五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

「男系継承」という伝統に縋る脆弱な天皇制の基盤

 さて、初詣で赴いた寒川神社ですが、ここも神社本庁に属しているからなのか、こんな小冊子が配布されていました。

皇室典範改定 本当にこれでいいのですか?

http://www.jinjahoncho.or.jp/koushitsu/tenpan_flier.html

 祈願待ちの間、お茶を飲みながらこの小冊子を読んでいたのですが、私はそこはかとなく神社本庁の意見に違和感を覚えてしまいました。恐らく、その違和感は女系天皇反対論に対するものではなく、神社本庁女系天皇反対論者が守ろうとしている「皇室の伝統」そのものに対してなのでしょう。



 基本的に、私は天皇制などあってもなくてもどうでもいいと思っています。中学・高校と左巻きの社会教育を受けてきたというのもあるかも知れませんが、それ以上に日常生活で皇室の存在を意識する事がないからです。ただ、皇室に対する個人的な恨みもないので、別に廃絶しろとまでは思っていません。まぁ、思想的にはニュートラルに位置していると言っていいでしょう。
 そんな意識で、この小冊子にある天皇歴代系図を眺めてみると、そこは重婚や近親相姦のオンパレードです。世が世なら不敬罪ものでしょうが、これは系図から読み取れる歴とした事実です。まぁ、これだけやりたい放題やれば、そりゃあ男系継承も維持できるというものです。
 翻って、神社本庁の主張です。この小冊子では、女系天皇の問題点として、以下の3つを挙げています。

  1. 女系天皇」の導入で、皇室の歴史と伝統が変えられようとしています
  2. 女性天皇」の配偶者はこれまで例がありません
  3. 男女を問わない「長子優先」は皇室の伝統に反し、わたしたちにもなじみません

 別に、「長子優先」が神社本庁に馴染むか馴染まないかは、私の知った事ではありません。しかし、「男系継承」が途絶えただけで存在が揺らぐ天皇家、或いは天皇制っていうのは、果たして如何なものなんでしょうかね。
 天皇制なんてのは、所詮日本人が作り上げたものであり、その存在は決して古来同一であり続けたなどという事はありません。極端な話、「人間宣言」で天皇が現人神ではなくなった時点で、天皇制は一種のパラダイムシフトを経たというべきであり、戦前・戦中と戦後とですら、日本人にとって天皇制は全く異なる存在なのです。ましてや、大日本帝国憲法でも日本国憲法でも、天皇は存在そのものが明文化されている法的存在です。逆に言えば、天皇の存在など、憲法次第で幾らでもどうにでも変えられるという事なんです。男系継承の伝統など、憲法改正の前には跡も形もありません。
 天皇制は、それぞれの時代の日本人によって、姿を変え形を変え、支持され続けてきたのです。重要なのは、天皇家がどうあり続けるかという事ではなく、日本人が天皇家をどう捉えるかという事なのです。そこへ来て、「男系継承でなければ天皇家とは言えない」というのなら、そんな天皇家なんかとっととやめてしまった方がいいでしょう。男子が産まれるか女子が産まれるかなんてのは、所詮丁半博打の目と同じであり、「お世継ぎ」誕生の回数を考えれば、50年、100年単位で「出目が偏る」事など、十分に想定し得る範囲内なのです。高々40年間男子が産まれないくらいで右往左往する事ほど、滑稽な話はありません。



 とはいえ、こんな事では都合が悪い人々がいるのも確かです。それは、「男系継承の天皇家」を自分自身の日本人としてのアイデンティティとする人々です。こうした人々にとって必要なのは、あくまでもシステムとしての天皇制であり、決して個人としての天皇或いは天皇家ではありません。一方で、「皇室典範に関する有識者会議」の報告書からは、「取り敢えず皇室らしきものを維持できればそれでよし」とする雰囲気が見え隠れしてきます。
 何れにしても、こうした議論は全て「皇室の方々のご意見」を一切無視して進められています。それもそのはず、彼等にとって、天皇制など道具に過ぎないのですから。道具の使い方について、道具自身に問い合わせる工夫なんかいませんよね。コンピュータの自動診断などと同じで、結局は道具を使う人間が結論を下すのです。
 それとも、あくまでも男系継承を唱える人々は、「皇室の方々」から出てきたどんな意見でも受け容れる覚悟があるというのでしょうか。例えば、当の皇太子殿下から「時代は今、女系天皇です」なんて言われた時、それを首肯できるかどうかって事です。或いは、「こんな石女じゃ役に立たないから、側室を3人ほど用意してくれ」とか、「どうも精子の調子が悪いんで、今上天皇から3ccほど摘んでくれないか?」とか、男系継承論者の斜め上を行くような「ご意見」は幾らでも考えられるのです。こうした「ご意見」を受け容れられないのであれば、軽々しく「皇室の方々」などと口にすべきではありません。
 取り敢えず、神社本庁は「その時代の人々の英知」と言っているのですから、男系継承論者は遺伝子組み換えも代理母出産も覚悟すべきでしょうね。これだって、現代における立派な「人々の英知」です。しかし、一般人の代理母出産ですら喧々囂々だというのに、果たして皇族の代理母出産なんて認められたものでしょうかね。
 まぁ、それでも男系継承に拘るのであれば、別に私は何も反対しません。しかし、今更60年の歴史を手繰って宮家の子孫を引っ張ってきても、実際に皇位を継承する頃には「誰、それ?」と言われる危険性がある事は、十分考慮しておくべきでしょう。そんな天皇諡号は、「後継体天皇」なんでしょうかね。

 最後に、男系継承の超ウルトラCを伝授しときます(つ´∀`)つ

 熊沢天皇щ(゚Д゚щ) カモーン

 いや、冗談ですよ、冗談(;´∀`)