五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

JALグループ北九州線の旅客動向

 昨日、7月版の月報がプレスリリースで公開されました。

JAL Group Monthly Report 2006年8月号

http://www.jal.com/ja/press/0000668/668.html

 いつもの事ながら、私が真っ先に注目するのは、北九州空港発着路線の搭乗率です。7月となると、海の日3連休や夏休み突入など、通常の路線では書き入れ時となるこのシーズンですが、北九州空港においてはどうなっているかというと……

  • JAL 東京羽田=北九州:52.1%(前月比+8.5%)
  • J-AIR 名古屋小牧=北九州:39.6%(前月比-4.3%)
  • JTA 沖縄那覇=北九州:62.9%(前月比+6.1%)

 東京線・沖縄線は漸く上昇に転じましたが、名古屋線は遂に40%割れです。これでは、J-AIRが11月からの減便を決定するのも宜なるかなといった感じですね。



 東京線が回復傾向にあるのは、JALだけでなくスターフライヤーも同様です。両社とも、旅客数では前月から6,000人ほど上積みしていますから、単純に航空需要の閑散期を脱したという見方が正解のようです。旧北九州空港時代は、ビジネス需要比率の高さから「盆暮れ正月の繁忙期は北九州空港の閑散期」などと言われていましたが、新北九州空港に移転する事により、繁忙期でもそれなりに集客できるようにはなったのでしょう。北九州空港でも繁忙期型の首都圏アウトバウンド需要が発生し得るという事は、以前スターフライヤーが身を以て証明しています。
 しかし、十人並みの繁忙期型輸送に順応してしまう事は、北九州空港にとって危険な要素でもあります。というのも、盆暮れ正月やゴールデンウィークなどに発生する繁忙期型の需要は、年間を通じて安定しているビジネス需要に比べると遥かに弾力性が高く、それに対応する事によって運賃体系も高い弾力性を持ってしまう危険性があるからです。運賃の弾力性が高まるという事は、それだけ航空会社の収入が不安定になるという事でもあり、JALにおいては路線の存廃、スターフライヤーに至っては会社の存亡にまで掛かってくる問題なのです。
 そういう意味では、就航機材がMD-87に限定されていた旧北九州空港時代は、「ビジネス需要だけ相手していればいい」という牧歌的な時代でもありました。なまじ機材をA300-600Rに拡大したり、スターフライヤーが1日12便も運航を開始したりしたが故、固定的なビジネス需要だけでは座席が埋まらなくなり、水物の観光需要や波動輸送にも対応せざるを得なくなったのです。JALMD-90にもクラスJが設置され始めた事ですし、この際両社とも東京線の機材・便数を適正水準までダウンサイジングすべきなのかも知れませんね。その上で、実現可能な範囲でコツコツと便数を上積みしていった方が、余程将来の為になるというものです。まぁ、本当にそんな事をしようものなら、如何に新北九州空港役不足な代物であったかを航空会社が証明するようなものであり、「旧空港の拡張で十分だった」という輿論が再燃する事にもなりかねないのですが。

 なお、本文中では沖縄線に一切触れませんでしたが、これは妥当な数字というべきでしょう。というよりも、北九州アウトバウンドの観光需要だけをターゲットにしておけばいい現状のダイヤ設定で、7月に搭乗率が60%にも達しないというのであれば、そんな沖縄線はとっとと廃止すべきです。実際、同様のダイヤを設定している小松=沖縄那覇線や岡山=沖縄那覇線では、揃って搭乗率が70%超えしているのですから、62.9%などという数字で満足するのではなく、もっと上を狙っていくべきであると言えるでしょう。
 剰りにも油断していると、スタフラ5号機に付け入られてしまいますよ。