五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

新隠岐空港ジェット便の搭乗率が85%超え

 もう1つ、搭乗率に関するニュースです。

隠岐ジェット便 搭乗率平均87%

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○新隠岐空港ジェット機搭乗率88%

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 中国新聞山陰中央新報とで1%の違いが出ているのは、小数点以下の切り捨てか切り上げかだけの違いですから(゚ε゚)キニシナイ!!
 それはさておき、今回の87.8%という搭乗率は、明らかにジェット化記念のご祝儀相場でしょう。これこそ、利用実績を上積みするカンフル剤の最たるもので、その結果を空港の実力だと思い込むと、後々の政策で大きな誤りを犯す事になってしまいます。特に、今回は空港移設と夏休み民族大移動との重ね当てなのですから、その増幅効果は一入です。
 今回のジェット便は季節運航という事で、9月以降はプロペラ機だけの静かな空港に戻ります。当然、隠岐空港の利用者数も大きく目減りする事になるのですが、その目減りした利用実績こそが隠岐空港の本当のスタートラインなのです。島根県においては、7月・8月のご祝儀相場に浮かれる事なく、地道なエアポートセールスを展開して欲しいものです。



 さて、コスモポート種子島こと新種子島空港に続いてジェット機定期便の就航しないジェット化空港となってしまった新隠岐空港ですが、この両空港には滑走路長以外でも幾つかの共通点があります。

  1. 離島空港である
  2. 伊丹空港との間にJAC運航のプロペラ便がある
  3. 空港後背地の観光資源が余り開拓されていない

 先ず、離島空港であるという点で、「無駄な空港建設」の誹りは相当程度棄却されます。代替交通機関に事欠かない神戸空港新北九州空港と異なり、離島において空港は重要度の高いインフラです。特に、隠岐は本土からの距離が長く、船舶も外海を航行しなければならない為、空港の重要度はなお高まります。本土との安定した輸送の確保の為にも、より就航率の高まる*1空港の建設はシビルミニマムとして容認されるべきでしょう。
 次に、伊丹空港への定期便ですが、これはジェット機就航がならなかったが故の就航地選択でしょう。本来ならば伊丹よりも羽田に飛ばしたかったという点では、両空港とも意識は共通です。しかし、現在の羽田空港は伊豆諸島以外でのプロペラ便が就航できない為、やむを得ずプロペラ機の就航可能な伊丹へと飛ばしているのが実状でしょう。勿論、ジェット化したからといって直ちに羽田空港への定期便が就航するという事ではありませんが、少なくとも定期便就航の可能性が発生した事だけは確かです。
 そして、観光資源の未開拓ですが、これは首都圏との繋がりの希薄さが最大の原因です。ひょっとしたら、観光資源は既に開拓されていて、私を含む首都圏の人間だけがそれを知らないというまでの話なのかも知れません。しかし、首都圏で隠岐が観光地として認知されれば、隠岐空港の需要も飛躍的に増大する事でしょう。そうすれば、2009年の羽田再拡張を待たずして、待望の東京直行便が実現するかも知れないのです。
 以上を踏まえた時、隠岐空港が発展する為の最適解は、首都圏における観光需要の喚起という事になります。しかし、山陰中央新報の記事にもある通り、こうした観光需要は得てしてツアーなどの形で団体利用となり、ロードファクターが伸びてもユニットレベニューが余り伸びないという結果になります。これは、ビジネス需要が発生し得ない離島直行便が等しく陥るジレンマであり、盛況に見える石垣島宮古島への直行便ですら、その座席販売は殆どが旅行会社頼みという有様なのです。



 とはいえ、隠岐直行便がてんでお話にならないのかと言えば、そうあっさりと捨てたものでもありません。というのも、こうした離島直行便は、所謂「マイラー」にとってはマイル獲得にもマイル消費にも打って付けの路線だからです。現在、JTA石垣・宮古線やJAL奄美大島線がマイラーにとって激戦区となっているのは、マイルを獲得するにも利用するにも高効率だからなのです。
 こうしたマイラーの中には、FFPの上級会員資格取得だけを目的とした「修行僧」なる存在も少なからず存在します。しかし、特典航空券やバーゲン型運賃のヘビーユーザーには、「搭乗と同時に旅行も楽しみたい」という軟派な修行僧もいれば、既に上級会員資格を取得した「僧侶」も数多く存在します。何を隠そう、私もこの「僧侶」の口なのですが、こうしたユーザーこそ、観光資源開拓の端緒にはもってこいなのです。実際、石垣島宮古島の認知度は、これら修行僧や僧侶が高めた部分も無視できないほどに存在するのです。
 そういう意味では、島根県はある程度の補助金を積んででも、JALに対して東京直行便の就航を求めるべきでしょう。その際には、現在能登空港で実施されているような搭乗率博打も辞さない覚悟が必要です。航空機のヘビーユーザーは、少なくとも航空運賃の支出に耐えられるほどの貯蓄や資産があるのですから、それらを観光顧客として取り込めれば、地域へのインカムもかなりのものが期待できます。当面は、観光収入による税収増をそのままJALへの補助金として持ち出す自転車操業になる事でしょうが、修行僧や僧侶による口コミで隠岐の観光地としての認知度が高まれば、隠岐奄美大島と同程度の地位を占めるようになる事も不可能ではないのです。
 この時、JALの羽田発着枠を何処から捻出するかって? 言うまでもないでしょう。搭乗率激減中の北九州線です。

*1:そういう意味では、本来ならILSも設置すべきだったんでしょうが、旧空港を供用しながらの建設では、300mという着陸帯は確保できなかったんでしょうね。ジェット機定期便が就航すれば、ILSの必要性はより高まるであろうだけに、惜しむべき所です。