五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

インクカートリッジ訴訟に見るキヤノンの環境意識

 またも知財高裁が逆転判決を出してきました。

○プリンター用カートリッジ特許権訴訟、キヤノン逆転勝訴

○インクカートリッジ訴訟、キヤノンが逆転勝訴

○【速報】「再生インク・カートリッジ訴訟」の控訴審キヤノンが逆転勝訴

○【詳報】再生インク・カートリッジ訴訟,なぜキヤノンが逆転勝訴したのか

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20060131/112884/

 まぁ、判決の妥当性については識者に委ねるとして、1ユーザーとしてどうも納得いかない部分がありますね。ボッタクリ云々というよりも、純正品の交換用カートリッジ以外の存在を認めようとしないキヤノンの姿勢に対して、私は大いに疑問があります。
 実は、10年前にBJC-455Jを入手して以来、私は一貫してキヤノン製のA3バブルジェットプリンターを使用しています。そして、この10年間、私は「善良なるキヤノンユーザー」として、詰め替えインクにもサードパーティ製インクにも手を出さず、常に純正品の交換用カートリッジを購入してきました。勿論、詰め替えインクを使えないほど技術力がないというのではなく、黒インク以外はそんなに使用頻度が高くないだけの話です。
 プリンター本体がこれだけ投げ売り状態になっている昨今、1本800円からの交換用カートリッジは確かに高価です。何せ、BMCYの4色プリンターだったとしても、4回か5回もインクカートリッジを交換すれば、その合計費用はプリンター本体の購入金額を上回ってしまいます。自動車で言うならば、ガソリンを満タンにするだけで30万円も取られているようなもので、思わず「ここは大阪か!( ´゚д゚`)」とツッコミの1つも入れたくなります。
 しかし、サードパーティ製の詰め替えインクやカートリッジにどれだけ価格的な魅力があるかというと、実はそれほどでもなかったりします。特に、私のようなライトユーザーにとっては、インクの交換など四半期に1回程度ですから、100円や200円といった価格差は誤差の範疇なのです。実際、年間で2万円も3万円も浮かせられるほどプリンターを使用する人なんて殆どいないでしょうし、いるならいるでレーザープリンターに移行した方がいいくらいです。
 となると、ここで問題にすべきは、リサイクル・アシストによる「ダンピング」行為ではありません。それよりも、こんな環境方針を打ち出しているキヤノンが、斯かる訴訟を用いてまでリサイクル品の存在を否定しようとしている事です。

○環境への取り組み

http://canon.jp/ecology/index.html

 リサイクル・アシストを特許権侵害で提訴するくらいなのですから、当然キヤノン自身がそれに相当するようなソリューションを提供しているのだと思ったら、これが大間違い。見事、キヤノンは新品の交換用カートリッジしか売ってくれないのでした。まさか、品質上の問題で新品以外は推奨できないって事でもないでしょうし、万が一そんな事があるならば、それはそれでキヤノン製品が環境を軽視しているという事になります。こんな企業がチーム・マイナス6%の一員だとしたら、とんだ笑い話です。

地球温暖化防止「国民運動」のチーム・マイナス6%に賛同します。

http://canon.jp/ecology/whatsnew/team_6per.html

 これからの時代、環境負荷の軽減という事で、企業活動には今まで以上に4Rの精神が求められる事になるでしょう。一方で、知的財産の保護という命題も重要視されるようになるのでしょうが、その知的財産権の行使に当たっては、当然ながら4Rに伴う企業の社会的責任が全うされているかが評価される事になります。今回のインクカートリッジ訴訟は、少なくともキヤノンの環境意識の低さを露顕させるという点で意義があったといえるでしょう。