五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

ユーザーがシステムの新規開発に及び腰な理由

 nikkeibp.jpビジネススタイルで、面白いタイトルの記事を見付けました。

○企業Webサイト制作現場の“非常識”
第5回 戦艦ヤマト型システムへの疑問

http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/web_gemba/060308_5th/

 「ヤマト」の名に釣られてついつい本文まで読み込んでしまったのですが、ここで言う「戦艦ヤマト型システム」というのが、1937年に呉海軍工廠で建造された戦艦大和なのか、それとも遥々イスカンダルまで行ってきた宇宙戦艦ヤマトなのか、私には今一つハッキリしませんでした。文章後半でシステムにおける大艦巨砲主義について書いている事から、恐らくは前者の戦艦大和を指しているものと思われますが、冒頭に「サルベージ」なんて書いてあるものですから、これは宇宙戦艦ヤマトの話とも読み取れてしまいます。まぁ、宇宙戦艦ヤマトの劇中設定が坊津沖に眠っていた戦艦大和をサルベージしたものである事など、nikkeibp.jpの読者層が何処まで知っていたものだか、些か疑問ではありますが。
 閑話休題、この文章の冒頭で「新規開発よりも再開発の案件が多い」とあるのですが、これはシステム屋の端くれである私にもかなり実感があります。まぁ、OSからマシンから入れ替える新規開発もそこそこあるのですが、その実態はというと、「システムの新規開発」というよりは「現行システムの移植」だったりするもので、システム屋としてゼロベースでの開発に立ち会える事は極めて稀だったりします。何を隠そう、現在私が携わっているプロジェクトも、表面上は汎用系からオープン系への移行という新規開発なのですが、仕様を煮詰めていくと結局は現行システムの焼き直しに終わる事がままあります。
 こうなる理由は簡単で、エンドユーザーは現行システムとインプット/アウトプットが完全一致しなければ納得してくれないからです。クローズドな観点で完全一致を求めるのは勿論、外部インタフェースがある場合はそこでのテスト結果にも現行システムとの完全一致を求められます。システム屋にとっては、「プラットフォームが変わればテスト結果の完全一致は不可能である」という事は常識なのですが、それはあくまでもシステム屋における常識でしかなく、エンドユーザーにとっては現行システムと異なる値は全てバグなのです。
 本来、システム再構築というのは、こういうインプット/アウトプットの結果を含め、業務そのものを全体的に見直すからこそ意味を持つものです。しかし、現在の日本には、ユーザー業務のゼロベースでの再構築を提案できるシステム屋も少なければ、そうして再構築された新業務・新システムをエンドユーザーに徹底できるユーザーのシステム担当者も余りいないのが現状です。そして、大艦巨砲主義とともに沈没したレガシーシステム宇宙戦艦ヤマトの如く無理矢理再生させるプロジェクトばかりが横行するのです。これでは、提案力のあるシステム屋など育つはずもありません。



 それはそうと、この文章の後半では、こんな事が書かれています。

 それに対して自転車のようなシステムもある。サーバはDELLの3万円台の(条件によっては3万円を切ることも)マシンにフリーのLinuxApache、そしてMySQLデータベース。戦艦ヤマトに比べればコストは雲泥の差があり、まさに量販店で自転車を購入するくらいの金額で構築できる。
 しかも、この自転車型システムが意外と活躍するケースもある。もちろん処理件数が膨大な基幹システムには使えないが、それほどアクセス数が見込めないWebサイトなら、この自転車がうってつけだ。なにしろ自転車くらいのコストだから、償却を気にせず入れ替えることもできるし、バックアップが不安ならば、同じマシンを二台並べる方法もある。しかも、なんといっても自転車のようなものだから、気楽に試せるのがいい。

 @SCiさん、説教してあげて下さい。