五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

駅ナカはJRだからこそ出来る事

 で、今日は帰宅してからプロジェクトXガイアの夜明けぷっすまアドレな!ガレッジ?→草野ランド→アカギ→エンジェルハートとテレビにかぶりついていたのですが、その中でガイアの夜明け駅ナカビジネスを取り上げていました。ここではちょいとその感想をば。通常、テレビの感想は雑感扱いなのですが、今回はネタがネタなので鉄道カテゴリーって事で(つ´∀`)つ
 JR東日本が、鉄道・生活事業・Suicaを事業の三本柱にしているとの事ですが、鉄道事業の多角化なんてのは、小林一三が100年くらい前に通り過ぎた道でしかありません。単に、国鉄時代は思い切った多角経営が出来なかったというだけで、国鉄分割民営化で漸くJRも民鉄並みになったというだけの話です。まぁ、その事業多角化ですら、JR東日本は散々失敗しまくって、普通の会社ならとっくに潰れているところなのですが、有り余る資産と首都圏路線*1での篦棒な運賃収入とで難なく生き残っているだけの話です。
 それで、今更ながら駅ナカって事なんですが、これはある意味JRにしか出来ないビジネスモデルでしょう。というのも、駅ナカビジネスを成立させるには、

  1. 多数の店舗を出店させるだけのスペースがある。
  2. 改札内での自社線同士の乗り換え客が多い。
  3. その乗り換えには垂直移動を伴う。

 という条件が必要なのですが、これらを全て満たす民鉄の駅など存在しません。大宮にしろ品川にしろ、国鉄時代の遺産で駅だけはやたらと広く、しかも乗り換え客は尽く階段を上り下りしての移動を強いられます。純粋に乗り換えだけを考えれば、品川も大宮も非常に不便です。しかし、そこに逆転の発想を持ち込み、駅ナカビジネスを成立させたJR東日本の慧眼には、素直に感服……しねえな、やっぱり。アンタら鉄道会社なんだから先ずは乗り換えを便利にしろ、と。本業をお座なりにして副業にかまけるから、ガーラ湯沢で大穴を空けるんですね。
 ともあれ、JR東日本駅ナカビジネスは、今後暫くその展開が続いていく事でしょう。番組内では次なる出店候補地として立川を取り上げていましたが、私は今後新宿や赤羽で同様の駅ナカビジネスを仕掛けてくるのではないかと睨んでいます。千葉は……どうなんでしょう?(;´Д`)



 で、ここからはオマケ(つ´∀`)つ

増1.JR東日本が360km/hに挑む理由

 番組の冒頭で、今年デビューしたばかりの新幹線高速試験電車、FASTECH360ことE954/E955系の走行シーンが撮影されていました。この車両、その名の通り360km/hの営業運転という壮大な夢を描いているのですが、その背景にはJR東日本の切迫した事情があります。それは、北海道新幹線の開通による根元利益の受益負担です。要は、「北海道新幹線JR東日本も営業効果が出るんだから、建設費を負担しやがれ」って事ですね。
 しかし、太平洋ベルト地帯を貫く東海道・山陽新幹線と異なり、東北・北海道新幹線沿線には、これといった大都市がありません。近畿圏を抜けてもなお、岡山・広島・小倉と延ばせば延ばすほど需要が見込める山陽新幹線とは異なり、北海道新幹線は札幌まで全通させないと大きな需要が見込めないのです。極端な話、仙台を過ぎると札幌まで大都市はないのですから、現状のように少しずつ延伸したところで、収益よりも負担の方が大きくのし掛かる事など自明の理です。青函トンネルだけ開通させても採算割れになるのは当然でしょう。
 更に、やっとこさ札幌まで全通させた所で、今度は航空機との過酷な競争がJR東日本を待ち受けています。東京=札幌は言わずと知れた世界最大の航空需要を誇る路線であり、当該区間の全トリップに占める航空機の分担率は非常に高いものがあります。ここに新幹線で殴り込みを掛けようというのですから、所要時間でも運賃でも、航空に対して遥かに優位性のあるものを提示できなければなりません。さもなくば、東北・北海道新幹線には死あるのみです。
 東京=札幌で所要時間4時間を達成し、航空機とガチンコ勝負に持ち込む為には、何としても360km/hでの営業運転は必要不可欠です。だからこそ、JR東日本は高速試験に必死になっているのですし、北京=上海の新幹線計画にも参加しようとしているのです。国のゼニで北海道新幹線の技術蓄積が出来るというのですから、是が非でも計画に食らい付きたいというのは当然でしょう。

 因みに、JR本州3社の支那新幹線構想に対するスタンスは、概ね以下の通りです。

JR東日本
来るべき北海道新幹線でのガチンコ勝負に備えて、技術蓄積の機会は余す所なく利用したい。国家プロジェクトで支那新幹線に参加できるというのは、渡りに船。
JR東海
今更必要となる新技術も特になく、来るべき東海地震対策も地震のない支那大陸では何も得られない。寧ろ、その運行技術や一人勝ちの法則が漏洩する事によるリスクの方が高い為、支那新幹線への参加は絶対に反対。どうせ、JRの負担分は一番多く押し付けられるんだろうし。
JR西日本
単なるスピードバカ。技術屋から運転士まで、脱線するまでぶっ飛ばす。それどころか、死人が出てもなおぶっ飛ばす。北京=上海ともなれば、山陽新幹線などというチョロの区間ではとても出来ないような飛ばし方が出来る。ひゃっほう♪ しかも、国からもおぜぜが出る。うひょっ♪ 飛ばす阿呆に止まる阿呆、同じ阿呆なら飛ばさにゃソンソン。スピードバカは死んでも治らない。

 これだけ見ると、何だかJR西日本オッペケペーに見えてきますが、本当にオッペケペーです。頭文字Wというべきか山陽ミッドナイトというべきか、はたまたノゾミトモアレというべきか、最早鉄道業界の暴走族を通り越して鉄道業界の特攻隊長です。しかし、本当に複線ドリフトでマンションに特攻するとは、流石のきよ○さんもビックリでしょう。

増2.高木康政のシュートな一言

 これも同じく冒頭だったのですが、ecute品川高木康政氏のスウィーツショップ「QBG ル パティシエタカギ」がオープンするまでの話が出てきました。

○QBG LE PATISSIER TAKAGI

http://www.qbgtakagi.jp/

 その中で、目玉商品となるエクスプレスロールのパッケージデザインについての打ち合わせ風景が出てきたのですが、ここで高木康政氏がJR東日本の担当社員にシュートな一言。
 箱の横に新幹線書きたいねぇ。500系か700系。
 まぁ、確かに両方とも品川駅を通る車両ですし、パッケージデザインとしてもインパクトがあります。しかし、両方ともJR東日本の車両ではない為、当然ながらJR東日本の担当社員はいい顔をしません。困ったように「東海道新幹線は100%ないですね……」と答えると、高木康政氏が追い討ちを掛けるようにトドメの一言。
 何? JR東海と仲悪いの?
 いやー、久し振りにスマッシュヒットです。私は、1分間くらい大爆笑させてもらいました。そりゃそうだ、東海道新幹線に品川駅造るだけでどれだけJRたぬきとJR倒壊とが大喧嘩した事やら。

 とはいえ、この笑い話は高木康政氏を「アンタもう少し鉄道業界の事勉強しなよ」と責めればいい話でもなく、JR東日本にもそれなりに問題はあります。何が問題なのかというと、JR東日本の顔であるというべき車両を創り出してこなかった事です。鉄道事業、殊に車両についてお座なりにしてきたツケが、こんなところで回ってきたんですね。
 実を言うと、JR東日本は民営化以降3度にわたって鉄道友の会ブルーリボン賞を受賞しています。私も、「そういえば何回か受賞していたかも」と思って調べてみて、初めて3度の受賞歴があるという事をしりました。その3度とは、

 と、何れも特急用車両の受賞であり、ともすればJR東日本が宣伝材料に使えるような列車でもあります。しかし、何れも品川での定期運用がないという事を考慮しても、高木康政氏の口からこれらの車両が全然出てこなかったという事は、JR東日本の敗北を意味します。この点において、JR東日本の車両屋は大いに反省すべきでしょう。
 因みに、JR東日本鉄道友の会ローレル賞も3回受賞しています。その3回とは、

 と、どれも見事に品川に停車する電車ばかりで、おまけに251系も253系も特急用車両です。この辺まで一顧だにされなかったというのですから、最早何の言い訳も出来ませんね。

*1:そういえば、遠い昔に小林亜星が「E電」などと言ってましたね。当時は「ダサいネーミング」としか思われなかったのですが、今から振り返ってみると、「e-コマース」だの「e-トレード」だの、何でもかんでも頭にeを付ければいいとする向きの嚆矢だったのでしょう。ちょいと時代を先取りし過ぎましたね。