五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

鉄道現場のお寒い気象観測体制

 12月28日の記事で「実にお寒い限り」と断じた鉄道における気象観測体制ですが、そのお粗末さを証明するようなニュースが出てきました

○脱線・転覆事故発生時データなし、風速測定は3分間隔

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20051230it04.htm

 近い将来のリンク切れに備えて、重要な部分だけを抜粋しておきます。

 JR東日本によると、同社の風速計は、風速20メートル以上になった場合にだけ2秒間隔で風速を計測し、それ以外の場合は、時間を3分ごとに区切り、その間の最大風速だけを記録している。

 なるほど、これでは確かに突風への対応は困難かも知れませんね。「風の息づかいを感じていれば、事前に気配があったはずだ」で一躍有名になった毎日新聞が、またぞろナウシカもビックリ*1JR東日本叩きを展開してくれるかも知れません。
 とはいえ、この「お粗末さ」がそのまま批判に妥当するかといえば、やはり困難なところはあるでしょう。前回紹介した鉄道総研の月例発表にもある通り、突発的な気象変化の予測は、あくまでも確率論に基づく計算が基礎なのです。直前3分間に最大瞬間風速20m/s以上の風が吹かなかった時、直後3分間に最大瞬間風速20m/s以上の突風が吹く確率は、非常に少ないものがあります。この確率がどれほどのものであるかは計算していませんが、飛行場における気象観測体制がこうした突風を可能な限り捕捉できるようになっているのは、航空機の運航における突風の危険性が非常に高く、その観測コストに見合うだけの安全への貢献度があるからです。
 気象観測体制の充実は、当然ながら鉄道事業者に莫大なコスト負担を強いる事になります。そのコストが、鉄道運行の安全確保という命題に対してどれだけ認められるかは、やはり輿論の判断を仰ぐしかありません。マスコミに求められるのは、輿論がその判断を出来るだけの情報を提供する事です。取り敢えず、毎日新聞は退場処分ですね。

*1:「風使い」と言われた時に、ナウシカよりも鳳凰寺風の方が思い浮かんでしまう辺り、私のヲタ度や眼鏡萌えっぷりは因業が深いですね。「緑の疾風」なんて、魔法騎士レイアースを観ていた人じゃなきゃ解りませんよね。