五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

相変わらず改善されない北橋健治の自己矛盾

 新北九州空港繋がりで、このニュースも載せておきます。

福岡空港将来案 北九州と機能分担を 北橋市長 知事に申し入れへ

http://symy.jp/5uKfウェブ魚拓+ウェブ精米)

 これについては、以前に決定的な自己矛盾を指摘していますが、なお念の為その指摘を再掲しておきます。

【問題】

福岡空港は遠くて不便」とする北九州市民が、福岡市民に対して「長距離国内線や国際線を新北九州空港に移管せよ」と訴える事の二重基準について説明せよ。

 これを踏まえた上で、北橋健治の私案にツッコミを入れる事にします。


1.24時間運用の北九州空港の利便性

 これが活用されるのは当然ながら早朝・深夜のみですが、現在の北九州空港において、福岡空港運用時間外*1に発着する定期便は発着合わせて1日7便のみです。しかも、その内2便は福岡空港の運用時間が前後30分ずつ延長されれば就航可能になってしまいます。そこそこ搭乗率を稼いでいるSFJ91便はまだしも、SFJ93/70便は周知の通り鳴かず飛ばずで、GXY701/702便もどれだけギャラクシーエアラインズの収益に繋がっているのか不透明です。お世辞にも、「24時間空港として八面六臂の大活躍」とは言えないのが、新北九州空港のお寒い現実なのです。
 この事は、新北九州空港よりも1年早く開港した中部国際空港セントレア)を見ても分かる事です。旧名古屋空港(現在の県営名古屋空港)は、福岡空港よりも1時間厳しい21時門限で運用していましたが、折角24時間運用の中部国際空港が開港した所で、早朝・深夜帯に発着する旅客便は片手に余る程であり、その全てが国際線の出発便です。名古屋よりも国内線・近距離国際線の比重が高まる福岡においては、24時間運用のメリットは殆ど生かされる事はなく、現状の北九州空港と同程度の利用に留まる事でしょう。


2.最小限の投資で航空需要に対応できる

 最小限の投資というのは、北九州空港旅客ターミナルビルの拡張や滑走路の延長、新北九州空港アクセス鉄道の建設などの事を指しているのでしょうが、どう少なく見積もった所で、これらの総事業費は軽く1,000億円を超えます。勿論、新福岡空港を建設するよりは安上がりになる事でしょうが、果たしてどれだけの航空需要移転が見込めるかとなると、甚だ疑問です。というのも、仮に新幹線が博多駅から北九州空港まで直通運転したとして、その所要時間は凡そ30分弱、運賃は2,600円*2以上になるからです。これは、空港アクセスとしては成田空港・関西空港に次ぐ水準であり、福岡空港アクセス費用の10倍以上になってしまいます。成田・関空の両空港アクセスに対する批判の多さを考えれば、福岡における批判の多さはここで語るまでもないでしょう。
 更に言うと、新北九州空港の立地は、福岡都市圏からアジア各都市に向かうには逆方向となってしまう事も、新北九州空港福岡空港の航空需要の受け皿たり得ない理由となります。特に、支那大陸に向かうに当たっては、福岡市内=新北九州空港支那大陸というのは完全な行って来いの無駄足であり、福岡都市圏の国際競争力を無用に殺ぐ結果となってしまいます。「一部路線を新北九州空港に移管する」という時の「一部路線」とは即ち国際線を含む長距離路線であり、この限りにおいて、新北九州空港福岡空港との機能分担は百害あって一利なしというべきです。


3.北部九州全体の発展に繋がる

 これは、新北九州空港に新幹線が乗り入れるという前提での話なのでしょうが、北九州都市圏を除く九州各都市の利用者にとっては迷惑千万というものです。少なくとも、福岡市以南からは単純に移動距離が伸びるだけですし、場所によっては福岡市以北でも新北九州空港の方が不便になります。当然ながら、移動距離が伸びれば時間コストも金銭コストも嵩む事になりますし、福岡空港のように近隣各地から1,000円均一で高速バスを走らせる事も出来なくなります。勿論、博多駅での乗り換えを強いられるようになる福岡市交空港線沿線の利用者にとっても、新北九州空港への機能移転は単純にアクセスコストの負担増となってしまいます。
 新北九州空港への移転で便利になるのは、精々北大圏の内中津市以北くらいのもので、利用者数を比較すれば便利になる人よりも不便になる人の方が圧倒的に多いのです。そして、新北九州空港へ移転させられる事による需要萎縮効果を考えれば、北九州都市圏においてすら、国際線機能の新北九州空港への移転は果たして利便性向上になるのか疑問でなりません。新北九州空港への機能移転によって確実に潤うのは、滑走路・誘導路拡張やアクセス鉄道建設などで仕事が舞い込む地元の土建屋だけなのです。そして、土建屋の飯の種をでっち上げる為に、九州各都市の航空利用者は不便を強いられる事になるのです。



 新北九州空港は、言うまでもなく北九州都市圏の航空利便性向上に資するのが第一義です。そして、需要予測を大幅に下方修正した2002年度までは、その北九州都市圏の利用者だけで年間580万人もの乗降客数を集めるとしていたのです。この580万人という数字こそが、新北九州空港における4,000億円近くもの総事業費を正当化してきたのであり、罷り間違っても福岡空港からの機能移転などというものは含まれていません。
 もし、この前提を破棄し、福岡空港との機能分担を新北九州空港の主目的に含めるというのであれば、改めて新北九州空港の事業正当性に対する九州全体での合意形成が必要なのは、言うまでもありません。その時は、単に福岡空港の機能が新北九州空港へ移転する事によるメリット・デメリットを開示するのみでなく、現状の新北九州空港が下方修正した需要予測すら大幅に下回る実績しか上げられていない事に対するケジメが必要です。それが、新北九州空港へ移動させられる事によって不利益を被る九州の航空利用者に対する説明責任というものです。
 果たして、北橋健治には北九州市長としてこの説明責任を果たすだけの覚悟はあるのでしょうか。もし、新北九州空港の需要予測詐欺に対する説明なしに福岡空港との機能分担を謳い続けるのであれば、今度は北橋健治自身が詐欺師の汚名を授かる事になるでしょう。そして、その時が新北九州空港の「終わりの始まり」となるのです。

*1:22:00から翌7:00までの9時間です。

*2:現在、博多=小倉の運賃は1,110円、自由席特急料金は950円です。新北九州空港アクセス鉄道は、小倉=北九州空港の運賃を550円と予定していますから、これ以上の運賃