五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

自転車でも人を轢き殺せます

 自転車だと、交通事故時の救護義務違反って問われないんですかね。

○自転車で高齢者ひき逃げの男を逮捕

http://response.jp/issue/2005/0728/article72955_1.html

 この記事、よく読んでみると自転車で轢いたのではなく自転車に乗りながら蹴飛ばしたという事になっているのですが、傷害だけではなく道路交通法違反も問えますよね。取り敢えず、引っ掛けられそうなのはこの辺。

(安全運転の義務)

第70条 車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。
(罰則 第119条第1項第9号、同条第2項)

(運転者の遵守事項)

第71条 車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。
2の2.前号に掲げるもののほか、高齢の歩行者、身体の障害のある歩行者その他の歩行者でその通行に支障のあるものが通行しているときは、一時停止し、又は徐行して、その通行を妨げないようにすること。

(交通事故の場合の措置)

第72条 車両等の交通による人の死傷又は物の損壊(以下「交通事故」という。)があつたときは、当該車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官か現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。


 条文上は、自転車でも交通事故時の救護義務はありますし、違反すれば第117条の5によって1年以下の懲役又は10万円以下の罰金です。これは、刑法上の過失致傷(第209条)や過失致死(第210条)よりも刑が重く*1、軽傷事故であっても親告罪扱いとはなりません。勿論、救護義務違反は過失致傷や過失致死と併合罪にする事が出来ますから、懲役刑と罰金刑とを併科する事も可能です。
 これで、この男に轢き逃げを適用しないというのであれば、それは大阪府警の怠慢というものでしょう。傷害と轢き逃げとなら、確かに傷害の方が刑は重いですが、それでも刑の長期を1年引き延ばす事が出来ます。傷害の事実が立証できるのであれば、轢き逃げの事実を立証するのもそんなに難しくありません。珍走自転車に対する警鐘の意味でも、ここはきちんと轢き逃げについても立件すべきでしょう。

*1:過失致傷は30万円以下の罰金又は科料、過失致死は50万円以下の罰金です。