五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

新北九州空港を巡るオッペケペー総集編

 さて、実質2ヶ月ほどウォッチをサボっていた新北九州空港回りのニュースですが、取り敢えず重要っぽいニュースだけでも拾い集めてみました。中には「今更何を」というネタも幾つかありますが、その辺は華麗にスルーして下さい。それが、ブロハラクオリティ。



 先ずは、これが一番大きなニュースでしょう。

北九州空港 乗降客100万人を突破 開港から9カ月 初年度の目標達成

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 一応100万人は突破したのかという軽い驚きはさておき、「本当に初年度の目標って100万人だったっけ?」という所は疑う必要があります。福岡県庁や北九州市役所の中の人が現在どう考えているかは知りませんが、国から建設費を獲得した当時の年間需要予測は580万人だったのですから、たったの100万人で目標達成などと言われては、全国の空港関係者は腰砕けもいいところでしょう。
 尤も、この100万人という実績値ですら、池青鯉氏のように「偽装じゃないのか?」と疑う向きがありますが、流石に数字そのものが改竄されているという事はないでしょう。セコい改竄に走ったところで、平成18年度版の航空輸送統計年報が出てくれば、全ての実績は白日の下に晒されます。但し、以下の点については注意が必要です。

  1. 月別の旅客数・搭乗率は減少傾向にないか?
  2. 有償運賃での搭乗者数がどれだけいるか?
  3. 旅客1人当たりの平均支払い運賃は幾らか?
  4. 株主企業社員などの半強制利用客以外がどれだけ利用しているか?

 流石に、スターフライヤーがサクラで旅客数を水増ししているとは考えたくないものですが、意外なところでスタフラクオリティが炸裂する危険性はゼロではありませんからね(;´Д`)



 次に、スターフライヤー関連のネタを。

スターフライヤー ご搭乗者50万人突破

http://www.starflyer.jp/starflyer/news/news_20061124.pdf

 コメント、上に同じ(つ´∀`)つ
 ……え? だめなの? あそ。
 スターフライヤーで最も気懸かりなのは、何と言ってもそのイールドです。元々「一味違うホスピタリティ」などと高品質路線を謳っていたスターフライヤーですが、些かながらも搭乗率改善を見せたのは、大手航空会社もビックリの格安運賃濫発以降の話です。その搭乗率改善ですら、実態はSFJ71/92便の運休を始めとした縮小均衡の結果によるものですから、スターフライヤーの認知度向上などではなく、寧ろ新北九州空港スターフライヤーの需要の低さに供給を合わせる事を余儀なくされた結果であると見るべきでしょう。
 こんな状況下で、今年は4号機・5号機と立て続けに就役するのですが、一体何処に飛ばそうというのでしょうか。羽田線を増便するには発着枠がありませし、発着枠の追加が必要ない早朝・深夜便の需要が少ない事は過去の実績が物語っています。中部線や新千歳線に参入するには、剰りにも準備期間が短すぎます。これといった増便・増枠の話が聞こえてこない以上、4号機は当面予備機或いは余剰機材という扱いになるのでしょうが、決して安くはないリース料を抱え込む事になるスターフライヤーが、果たして2008年3月期決算で単年度黒字を計上できるのか、甚だ疑問でなりません。



 そのスターフライヤーについては、こんな数字も出てきています。

スターフライヤー 11月搭乗実績について

http://www.starflyer.jp/starflyer/press/press.html

 漸く単月で利用率が70%超になったようですが、供給座席数を1/6も削減した結果での数字ですから、そのまま鵜呑みにする事は出来ません。特に、北九州→羽田の深夜便利用率が前月比+20.4ポイントなんていうのは、利用率がどん底だったSFJ92便運休の恩恵によるものであり、逆に言えば、SFJ92便を運休してもなお利用率が46.3%しかないという事に注意すべきです。2便平均の利用率が1便になって20ポイント増というところから推測するに、SFJ92便の平均利用率は10%にも満たなかったであろう事はほぼ確実です。
 また、北九州→羽田の早朝便利用率が相変わらず50%に達していないというのも、重要なポイントです。これは、SFJ70便単独での数字ですから、利用者層が重複すると思われるSFJ93便の利用率も、恐らく50%未満でしょう。つまり、SFJ93便の低利用率がSFJ91便の足を引っ張っているという事であり、逆に言えばSFJ91便単独での利用率は軽く70%を超えているという事です。貨物運送事業が一向に日の目を見ない現状、羽田空港での夜間駐機に掛かる諸々のコストを考えても、SFJ93/70便も運休した方が収益改善に繋がるかも知れませんね。



 一方で、J-AIRについてはこんな話題がありました。

ジェイ・エア大阪航空局に届け出
名古屋・小牧〜北九州路線の廃止について

 J-AIR撤退m9(^Д^)プギャー
 日刊航空を購読していないので詳細は不明ですが、恐らくは年度替わりの4月または神戸空港発着路線再編の6月ないし7月に廃止される事でしょう。

○JAL:地方路線リストラ 神戸−仙台など十数路線廃止へ

http://symy.jp/?._6ウェブ魚拓+ウェブ精米)

○新潟、熊本便を廃止 神戸空港路線、来春再編

http://symy.jp/?88Hウェブ魚拓+ウェブ精米)

 JAL羽田線増便まだー?(AAry
 ……という個人的願望はさておき(つ´∀`)つ
 これを以て「スターフライヤー中部線参入の地盤が出来上がった」などと考えている向きがいたならば、その人のオツムは滝上公園の芝桜よりも見事なお花畑です。というのも、スターフライヤー中部線を待望する向きはトヨタ自動車本社=苅田工場での需要を見込んでいるのでしょうが、スターフライヤーの大株主はライバル企業の日産自動車だというファクターを忘れてはいけません。更に言うなら、トヨタ自動車スターフライヤーに幾許かの期待をしていたのであれば、苅田工場の着工と同時にスターフライヤーに出資していたはずであり、今日においてトヨタ自動車スターフライヤーに何等コミットしていないという事は、所詮スターフライヤーなどそれまでの存在でしかないという事です。まぁ、出発ロビーに日産自動車の展示がある空港など、トヨタ自動車の関係者は利用したいとも思わない事でしょうけどね。
 縦しんば、スターフライヤーが4号機・5号機で中部線に参入した所で、果たしてどれだけの利益を上げられたものか、私は甚だ疑問でなりません。名古屋=北九州よりも圧倒的に多いであろう移動需要を持つ名古屋=福岡ですら、JR東海JR西日本による小手先の改善だけでJALANAも総崩れの撤退戦を強いられています。新幹線と競合する為には、多頻度運航かつ低廉な割引運賃が必要不可欠です。4号機・5号機のリソースを完全に中部線へと投入したところで、提供座席数は勿論、便数ですら新幹線の規模には遠く及びません。ましてや、運賃面で新幹線に打ち勝とうという事になれば、羽田線以上に過酷な低イールド運賃に甘んじざるを得なくなり、徒にスターフライヤーの企業体力を殺ぐのみです。羽田モノカルチャー経営ですらまともに黒字も出せないスターフライヤーが中部線に参入するなど100年早いというものですね。



 最後に、ギャラクシーエアラインズについても1つだけ。

○ギャラクシーエアが来年4月に新千歳就航、羽田・関空線で

http://symy.jp/?9zjウェブ魚拓+ウェブ精米)

 例によって公式サイトのプレスリリースに何等言及がないのは最早ギャラクシークオリティとでも言うべきなのでしょうが、果たして現在運航中の2路線はきちんとイールドを上げているのか、些か疑問が残る部分です。人数ベースでの速報が逐次流れてくる旅客運送とは異なり、貨物運送の実績はニュースバリューが低いのか、なかなか報道に乗ってきません。まぁ、この低注目ぶりこそが日本ユニバーサル航空オレンジカーゴも廃業に追い込まれた理由なんですけどね。
 何れにしても、ANA81便やJAL1041便を愛用している人にはご愁傷様としか声を掛けられないのですが、たった1往復の増便如きでこうも北海道の当局を振り回す苫小牧市って何なんでしょうね。柳川市にしても浦安市にしても、空港経済のおこぼれに与れないとなった途端クレーマーにバケラッタというのは何とかして欲しいものです。もうね、相模原市民の爪の垢でも煎じて飲めと(以下略)。
 で、ギャラクシーエアラインズの将来ですか? 取り敢えず、こんな話があるんで、そこに乗っかれればある程度の将来は約束されるかと。

○佐川と中国郵政局が提携、日中間の国際宅配便を開始へ

http://www.nikkeibp.co.jp/news/flash/521074.html

 尤も、こちらはあと3ヶ月内外で正式販売が開始されるとの事ですから、凡そギャラクシーエアラインズが国際貨物便に参入する時間的猶予はありませんけどね。