もう、感無量ですね。
○新石垣空港に設置許可 県、事業本格化へ
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-9512-storytopic-3.html
沖縄県としても懸案の課題が前進して一安心といったところでしょうが、何よりも嬉しいのは石垣の人々です。八重山毎日新聞は、早速この大はしゃぎようです。
○30年来の懸案、大きく前進/稲嶺知事「感慨もひとしお」
○「一番機が飛ぶまで力合わせる」新石垣空港設置許可
○「設置許可は喜びたい」白保公民館長
○新空港設置許可取消訴訟へ/八重山白保の海を守る会
http://www.y-mainichi.co.jp/article.php?id=3175
上記記事にもある通り、石垣市の人々にとって、新石垣空港は30年越しの悲願です。日本一過酷な空港とも言える石垣空港を知っている私としても、新石垣空港の1日も早い完成を願っていました。今なお残るイシバン*1の掃討戦や、新石垣空港開港後の「島づくり」など、稲嶺恵一沖縄県知事や大浜長照石垣市長らの前には課題が山積みです。しかし、国土交通省による新石垣空港の飛行場設置許可は、新石垣空港プロジェクトにとっては非常に大きな一歩です。郡民の悲願を二度とフイにしないよう、今度こそは2013年3月7日の開港を現実として欲しいものです。
さて、新石垣空港の設置に絡んで、昨日こんなはてなダイアリー内の日記を見掛けました。
○Nonfiction Story 〜School days and yet ...〜 - 今日の気になったニュース
http://d.hatena.ne.jp/ps04b_asada/20051219/p1
ここで、新石垣空港の設置許可について触れられていたのですが、私が引っ掛かったのはこの行です。
どの空港にも成功は祈っている。
だが、「来年開港予定の新北九州空港は成功しない」と個人的は思うのだが、どうだろう?
何を隠そう、ここで新北九州空港が出てきているからこそ、私もキーワード検索で見付けたのであり、当然ながらps04b_asadaさんには「御説ごもっとも」ってな趣旨のコメントを付けています。
実は、(新)石垣空港と(新)北九州空港との比較は、あらゆる意味において深いものがあります。それは、現存する両空港が、以下の点で共通しているからです。
- 滑走路長に余裕がなく、就航できる機材が限られている。
- 気象条件によって欠航が発生しやすく、運航が不安定である。
- 市街地からそこそこ近い場所に立地している。
- 周辺の制約から、現空港の拡張は困難である。
これだけ見れば、新石垣空港にも新北九州空港にも同等の新空港の必要性があるように思えます。しかし、両空港の間には、以下の大きな相違点もあるのです。
- 現空港の年間利用者数
- 石垣:1,808,091人(平成15年度)
- 北九州:287,360人(平成16年)
- 新空港の建設費用
- 新石垣:500億円未満
- 新北九州:4,000億円以上
- 代替交通機関の有無
上記を見れば分かるとおり、新石垣空港は新北九州空港よりも遥かに必要性や緊急性が高く、本来ならばとっくに開港しているべき空港だったのです。何せ、新北九州空港が「開港後10年間の平均乗降客数が145万人」とか言っている傍らで、石垣空港は北九州空港よりも狭隘なターミナルビルで既に年間180万人も捌いているんですからね。石垣空港の「戦場」っぷりを知ってしまえば、富山空港ターミナルビルの狭隘さなど、実に可愛いものです。
ここで、新石垣空港反対派の中には、「現空港で既に年間180万人も捌けているのに、これ以上立派な空港を建設する必要性はあるのか?」とする向きがあります。大学時代の卒論取材で実際に石垣空港の綱渡り運用を目の当たりにした私に言わせれば、新石垣空港に反対する暇があるんなら新北九州空港を中止させろってなもんです。「現空港をもっと活用しろ」だの「そんなに利用者は増えない」だのといった批判は、そっくりそのまま新北九州空港にも妥当してしまいますからね。
現在、石垣空港は1,500mの滑走路で、暫定的にジェット機を運用しています。B737の性能からして、かなりギリギリと言い切っていいような滑走路長なのですが、北九州空港の滑走路長は、石垣空港より100mも長い1,600mですから、やろうと思えば直ぐにでもB737での就航が可能です。JTAのB737-4Q3は言うに及ばず、JALエクスプレスのB737-446やエアーニッポン(ANK)のB737-54Kなどは、1,600mの滑走路長があれば、羽田=北九州線の就航は十分に可能です。或いは、スカイネットアジア(SNA)のB737-400*2なんかも、同様に北九州空港への就航は可能です。
どうせ、現在の北九州空港には1日に4便か5便しか就航していないんですから、増便受け入れの余地は十分にあります。強いて問題になるとすれば羽田空港の発着枠でしょうが、SNAは新規航空会社の優遇枠を利用する事が出来たのですから、「地元企業のビジネス客を中心に、羽田線だけでも年間120万人からの利用が見込める」とでもエアポートセールスしておけば、北九州空港はSNA新規就航地として長崎空港のコンペティターになり得たはずです。現空港の活用努力を怠り、過大な需要予測をでっち上げて新空港の建設に盲進した点で、北九州サイドの罪は非常に重いでしょう。
取り敢えず、新石垣空港開港から時間の経った2015年頃には、両空港の評価も固まっている事でしょう。需要予測との乖離ばかりを続けていくであろう新北九州空港に、果たして輿論はどのような評価を下すのでしょうか。私がその頃までブロハラを続けているかどうかは不明ですが、両空港の結末について、きちんと総括してみたいものです。