五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

ヒンジドア一撃必殺

 そんなこんなで、今日もニュースを消化します。先ずは新着記事から。

○開け放たれたドアに自転車激突、男性死亡

http://response.jp/issue/2005/0927/article74661_1.html

 イタソー(つД`)
 まぁ、世の中には運不運というものがありますが、それにしたって停車中の自動車のドアに激突しただけで死亡するのは、非常にレアケースではないでしょうか。今回の事故で言うならば、余程自転車のスピードが出ていたか、或いは余程男性の運動能力が劣っているかのどちらかであるような気がします。兵庫県警は、現場検証において衝突時の自転車の速度を推定し、死亡した男性のスピード違反を疑うべきです。
 自動車のスピード違反は取り締まり件数が多くありますが、自転車或いは歩行者のスピード違反・通行区分違反などは殆ど取り締まられません。こうした死亡事故を未然に防ぐ為にも、今後は自転車や歩行者の道路交通法違反での摘発が強く求められる所です。尤も、実務上自転車や歩行者を円滑に検挙する為には、自転車や歩行者に対しても青キップを切れるようにする必要があるんですけどね。
 それにしても、この種の事故でよく使われるのが、「漫然と」という表現です。今回の記事であれば、この部分です。

 警察ではクルマを運転していた男性が後方を確認しないまま、漫然とドアを開けた可能性があるとして、業務上過失致死容疑で事情を聞いている。

 日本の交通事故においては、何が何でも自動車の運転手を業務上過失致死傷で検挙する習慣がありますが、そこで運転手の過失をどう立証するかが問題になり、その結果として「漫然と」という表現が多用されるようになりました。本来なら、何処がどう「漫然と」していたのかを検証しなければ、とても刑事責任の追及に相当する「過失」とは言えないのですが、余程の大事故でもない限り、この「過失」はきちんと検証されないのが通例になっています。危険運転致死傷罪の創設により、この傾向は今後更に加速していく事でしょう。
 しかし、安全工学の見地からすれば、この「漫然と」という結論は何等意味を持ち得ません。その「漫然」さの中身を解明し、何処にヒューマンエラーとしての「過失」が存在し、どのような安全対策が必要だったのかが判明しなければ、再び同様の事故が繰り返されるだけです。刑事事件としての交通事故が「漫然と」で片付いてしまうのは兎も角、事故を報道し、検証する人間だけでも、漫然と「漫然と」で片付けてしまわないよう、注意が必要でしょう。