五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

相模原市の軍事施設について考える

 さて、市制記念日を迎えた相模原市について、大石先生のブログでお世話になっているArtane.さんのブログで、こんな記事を見掛けました。

○米軍再編:相模原補給厰に陸自部隊?

http://d.hatena.ne.jp/artane/20051120#1132456098

 私自身、近所に米軍相模原住宅やキャンプ座間を見ながら育っているので、これらの施設が全面返還されればいいなぁと思う事は多々あります。実際、伊勢丹相模原店やグリーンホール相模大野などは、米軍相模原医療施設の返還跡地に建設されたものですし、県立相模原公園や相模原ゴルフクラブなども、元々は米軍施設です。しかし、これらの米軍施設について、増強反対や早期返還を唱える事には、若干の問題があります。少なくとも、相模原市民の85%には、米軍施設の存在について異議を唱える資格はないのです。
 元々、相模原という町は、旧日本陸軍の軍都として発生しました。現在のキャンプ座間に当たる陸軍士官学校を始め、相模陸軍造兵廠(現在の米軍相模総合補給廠)や臨時東京第三陸軍病院(現在の国立相模原病院)など、「相模原」という行政区画の成立は、これら陸軍施設の設置と密接な関係があります。米軍相模原医療施設も、元々は陸軍通信学校でしたし、それ故に相模大野駅は元々「通信学校」という駅名だったのです。
 こういう歴史的経緯がありますから、現在の相模原市が、何かにつけて米陸軍や陸上自衛隊の施設を押し付けられるのは、ある意味致し方ないと思う部分があります。相模原市民62万人の内、これら軍事施設が出来る前から代々住んでいるなんてのは15%もいないでしょう。米軍施設がある所に引っ越してきて、「邪魔で危険だから返還しろ」というのは、お門違いもいいところです。「日米安保を見直せ」というマクロスケールから議論するのなら兎も角、近視眼的に基地返還を唱えるのであれば、「それならお前が何処かに引っ越せ」と言われて議論終了です。
 しかし、現存基地を済し崩し的に増強する事自体が是認されるべきかというと、決してそうではないでしょう。一方で米軍施設の新設には地元住民の強い反対があり、もう一方で米軍からは施設増強の圧力が掛かる中、「どうせ基地が現存するんだから」と基地の現存する自治体のみに更なる負担を求めるという方法論は、未来永劫通用するものではないでしょう。もし、米軍施設の増強が日本の国益に適う(或いは米軍施設を増強しない事が日本の国益を損なう)という事であれば、その負担は日本全体で等しく負担すべきですし、その負担が国民的に受け容れられないという事であれば、米軍施設の増強そのものを日本として拒否すべきです。
 単なる地域エゴとしての「基地返還」は論外としても、惰性での日米安保体制の維持増強については、そろそろ見直すべき次期に来ているのかも知れません。「イラク戦争」という名のイラク侵攻でアメリカ合州国ヘゲモニーにも翳りが見え始めてきた事ですし、日本もある程度独り立ちした防衛政策を展開し始めてもいい頃でしょう。パックス・アメリカーナ」という大船に乗ったら、実はタイタニックだったなんて事もあるかも知れないのです。
 とはいえ、武力による自衛というのは、あくまでも外交という戦争における最終手段です。この点については、インスパイヤ元のArtane.さんも指摘しています。

 軍事とは政治目標を達成するためのカードの一つに過ぎず、政治が防げなかったインシデントの尻拭いをする存在なのです。

 何も、武力の行使だけが戦争なのではなく、パブリックコメントや経済政策なども、立派な戦争手段の1つなのです。取り敢えず、支那・朝鮮辺りに対しては、安易な武力増強に走る前に、先ずは日本として言うべき事を言い、やるべき事をやるべきです。その上で、相手が聞く耳を持たないと判断した場合のみ、初めて武力という直接的なフォースに頼るべきなのです。まぁ、支那に対しては武力での威嚇ですら通用しないかも知れませんけどね。



 取り敢えず、米軍相模総合補給廠については、小田急多摩線の延伸というイベントの発生が、刻一刻と近付いています。東北沢=梅ヶ丘の複々線化にも完成の目処が立ち、和泉多摩川向ヶ丘遊園の全面複々線化も徐々に現実味を帯び始めています。これら複々線化事業に一応の区切りが付けば、いよいよ小田急多摩線の延伸を本格的なプロジェクトと捉え始める事でしょう。単に横浜線へ接続するだけでも、京王相模原線東急田園都市線に逸走した乗客の取り戻しには大いに寄与しますし、相模原市北部での新規乗客開拓にも繋がる可能性があります。ましてや、米軍相模総合補給廠が全面返還されれば、その跡地再開発と合わせ、小田急にとって一大プロジェクトとなる可能性をも秘めているのです。
 別に、地域エゴだけで米軍施設を返還しろとは言いません。しかし、使ってもいない施設を既得権益として保有し続ける事だけは、一刻も早くやめてもらいたいものです。遊休地に陸上自衛隊の施設を誘致するにも、単に「どうせ現在基地なんだから」という理由だけではなく、相模原にその施設を設置する必要性・必然性について、相模原市民に対して説明責任を果たして欲しいものです。
 とはいえ、相模原市の反基地運動がどれだけ一枚岩でいられるかについては、私はかなり危機感を持っていますけどね。特に、相模原市長の小川勇夫は合併バカとして知られ、騒音バカの今井清二郎富岡市長、恫喝バカの熊坂義裕宮古市長と並び、日本の三大バカ市長としてその悪名を内外に轟かせています。

○こちら騒音富岡です!!!

○なぜ「宮古市」 沖縄の合併協に質問

http://www.cosmos.ne.jp/~miyako-m/htm/news/050107.htm

 もう、3人揃って「問題市長バカメイヤー」とかいう戦隊ヒーローものでもやってくれってなノリなのですが、その合併バカである小川勇夫の事ですから、日米新司令部を受け入れたら政令指定都市昇格なんてちらつかせれば、あっさり落ちてしまう危険性が大ですね。一応、こんな緊急市民集会を開いていたようですが、余り信用できたものではありません。

○「基地強化反対・早期返還を!緊急市民集会」で決議!

http://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/topics/htm/05/051114.html

 やはりここは、相模原市を南北に分割し、政令指定都市なんて幻想が雲散霧消した状態において、改めて神奈川県大野市(仮称)*1として基地返還を訴えていくべきでしょう。

*1:一応、相模原市南部が元々「大野村」だったという歴史的経緯を踏まえて命名したのですが、福井県にも既に大野市が存在する為、この市名に出来るかどうかは微妙な所です。駅名としての「相模大野」は知名度が高いですから、イチャモン付けられるのを嫌って「神奈川県相模大野市」になるかも知れませんね。まぁ、岩手県宮古市にしろ佐賀県鹿島市にしろ、この手のクレームを付けるのは、得てして市名以外に市としてのアイデンティティが残っていない斜陽都市なんですけどね。