五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

J-AIR、新北九州空港への就航を表明

 勿論、J-AIRですから発地は県営名古屋飛行場です。

○新北九州―名古屋線を開設

http://kanmontuusin.morrie.biz/item/407

 意外にも、名乗りを上げたのはスターフライヤーではなくJ-AIRでした。これは、流石の私も完全に想定外で、取り敢えず現時点でもビックリ継続中です。まぁ、中部国際空港からJALエクスプレスが就航なんていう方が更にビックリですけどね。



 さて、名古屋小牧=新北九州線の見通しですが、CRJ-200で1日3往復という事であれば、何とか採算ベースには乗っかる可能性があります。損益分岐点となる搭乗率を75%とすれば、採算を取る為に必要な年間旅客数は8万2000人強です。1日当たりの片道では110人強ですから、このくらいの旅客はいる「はず」ですし、逆にこれだけの乗客すら集められないなら、新北九州空港に明日はありません。
 しかし、冷静に考えてみると、意外と8万2000人/75%というハードルは高いものです。航空輸送統計年報の最新統計資料を見てみると、主要な名古屋発着路線の輸送実績は、

  • 名古屋=札幌:1,283,165人(66.3%)
  • 名古屋=福岡:1,260,613人(65.6%)
  • 名古屋=沖縄:844,793人(66.1%)
  • 名古屋=仙台:346,200人(59.4%)
  • 名古屋=新潟:139,621人(50.2%)
  • 名古屋=長崎:222,857人(49.2%)
  • 名古屋=熊本:269,127人(58.0%)
  • 名古屋=大分:134,203人(64.8%)
  • 名古屋=宮崎:219,481人(63.2%)
  • 名古屋=鹿児島:444,313人(64.4%)

 となります。この殆どがダブルトラック路線ですから、搭乗者数こそ10万人超えとなっていますが、搭乗率はと言うとその殆どが65%未満で、ローカル線は軒並み採算割れを起こしている状態です。
 これをJ-AIRだけに絞って見ると、

  • 名古屋=帯広:22,118人(61.3%)
  • 名古屋=秋田:16,948人(49.9%)
  • 名古屋=山形:26,056人(46.4%)
  • 名古屋=新潟:21,080人(58.7%)
  • 名古屋=出雲:19,701人(50.0%)
  • 名古屋=高知:60,710人(56.6%)

 と、更に8万2000人/75%という目標が霞んで見えてしまいます。搭乗率60%内外でも採算が取れるというのなら話は別ですが、一般に機材が小さくなればなるほど採算分岐点となる搭乗率は高くなります。この数字を真に受ければ、名古屋小牧=新北九州線の旅客数は6万人強(搭乗率55%)から7万1000人強(搭乗率65%)の間という事になりそうです。
 ましてや、完全に過当競争と化している名古屋=福岡や、そのライバルである新幹線との競合を考えれば、いよいよ名古屋小牧=新北九州線の先行きには暗雲が立ち込めてきます。確かに、京築地区からは小倉駅よりも新北九州空港の方が近いですが、如何せん名古屋=北九州の移動需要に占める京築地区の移動需要なんてほんのチョロですし、ましてや新幹線や福岡線の本数に比べれば、1日3便ではそれこそないも同然といった感があるでしょう。
 決して機材の多くないJ-AIRに、新北九州空港専業であるスターフライヤーと同等の多頻度運航を期待するのは無理でしょう。しかし、ビジネスで使ってもらおうというのであれば、最低でも1日6便、出来れば1日8便から10便程度は欲しいところです。1日3便では、「たまたまスケジュールが合った時に利用する」事しか出来ません。J-AIR新北九州空港がそれでよしとするならいいのですが、これではJ-AIRの他路線と大差ない搭乗率に落ち着きそうですし、ともすれば赤字垂れ流し路線にもなってしまいます。その結果、敢えなく新北九州から撤退などという事になれば、早速新北九州空港史上に汚点を残す事となるでしょう。



 それにしても、関門通信は中部国際空港がお好きなようで。

 しかし、ジェイ・エアが新北九州―名古屋(小牧)線を開設することにより、日本航空ジャパン新北九州空港中部国際空港を結ぶ路線を開設する見込みが小さくなった。

 誰が中部国際空港の話をしろと言った、中部国際空港の話を。っていうか、どうせ中部国際空港の話を持ち出すんなら、「その為、ANAとコードシェアするスターフライヤー中部国際空港に就航するか、今まで以上に注目を集めるようになった」くらい書いてみなさいっての。