五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

ANAが就職志望企業ランキングで1位

 例によって、大石英司先生の所から拾ってきたネタです。

○トップは全日空、2位電通・就活初期時点の志望企業

http://symy.jp/?Knaウェブ魚拓+ウェブ精米)

 これについて、大石先生のコメントはこんな感じです。

 バカじゃないの? 学生諸君。バカの一つ覚えみたいにアメリカを後追いしている日本の今の経済界にあって、今後航空会社の景気が良くなる可能性はゼロです。もし全日空が儲けるようなことになったら、すかさずアメリカが「分け前を遣せ」と横槍を入れてきますよ。

 まぁ、就職活動初期の学生なんてバカそのものですから、企業の業績や待遇なんてものはお構いなしに、取り敢えずイメージの良さそうな企業を選ぶものです。航空会社や広告代理店なんてのは正に「イメージ先行企業」であり、ANAだけでなくJALですらランキングの比較的上位に来てしまうのです。流石に、スカイマークスターフライヤーは悪いイメージばかりが先行しているのか、ランキングには顔を出しませんけどね。
 今回のランキングにしても、わざわざマジレスする程のものでもないでしょう。どうせ、実際にANAに就職できる学生はほんの一握りなんですし、少なからぬ学生が途中で志望企業をANA以外に切り替えるのもよくある話です。私も、最終的には「無学無才無資格でも何とかなる業界を」という事でIT業界に飛び込み、今では立派なIT土方ワーキングプアですからねorz



 ところで、ANAは今のところ「儲けている」状態なのですが、これはあくまでもJALの敵失によるものであり、決してANAのサービス自体が定着していると言い切れるものではありません。大手2社による事実上の独占が確立されている日本の空においては、「JALがダメならANA」という結論しかあり得ないのです。事実、海外航空会社との競合が発生する国際線に関しては、ANAは既に出来る限り戦線を縮小し、確実に利益の出る路線以外は尽くスターアライアンス加盟他社とのコードシェアに頼っている状態です。
 そのANAが久々に大々的な攻勢に出られるとすれば、2009年度にも予定されている羽田再拡張及び再国際化なのでしょうが、例によって千葉土民の妨害により着工の目処すら立たない状態です。

羽田空港再拡張、本格着工見送り・国交次官

http://symy.jp/?B.Iウェブ魚拓+ウェブ精米)

国交省、年内着工は断念/羽田再拡張の埋め立て承認

http://symy.jp/?C.8ウェブ魚拓+ウェブ精米)

 また、再拡張によって建設されるD滑走路ですら、浦安市妨害工作でB滑走路とは平行でなくなってしまった上、C滑走路の離着陸機との交錯が日常的に発生する事から、果たしてどれだけ実用可能な範囲で羽田発着枠を増枠できたのか知れたものではありません。縦しんば、ANAが相当数の増枠を確保したところで、国際線で新規就航可能なのは精々上海・大連くらいのものであり、増枠分の殆どは国内線に振り向けられる事になります。昨年6月に成田空港第1ターミナルへ大々的な投資をしたANAにしてみても、羽田空港が必要以上に国際線の拠点として発展する事を望んではいない事でしょう。
 こんな為体では、アメリカがその分け前に与る余地などありません。米系航空会社が日本で一儲けしようとするなら、得てしてその手段は日本就航都市を橋頭堡とした以遠権ビジネスとなるのですが、ユナイテッド航空にしてもノースウエスト航空にしても、既に成田空港が強固な橋頭堡となってしまっている為、今更羽田空港に大々的な投資をしようという気にはならないでしょう。それ以前に、ユナイテッド航空ノースウエスト航空も本国の経営がアップアップで日本どころではないというのが現状なんですけどね。
 取り敢えず、これ以上両社に日本での分け前をくれてやるのなら、今年8月にも発着枠が大余りになる関西国際空港で国内線をやらせてみるというのが一番でしょう。JALANAも運航拠点のある伊丹空港固執していますが、ユナイテッドもノースウエストも伊丹空港には何等柵が存在しません。勿論、「伊丹は近くて関空は遠い」というステレオタイプ*1にも惑わされていませんから、適切な就航条件さえ提示すれば、両社ともそこそこの実績を残すのではないかと思われます。JALにしてもANAにしても、或いは国土交通省にしても、異口同音に「関空での権益なら幾らでもくれてやる」と言い切る事でしょうね。

*1:と言うよりも、単に伊丹空港が市街地に近すぎるというだけの話であって、関空アクセスの水準は国際的に見て寧ろ中の上といった辺りでしょう。少なくとも、運賃以外でのパフォーマンスは、国内で比較してもかなり良好な方です。