょう。

もしもAnswer×Answerがオンレートだったら(つづき)

 昨日の記事の続きです。

もしもAnswer×Answerがオンレートだったら - 五月原清隆のブログハラスメント

 この記事では、通常の全国対戦を前提にAnswer×Answerをオンレートにする事を考えてみましたが、実際のAnswer×Answerにおいては「特番」としてサバイバルバトル(緑特番)や総当たりバトル(黄特番)が実装されていました。当然ながら、Answer×Answerをオンレートにする場合は、サバイバルバトルや総当たりバトルでもレートが付く事になる訳で、ここでは補足的にこれらの特番やイベント大会のレートを考えてみます。

 

【増1.サバイバルバトルのレート】

 サバイバルバトルは、全員が★×6を持った状態でスタートし、★の数が0以下になったら脱落します。全国対戦では、★×10を基準としてレートを設定しましたが、サバイバルバトルでは最大でも★×8までしか増えない為、★×6からのマイナスについてレートを設定すべきでしょう。

 順位ウマについては全国対戦と同一のものを適用するとして、★のレートは概ね以下の通りでしょうか。

  • 【点5相当】200G(最初に脱落すると▲2,200G)
  • 【ピン相当】1,000G(最初に脱落すると▲9,000G)
  • 【スピードバトル相当】2,000G(最初に脱落すると▲17,000G)
  • 【デカピン相当】20,000G(最初に脱落すると▲150,000G)

 何れも、全国対戦の2倍のレートになっていますが、元々の基準が低い分、特に点5相当はそんなに大きな動きにはなっていません。とは言え、全国対戦が稼働していた当時もサバイバルバトルを苦手にしていた人は多くいましたから、そういう人にとっては強制的にこれだけ持って行かれてしまうのは実に厳つい話でしょう。

 

【増2.総当たりバトルのレート】

 総当たりバトルは、リーグ戦で1vs1の対戦を3試合行い、その上位2名が決勝戦に進出するというものです。当然ながら、★という概念自体がありませんから、順位ウマ以外のレートは得失点差で付ける事になります。

 順位ウマについては全国対戦と同一のものを適用するとして、得失点差のレートは概ね以下の通りでしょうか。

  • 【点5相当】100G(予選で3試合とも完封負けすると▲1,900G)
  • 【ピン相当】500G(予選で3試合とも完封負けすると▲7,500G)
  • 【スピードバトル相当】1,000G(予選で3試合とも完封負けすると▲14,000G)
  • 【デカピン相当】10,000G(予選で3試合とも完封負けすると▲120,000G)

 何れも、全国対戦の★と同価のレートにしていますが、完封負け(0pt - 30pt)の最下位でもそれほど大きくは沈みません。サバイバルバトルとは逆に、普段よりも大人しいレートに感じられる事でしょう。

 

【増3.イベント大会のレート】

 イベント大会は、1vs1の対戦を1クレジット当たり3試合(チケットボーナスがある場合は4試合)行い、タワーを登っていくものです。★の概念がないのは勿論、順位ウマの概念も存在しません。そこで、1試合毎にサシウマを設定し、同時に1試合毎の得失点差にもレートを設定する事とします。

 サシウマ及び得失点差のレートは、概ね以下の通りでしょうか。

  • 【点5相当】サシウマ:500G、得失点差:100G(3試合とも完封負けすると▲2,400G)
  • 【ピン相当】サシウマ:1,000G、得失点差:500G(3試合とも完封負けすると▲7,500G)
  • 【スピードバトル相当】サシウマ:2,000G、得失点差:1,000G(3試合とも完封負けすると▲15,000G)
  • 【デカピン相当】サシウマ:10,000G、得失点差:10,000G(3試合とも完封負けすると▲120,000G)

 クイズ力だけで言うと、Answer×Answer 2以降のイベント大会では絶対にマイナスにはならなかった為、特に下位のプロアンサーにとってはイベント大会は格好の「稼ぎ場」だった訳ですが、オンレートになった瞬間に下位プレイヤーの狩り場となってしまいます。1クレジット当たりの平均プレイ時間も全国大会よりは短くなる為、時間当たりの勝ち負けも全国大会より大きくなる事でしょう。

 

 こうして見ると、特番やタワーもオンレートならそれなりにアツいバトルが期待できそうな感じがします。往時のアンサーの中には、これらのクイズを得意としていた人も多くいますから、全盛期の私がそういう人と戦って何処までの成績を残せたのかは、気になる所です。今となっては、麻雀と同じくらいボロ負けしそうですが。

もしもAnswer×Answerがオンレートだったら

 早いもので、Answer×Answer最後の店舗大会から2年が過ぎました。最近になって、私も少しずつ麻雀を打つ頻度が高くなってきましたが、現役アンサー時代の私は「スポラン部の調整でフェアリーに行く」というハイブリッド生活を送っていました。今でこそ、Mリーグの影響でノーレートの雀荘も増えてきましたが、当時のフリー雀荘は(というか現在のフリー雀荘も)殆どがオンレートで、「ノーレートのクイズ大会の調整をオンレートの麻雀で行う」という、なかなか酔狂な調整でした。

 一般的には、まだまだ「麻雀=ギャンブル」というイメージが強いですが、では実際に麻雀で食えるかとなると結構難しいというのが、福地誠先生の有料noteで書かれていました。

note.mu

 私は、この記事に出てくるような仕事師の域には到底達していませんが、現役アンサー時代は一応「プロ」を名乗れる程度には勝てていました。そんな当時を振り返る度に、「Answer×Answerがオンレートだったら、結構稼げていたんだろうなぁ」という思いが募ってきます。そこで、今回はAnswer×Answerが市井のフリー雀荘と同程度のレートで打つクイズゲームだったらどうなるかを妄想してみました。

 

【共通条件(通常の全国対戦)】

 レートの基本は順位ウマ+★の数です。順位ウマは、4位・3位にそれぞれレートに応じたマイナスを付け、準優勝に一定額のプラスを付けた残りを優勝者に付けます。★の数は、逆転ラウンド終了時に★×10を基準(麻雀で言う返し点)として★1つ当たりにレートを設定し、精算時に加算します。決勝戦では、10pt当たりのレートを設定し、トータルの収支に加算します。

 

【1.点5相当のソフトなレート】

 ここでのレートは、以下の通りです。

  • 順位ウマ:+1,500G/±0G/▲500G/▲1,000G
  • ★×10を基準として、★1つ当たり100G
  • 勝戦では、10pt当たり100Gを加算

 この場合、予選を★×24で通過してから決勝戦でストレート勝ち(30pt獲得で優勝)すると、単純計算で1,500+1,400+300=3,200Gの勝ちとなります。また、予選を★×(-6)で敗退(第1ラウンド・第2ラウンドとも最下位で、逆転ラウンドでも2誤答・正解なしで4位敗退)すると、▲1,000+▲1,600=▲2,600Gの負けとなります。実際の精算では、4位・3位の負け分から準優勝の勝ち分を引いた残りが優勝者の勝ち分となりますから、ここまで大きく勝ち負けが発生する事はないでしょうが、概ね点5のフリー雀荘と同程度の体感レートになる事でしょう。

 

【2.ピン相当の標準的なレート】

 ここでのレートは、以下の通りです。

  • 順位ウマ:+4,000G/±0G/▲1,000G/▲3,000G
  • ★×10を基準として、★1つ当たり500G
  • 勝戦では、10pt当たり500Gを加算

 この場合、予選を★×24で通過してから決勝戦でストレート勝ちすると、単純計算で4,000+7,000+1,500=12,500Gの勝ちとなります。また、予選を★×(-6)で敗退(第1ラウンド・第2ラウンドとも最下位で、逆転ラウンドでも2誤答・正解なしで4位敗退)すると、▲3,000+▲8,000=▲11,000Gの負けとなります。ピンのフリー雀荘では、チップのウェイトが点5よりも大きくなりますから、それなりにチップが動いた際の勝ち負け(それも6万点終了やトビ終了)に近くなり、ギャンブル色が若干濃くなってきます。

 

【3.スピードバトル相当の厳ついレート】

 ここでのレートは、以下の通りです。

  • 順位ウマ:+7,000G/±0G/▲2,000G/▲5,000G
  • ★×10を基準として、★1つ当たり1,000G
  • 勝戦では、10pt当たり1,000Gを加算

 この場合、予選を★×24で通過してから決勝戦でストレート勝ちすると、単純計算で7,000+14,000+3,000=24,000Gの勝ちとなります。また、予選を★×(-6)で敗退(第1ラウンド・第2ラウンドとも最下位で、逆転ラウンドでも2誤答・正解なしで4位敗退)すると、▲5,000+▲16,000=▲21,000Gの負けとなります。東風戦のフリー雀荘だと、かなりのスピードで場が回りますから、体感的にはそれに近いレートになるでしょう。警察当局が「娯楽の範疇」とお目こぼししてくれるかも知れないギリギリのレートです。

 

【4.デカピン相当のマンションレート】

 ここでのレートは、以下の通りです。

  • 順位ウマ:+40,000G/±0G/▲10,000G/▲30,000G
  • ★×10を基準として、★1つ当たり10,000G
  • 勝戦では、10pt当たり10,000Gを加算

 この場合、予選を★×24で通過してから決勝戦でストレート勝ちすると、単純計算で40,000+140,000+30,000=210,000Gの勝ちとなります。また、予選を★×(-6)で敗退(第1ラウンド・第2ラウンドとも最下位で、逆転ラウンドでも2誤答・正解なしで4位敗退)すると、▲30,000+▲160,000=▲190,000Gの負けとなります。こうなると、完全にクイズ賭博の世界ですし、流石にゲームセンターという風俗営業で開帳できるレートではありません。そして、ここまで来ればAnswer×Answerの世界でも仕事師が暗躍する事になるでしょう。

 

 こうして見ると、一般人に毛が生えた程度のプレイヤーが参入できるのは精々ピン相当までで、スピードバトル相当以上のレートになると本職のクイズ屋同士の鉄火場になる事が容易に想像されます。そして、「クイズで1,000万円貯めた男」なんて本が世に出て、プロのクイズ屋が生まれる事になるのでしょう。 

真剣 実録!!フリーで1000万貯めた男 (近代麻雀コミックス)

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  そういえば、この題材となった人も今や立派なMリーガーですよね。

大津事故における保育園側の落ち度

 暫く更新が空きました。元々、毎日更新をモットーとするブログではないので、今後も不定期に更新していきます。そして、「二度ある事は三度ある」と身構えていたTwitterスラップ通報ですが、今のところ3回目は来ていない模様です。とは言え、決して油断できる状況ではありませんので、引き続き状況を見守っていきます。

 さて、たまには新幹線以外の事も書きます。

 交通事故ネタは、So-net blog時代に凍結処分を食らう直接の原因となった鬼門ではあるのですが、こういう記事が出てしまうと、やはり黙ってはいられなくなります。

www.j-cast.com

www.kyoto-np.co.jp

 何を以て「落ち度」とするかの定義は色々ですが、取り敢えず保育園側に「交通事故の過失割合」における過失責任がない事について争いはないかと思われます。横断歩道で漫然とスマホを見ながら信号待ちしていた所にもらい事故した所で、歩行者側の過失責任を追及する事は困難だからです。

 しかし、ここまで「保育園に落ち度はない」とばかり繰り返されてしまうと、果たして本当にそう言い切れるのか訝ってしまいます。そして、保育園側の落ち度を考える上で重要な参考資料となるのが、事故現場を撮影したGoogleストリートビューです。

www.huffingtonpost.jp

 事故現場となった大萱六丁目交差点の見取り図は、この記事に載っていました。

www.asahi.com

 大萱六丁目交差点には、歩行者を保護する為のガードレールこそありませんでしたが、一応車道と歩道とを区画する縁石の設置はありました。そして、今回の事故においては、下山真子容疑者が運転していた軽自動車は、この縁石の右側から歩道に侵入し、園児や保育士を跳ね飛ばしています。

 今回、ポイントとなるのはこの縁石です。Googleストリートビューで園児や保育士が待機していた場所は、滋賀県道559号を唐橋東詰交差点方面に南進している車両から見ると、ちょうど縁石の裏側に位置します。交通工学上の精密なシミュレーションを経ないと正しい結論にはならないかも知れませんが、この位置で待機していれば、仮に右直事故が発生したとしても、直進車の速度が縁石で減殺され、或いは進行方向が逸れていた可能性があります。

 そして、今回の事故で園児や保育士が直進車の直撃を受けたという事は、即ち保育士が直進車の歩道への侵入を想定していなかったという事です。これが歩行中の事故であれば、まだ「保育園側に落ち度はなかった」と強弁する事も出来るかも知れません。しかし、今回の事故においては、園児や保育士はあの場所で信号待ちをしていた事が、警察や保育園の発表で明らかにされています。

www3.nhk.or.jp

 もし、Googleストリートビューの画像と同じ場所で信号待ちをしていれば、或いは2名の園児の命は奪われなくて済んだかも知れません。大萱六丁目交差点で発生する様々な交通事故のパターンを想定しても、縁石の裏側に車両が侵入するパターンは他のパターンよりも想定しにくく、今回事故が発生した場所が信号待ちにおいて「最も安全な場所」であったかについては些かの疑問が残ります。そして、この疑問が残る限り、果たして本当に「保育園側には何の落ち度もなかった」と断言できるのかは、改めて批判的に検証する必要があります。

 繰り返しますが、今回の事故における保育園側の過失割合はゼロです。しかし、縦令過失割合がゼロだとしても、交通事故でより重大な損害を受けるのは100%歩行者の方なのです。だからこそ、「落ち度はなかった」と思考停止に陥るのではなく、より安全な選択(或いはより被害を軽減できる選択)を常に追求すべきなのです。そして、保育園児が自らその選択を行う事が難しいからこそ、園児を散歩させる時は保育士により重大な選択責任が課せられるのです。この事は、行政(道路管理者や公安委員会)に道路環境の改善を求めるのと同時に、歩行者への意識啓蒙も進められるべきでしょう。

四国新幹線の問題点

 10連休の最終日に、日帰りで大阪へ行ってきました。メインの目的は麻雀でしたが、折角大阪へ行ったのだからと、おおさか東線を乗り潰すと共に、恵美須町のモモモグラで開催されている「漫画ローレンス展」に行ってきました。

 流石に、お土産を買おうにも、職場に持ち込んだらセクハラで一発レッドカードの限りなくアウトに近いアウトな商品しかありませんでしたから、手ぶらで帰ってきましたけどね。

 さて、またも新幹線ネタです。これまでは長崎新幹線の話ばかりでしたが、今回は四国新幹線の話です。

 このツイート主に些かの事実誤認は見受けられるのですが、私自身は「四国新幹線は不要」という立場です。但し、これはあくまでも四国新幹線整備新幹線として建設するならばという前提であり、四国4県が地域単独事業として四国新幹線を建設するのであれば、住民の総意に基づく限り外野が口を挟むべきではないと考えます。

 整備新幹線のスキームで四国新幹線を建設しようとする場合、その着工時期はどんなに早くても北陸新幹線敦賀=新大阪が開通する2046年度以降になります。現時点でさえ、JR四国の沿線自治体は過疎化に次ぐ過疎化で旅客需要が落ち込んでいるというのに、これから更に四半世紀も経過した後となれば、最早B/Cの計算すら出来ないレベルまで沿線自治体の人口減少が申告になっている事が予想されます。そして、JR四国の経営状態も極めて深刻な事態に陥り、現在のJR北海道のような立場に置かれている事でしょう。

 では、これから速やかに四国新幹線を事業化するならばという話ですが、これは全く現実味がありません。と言うのも、整備新幹線のスキームによる着工を待たないという事であれば、事業費に係る国費負担は一切期待できないという事になりますから、事業費の全額を四国4県や沿線市町村で負担する必要があります。当然ながら、JR四国にも自社事業として四国新幹線を建設できるだけの余裕はありません。構想を練るだけならタダかも知れませんが、いざ四国新幹線を建設しようとなれば、その費用を誰が負担するのかという議論で早々に行き詰まってしまいます。

 となると、今度は「四国4県の身の丈に合った輸送力増強」という事で在来線の改良という考え方も出てきますが、残念ながらJR四国の在来線に改良の余地は殆ど残されていません。JR四国の特急形車両が振り子式車両ばかりなのは、それだけ在来線の線形が悪いという事でもあり、これを改良するとなると線路の大幅な付け替えが必要になってしまいます。新幹線であれば、駅付近以外は山間部を長大トンネルで貫く事も可能ですが、在来線の改良となると既存駅の経由は不可避となる訳で、若干の駅移設を受容するにしても土地買収費用だけで膨大な金額になってしまいます。勿論、複線化なんかしようものなら、更に事業費は膨れ上がってしまいます。

 国鉄分割民営化から30年余のJR四国の歴史は、血反吐を吐くような努力で特急列車を高速化しても、結局は高速道路の開通でフルボッコにされるという繰り返しでした。その昔、国鉄改革において角本良平氏が「四国の線路は全て剥がしてしまうべき」と主張していましたが、四国新幹線を建設する財源が沿線自治体になく、整備新幹線のスキームで順番待ちしている間にJR四国の体力が尽きる可能性も高い事を考えると、これからのJR四国が進むべき道は、現状維持よりも寧ろ縮小均衡です。どんなに在来線特急を高速化した所で、線形という根本的な問題が解消されない以上、高速道路を走行する自家用車や高速バスへの勝ち目はないのですから、先ずは車体傾斜式車両による高速化自体を諦める所から始めるべきです。振り子式車両に代表される車体傾斜式車両は、開発費や維持費が高額になるだけでなく、軌道への負担も大きくなります。それならば、今後開発・導入する特急形車両は、車体傾斜装置を省略し、最高速度も予讃線で110km/h程度に抑えた方が、高速バスとの競争力こそ失っても、特急形車両として「維持可能」なものになるでしょう。

 そして、これらの縮小均衡により特急列車も普通列車も採算を維持できなくなるのであれば、その時はいよいよ「四国における鉄道の要否」というテーマに真正面から向き合うべきです。正直な所、四国程度の人口規模や経済規模しかないのであれば、都市間輸送において鉄道と高速道路との両立が必要とまでは言えない可能性もあります。少なくとも、形式上は民間企業であるJR四国に路線維持の負担を押し付けるのは酷な話で、在来線を維持しようとするのであれば、四国新幹線の建設の有無に関わらず、行政の積極的な財政支援が不可避となります。あとは、四国4県が鉄道の維持に対してどれだけの財政負担を受容できるかの問題です。取り敢えず、「鉄道はタダでは維持できない」という認識は、四国4県の住民に(当然それ以外の住民にも)広めるべきでしょう。

既存区間の改良に向けた新しい整備新幹線のスキーム

 何だか、復活後のブロハラでは長崎新幹線の事ばかり書いているような気がしますが、今日も新幹線ネタです。お題はこちら。

 九州新幹線の全線開通時からある程度問題にはなっていた話ですが、ここへ長崎新幹線まで乗り入れるとなった時に、いよいよ本格的に考えなければならないのが、新大阪駅の容量不足問題です。特に、山陽新幹線からの折り返しについて、現状はほぼ考慮されていないと言い切れるレベルです。それは、新大阪駅の配線図を見れば解る事です。

ja.wikipedia.org

 新神戸方には東海道新幹線用の引上線が設置されている為、山陽新幹線の上り列車が新大阪駅で折り返す為には、引上線の更に遠方にあるシーサスクロッシングを使うしかありません。これにより、かなりの長距離を本線逆走する事になってしまい、それが増発余力を大幅に削減してしまっています。

 そんな新大阪駅では、国土交通省が新幹線用の地下ホームを増設する事を検討し始めています。

www.nikkan.co.jp

 どのようなスキームで地下ホームを建設するのかは不明ですが、現時点で考えられるのは以下の3つでしょう。

  1. 財政投融資の活用により、国土交通省の単独事業として施行する。
  2. 北陸新幹線新大阪駅の先行工事とみなして、整備新幹線のスキームを適用する(福井駅の高架化と同様)。
  3. 整備新幹線に関連する既存区間の改良として、新たなスキームを構築する。

 この中で、一番手間が掛からないのは既存スキームを流用できる2番ですが、当然ながら沿線自治体である大阪府に多額の財政負担が生じる事になり、場合によっては京都府福井県にも財政負担が発生してしまいます。いくら将来的には北陸新幹線に活用できるとは言え、当面は山陽・九州新幹線の専用ホームとして供用される事になる地下ホームの建設に京都府福井県が財政負担する事は、納税者である京都府民や福井県民の理解を得る事は難しいでしょう。勿論、大阪府としても簡単に支出できる金額ではありませんから、実際には敦賀=新大阪の着工予定である2031年度まで身動きが取れなくなってしまう事でしょう。

 では、1番はどうかと言うと、これはこれで「誰が受益者(=最終的な建設費の負担者)となるか」という問題が残ります。実際の施工が鉄道・運輸機構になるのはほぼ間違いありませんが、線路使用料をJRから徴収できるのか、徴収できるとしたら鉄道・運輸機構のどの事業に該当するのか、法令レベルでの整理が不可避となります。そして、地方自治体の財政負担を着工の前提としている整備新幹線のスキームが存在する脇でその枠外から国土交通省の直轄事業が可能になるのであれば、当然ながら大宮駅や福島駅についても沿線自治体から改良要求が湧いてきますから、事態の収拾が付かなくなってしまいます。

 となると、やはり正攻法は3番の新スキーム策定でしょう。既存区間の改良の場合、基本的に施工区間が所在する地方自治体と直接の受益がある地方自治体とは一致しませんから、通過距離に応じて地方負担分を比例按分する従来のスキームは適合しません。そこで、既存区間の改良においては、通過距離ではなく受益割合に応じて個別に地方自治体間の負担割合を決定する事とすべきです。例えば、上越新幹線大宮駅の配線を改良して大宮始発の列車を多数設定できるようにすれば、その受益は埼玉県だけでなく新潟県富山県、石川県にも及びます。また、新大阪駅山陽新幹線専用の地下ホームが設置されれば、その受益は遠く鹿児島県や長崎県長崎新幹線が全線フル規格になった場合)にまで及びます。この受益を数値化するのは困難かも知れませんが、改良区間の所在自治体に財政負担のモチベーションが余りない事を考えれば、新幹線の沿線自治体全体で広く財政負担するスキームの構築は十分検討に値します。

 そして、このスキームが確立すれば、長崎新幹線を力技で全線フル規格にする方法にも目が出てきます。現時点では、武雄温泉でのリレー方式で暫定開業する事はほぼ確実ですから、博多=武雄温泉での運行が見込まれる「リレーかもめ(仮称)」も長崎新幹線の一部と見做せなくもありません。そして、整備新幹線を暫定的に代替する区間である新鳥栖=武雄温泉の在来線を「改良」するという名目で、フル規格の車両が260km/h以上で走行可能な新線を建設する事にしてしまえば、財政負担に係る議論から佐賀県をハブる事が可能になります。勿論、山口祥義知事が「負担ゼロでも認めない」と明言している以上、この裏技が使えなくなる可能性も当然ありますが、外堀を埋める1つの方法として検討する事も無駄ではないでしょう。

 既存のスキームを活用するにしろ、新しいスキームを構築するにしろ、これからの新幹線の整備は地方自治体の積極的な財政負担なしには進展し得ません。いくら整備新幹線の建設が進んだ所で、既存区間ボトルネックがあったら十分に活用できないのですから、その解消の為には整備新幹線の受益自治体による十分な財政措置が行われるべきでしょう。

並行在来線の沿線自治体が学ぶべき「攻めの廃線」

 Twitterアカウントの凍結騒ぎで、先月末に読んだ日本経済新聞の記事についての言及が遅れてしまいました。

 

 鈴木直道北海道知事が夕張市長時代に推進した「攻めの廃線」は、夕張市の内外で様々な異論反論を浴びる事もありましたが、結果的に夕張市民からは一定の評価を得ているようです。

www3.nhk.or.jp はてなブログにURLの埋め込み機能があるというのは初めて知りましたが、リンク切れを起こした後にどう表示されるのかは不明です。

 閑話休題夕張市の場合は、(旧)財政再建団体に転落した事情もあり、石勝線夕張支線の維持に十分な財政支援を行う事が出来なかった為、鉄道の維持を早々に諦める代わりに、「夕張市民の移動手段の確保」を最終防衛ラインと設定して、その維持に向けた交渉をJR北海道と行う事が出来ました。鈴木直道前市長に対する夕張市民の高評価は、現実路線での交渉により住民の利便性を確保できた事の証左でしょう。

 北海道には、石勝線夕張支線の他にも、JR北海道が自力での維持が困難だとする線区が12あります。これらの沿線市町村が赤字ローカル線への財政支援に軒並み非協力的である事を考えれば、鈴木直道新知事による「攻めの廃線」の全道展開により、何れ廃止・バス転換への道を辿る事になるでしょう。

当社単独では維持することが困難な線区について

https://www.jrhokkaido.co.jp/pdf/161215-4.pdf

 北海道の場合、「攻めの廃線」が必要になる理由の多くは過疎化や少子高齢化による利用者の大幅減ですが、内地においても「攻めの廃線」が必要になる路線はあります。それは、整備新幹線の開業により並行在来線として経営分離される区間です。現時点でも、以下の区間並行在来線としてJRからは経営分離される予定となっています。

 そして、整備新幹線が全線開業した暁には、以下の区間並行在来線の仲間入りをする事になります。

 この内、長崎本線肥前山口諫早)については、整備新幹線の着工5条件に係る交渉から鹿島市をハブる為に、当面の間はJR九州が自社運行する事となっていますが、何れ経営分離される事については何等変わりはありません。

 これらの路線は、何れ沿線自治体による第三セクターへと移管される事になりますが、並行在来線のどの区間を経営分離するかはJRの胸先三寸で決まりますから、このまま漫然と整備新幹線の開業を待っていれば、信越本線篠ノ井=長野)や鹿児島本線(川内=鹿児島中央)のようなエエトコドリを許す事になります。上記の並行在来線で言えば、湖西線が将にJR西日本のエエトコドリのターゲットになる事でしょう。

 では、何故ここで「攻めの廃線」が必要になるかという事ですが、石勝線夕張支線でも湖西線でも「将来的な廃線(JRからの経営分離)は不可避」という出発点は共通しているからです。それならば、廃線を所与の条件として、その後で出来るだけ沿線自治体が有利になる廃止条件をJRから引き出す事こそ、行政の使命であると言うべきです。そして、この交渉は早期に始めれば始めるほど、沿線自治体にとって有利な条件を引き出しやすくなります。

 佐賀県滋賀県も、「並行在来線の経営分離など罷り成らん」という一本槍で、凡そ経営分離に向けた条件闘争などという態度は見られません。しかし、これまでの整備新幹線の経緯を見れば、最終的に並行在来線が(特に営業係数が伸びそうにない区間は)分離される事が不可避なのは自明であり、一方で第三セクターの経営努力により却って利便性も採算性も高くなるという事実も富山県や石川県で証明されています。それならば、下手に態度を硬化させるよりも第三セクターが経営努力し易くなる環境の構築に尽力した方が、余程沿線住民の福祉の向上に貢献すると言うべきです。

 湖西線で言うならば、堅田以北だけ経営分離されるよりは、山科=堅田も含めて経営分離してもらった方が、第三セクターの採算性は向上します。それならば、滋賀県JR西日本と交渉すべきは、北陸新幹線開業後の運行継続ではなく、全線の経営分離を前提とした利便性向上策の確保でしょう。堅田近江今津で経営分離された場合、第三セクターからJR西日本への直通は絶望的でしょうが、山科からの経営分離となれば、京都までの片乗り入れは十分交渉可能ですし、ともすれば大阪以遠からの相互直通運転まで視野に入ります。また、今から条件闘争を始めれば、(旧)京都総合運転所の継続利用についてもJR西日本から有利な条件を引き出せる可能性があります。北陸新幹線の着工前倒しを主張する向きは、こうした所について滋賀県を側方支援する事も考えるべきでしょう。

 そして、今となっては手遅れになってしまった部分も多々ありますが、本来は佐賀県もこういう条件闘争を行うべきでした。長崎新幹線については、鹿島市の並外れた政治力により整備新幹線のスキームを大きく逸脱する部分が多々ありますが、将来的に肥前鹿島が新鳥栖=長崎のメインルートから外れる事は不可避な訳で、武雄温泉=諫早の新線建設が既定路線になった時点で、佐賀県並行在来線の将来について現実路線に切り替えるべきでした。もし、早期に佐賀県鹿島市が現実路線に切り替えていれば、全線フル規格での建設(及びそれに伴う佐賀県の財政負担)の見返りに、JR九州から以下の条件を引き出す事は決して不可能ではなかったでしょう。

 「プロ市民」という言葉が元鹿島市長の桑原允彦氏による造語である事は広く知られていますが、本来であれば国家プロジェクトとしての整備新幹線に協力しつつ水面下で並行在来線の運営に有利な条件を引き出す事こそ「プロ公務員」の仕事でしょう。もし、佐賀県鹿島市がこうした現実路線を考える地方自治体であれば、FGTの開発頓挫と同時に長崎新幹線の全線フル規格化がスムースに実現し、今頃は着工時期も具体化されていた事でしょう。こればかりは、長崎新幹線全線フル規格化推進派である私も、実に残念でなりません。