五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

有給休暇の取得率を上げる方法

 という事で、今日も地道にニュースソースの消化です。

○有給休暇、時間単位で取得可能に・厚労省検討

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20051114AT1F1300913112005.html

 30年以上公務員を勤め上げた母曰く、「民間企業にも時間休暇があるものだと思ってた」との事ですが、民間企業では時間休暇どころか半日休暇制度すら殆どないのが実情で、私が勤めている会社でも、有給休暇の取得は必ず1日単位となっています。こんな現状ですから、日本の有給休暇取得率はかなり低い水準となっていて、最近では半分も使い切っていない労働者が数多く存在するようです。

○有給休暇の消化率は半分

http://it.nikkei.co.jp/business/news/busi_gyoukai.aspx?i=20051114aa000ac

 まぁ、日本の有給休暇取得率が低い理由には、制度上の問題だけではなく、「勤勉=善」「休暇=悪」とする日本企業のムラ意識もあると思うんですけどね。テキパキ仕事をこなして2週間休暇を取るような人よりも、仕事の能力は人並みでも10年間皆勤賞を取り続けるような人の方が、何故か日本というムラ社会では評価が高いようです。そして、ムラ社会特有の横並び意識により、盆暮れ正月ハッピーマンデーには律儀にみんな休んでくれる為、航空業界や旅行業界はここぞとばかりにボッタクリ料金を設定してきます。そういう意味では、JALやANAにとっては、日本のムラ社会様々って所なんでしょうね。



 さて、この度厚生労働省が検討を開始した時間休暇ですが、私は余り定着しないだろうと思っています。というのも、取得単位の如何に関わらず、「休暇=悪」というムラ意識そのものが改善されなければ、結局は労働者の取得意欲が減殺されてしまうからです。精々、夜更かし気味のサボリーマンが寝坊した時に使う程度でしょう。とても、厚生労働省が狙っている「有給休暇の取得率向上」の本旨に沿っている使われ方だとは思えません。
 では、どのようにすれば有給休暇の取得率が向上するかという事なのですが、私に秘策があります。それは、前年度の有給休暇取得日数に応じて有給休暇の支給日数を設定するというものです。私が思うに、現行の有給休暇制度には、労働者が有給休暇を取得しなかった場合のペナルティが欠けています。「休んでも休まなくてもいい」「有給休暇は次年度に繰り越せる」という甘えが労働者にあるからこそ、有給休暇の取得がお座なりになってしまうのです。選挙時の投票と同様、本来は権利であるものを義務化する事に若干の疑問はありますが、「勤勉=善」「休暇=悪」という日本のムラ意識にパラダイムシフトを齎すには、このくらいの荒療治は必要でしょう。
 では、どのように有給休暇の支給日数を設定するのかというと、前年度の有給休暇取得日数と同じ日数だけ有給休暇を支給するのです。例えば、前年度の有給休暇取得日数が13日であれば、今年度の有給休暇支給日数も13日となります。また、有給休暇を5日しか取得しなかった場合、翌年度は5日しか有給休暇が支給されないという事になります。勿論、有給休暇を1日も取得しなかった場合は、翌年度は有給休暇を取得する事が出来なくなります。
 この方式のミソは、有給休暇支給日数が不可逆的に減少していくという所です。つまり、若い時に有給休暇を取得しないでいると、将来に渡ってどんどん有給休暇の支給日数が減少していってしまうのです。生涯に1回でも有給休暇を取得しない年が発生してしまったら、以降は定年退職までずっと有給休暇を取得できなくなってしまうのです。特に、初年度に有給休暇を取得しなかったなんてのは悲惨な結末になり、生涯有給休暇とは無縁な勤め人生活を過ごす事になってしまうのです。毎年、減点方式で有給休暇取得状況が評価される事により、将来の有給休暇支給日数を維持すべく、多くの労働者が有給休暇の取得に積極的になる事でしょう。何せ、30歳の社員が1日有給休暇を消化できなかっただけで、生涯では30日も有給休暇支給日数が減少してしまうのですからね。

 ここで問題になるのが、「仕事が忙しくて、休みたくても休めない」という向きです。私自身、以前のプロジェクトでは同様の憂き目に遭っていて、20日以上連続して出勤した事もあります。しかも、その中には4日連続徹夜を含む10日以上の徹夜勤務が入っていましたから、今から思えばよく過労死しなかったものだと思います。
 この手の「有給休暇取得不可」は、大きく分けて以下の3つに分類されます。

  1. 納期が逼迫していて、休んでいる暇がない。
  2. 自分の代わりになる人員がなく、プロジェクトに穴が開いてしまう。
  3. 職場の人員が少なく、休んでしまうと頭数が足りなくなる。

 しかし、上記の何れにおいても、結局は労働者自身に帰責する事になります。1の納期遅れは論外にしても、2の人的ブラックホールリスク管理上大問題ですし、3の人手不足は休むタイミングを見付けられなかった労働者自身にも責任があります。突発的な病気や不慮の事故など、有給休暇の取得意思とは関係なしに仕事で穴を空けてしまう危険性は、誰の周囲にもゴロゴロと転がっているものです。そんな時に、「お前に休まれるとプロジェクトが止まるんだよ」なんて言われるような状態を放置しているのであれば、それは十分非難の対象になりますし、そのペナルティとして有給休暇の生涯カットも甘んじて受けるべきでしょう。
 もう1つ問題になるのが、勤続年数に応じて有給休暇の支給日数が増えていくという現行制度との兼ね合いですが、これはそんなに考えなくてもいいでしょう。労働基準法を改正して、初年度からフル日数の20日を支給するようにすればいいだけです。せめて、入社から半年程度は有給休暇を取得できないようにする程度でしょうかね。ペーペーの新人なら、1週間や2週間仕事に穴を空けても、誰かが何とかしてしまうものです。