五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

スターフライヤーも夏季ダイヤ・運賃を発表

 ゴールデンウィークを前にして、各社ともプレスリリースラッシュです。スターフライヤーも例外ではなく、夏季ダイヤ・運賃を発表してきました。

○7、8月割引運賃・運航ダイヤについて

http://www.starflyer.jp/starflyer/news/news_20060428.html

 スターフライヤー7月ダイヤにおける最大の焦点は、3月・4月の度重なる遅延を踏まえた「ゆとりダイヤ」への移行だったのですが、既に変更できないという6月ダイヤからの変更点を見ると、こんな感じです。

  • SFJ085便:出発・到着を15分繰り上げ
  • SFJ088便:出発・到着を5分繰り上げ
  • SFJ092便:到着を5分繰り上げ

 「ゆとりダイヤ」どころか、却ってプレッシャーが掛かるダイヤになっています。しかも、遅延の常習犯と言われるSFJ089便及びその前後については全然ノータッチです。この調子では、今後もスターフライヤーは「航空業界の小田急電鉄」の汚名を雪げない事でしょうね。



 さて、ダイヤと同時に運賃も発表されているのですが、その運賃はこんな感じです。

  • 普通運賃
    • ピーク期(7月14日から8月24日まで)
      • 全便:27,800円
    • 通常期(ピーク期を除く7・8月)
      • 全便:25,800円
  • 4回回数券
    • ピーク期(7月14日から8月24日まで)
      • 全便:設定なし
    • 通常期(ピーク期を除く7・8月)
      • 全便:22,800円
  • 6回回数券
    • ピーク期(7月14日から8月24日まで)
      • 全便:設定なし
    • 通常期(ピーク期を除く7・8月)
      • 全便:21,800円
  • STAR1
    • ピーク期(7月14日から8月24日まで)
      • 深夜・早朝便:17,800円
      • 準深夜便:20,800円
      • それ以外:21,800円
    • 通常期(ピーク期を除く7・8月)
      • 深夜・早朝便:15,800円
      • 準深夜便:18,800円
      • それ以外:19,800円
  • STAR7
    • ピーク期(7月14日から8月24日まで)
      • 深夜・早朝便:15,800円
      • 準深夜便:18,800円
      • それ以外:19,800円
    • 通常期(ピーク期を除く7・8月)
      • 深夜・早朝便:13,800円
      • 準深夜便:16,800円
      • それ以外:17,800円

 就航直後を除けば、スターフライヤーにとっては初のピーク期である7・8月なのですが、恐ろしく強気の価格設定です。一方で、バーゲン型運賃であるSTAR LIMITEDは大手航空会社よりも設定期間をかなり長めに取るなど、早くもご祝儀相場が収束に向かいつつあるという事だけは自覚しているようで、結局はスターフライヤーバーゲン型運賃による自縄自縛から逃れ得なかったようです。下手すると、9月以降はほぼ全日にSTAR LIMITEDが設定されるかも知れませんね。



 取り敢えず、運賃面での梃子入れがなかったという事は、今後も深夜・早朝便や準深夜便のロードファクターが改善される見込みはないという事です。首都圏での認知度向上を図る努力も見られない事ですし、そろそろスターフライヤーも深夜・早朝便からは撤退した方がいいんじゃないでしょうかね。まぁ、SFJ070便だけは80%超えのロードファクターとの事ですが、これも3月での数字ですから、4月以降何処までロードファクターを維持できているのか、甚だ疑問です。SFJ090便やSFJ092便に至っては、そろそろ乗員や地上職員の方が乗客よりも多くなっている頃でしょう。
 どうせ空気輸送するくらいなら、観光シーズンである7・8月だけでも、深夜・早朝便の就航地を東京ではなく札幌や那覇にすべきだっただったのではないでしょうか。新千歳空港那覇空港も24時間運用に対応していますし、那覇空港においてはスカイマーク深夜便の就航実績があります。スターフライヤーが何処まで札幌や那覇の観光業界と連携できるかという問題はありますが、少なくとも無為無策に東京線で赤字を垂れ流すよりは余程スターフライヤーの将来の為というものです。
 ここで、「札幌や那覇よりも名古屋に就航すべきだ」という向きも少なからず存在する事でしょう。事実、中部国際空港からはこんなアプローチもされています。

○新規国内線を誘致へ 中部空港、利用者増図る

http://www.chunichi.co.jp/00/cko/20060428/ftu_____cko_____000.shtml

 しかし、セントレア深夜便なんか就航しようものなら、現在の羽田線よりも悲惨な数字になる事が予想されます。何せ、名古屋空港時代から大幅に運用時間が拡大されたにも拘わらず、21時以降の発着便は国内線・国際線合わせても12便しかありませんし、22時以降や7時以前ともなると発着便ともゼロです。貨物便なら何便か就航しているのかも知れませんが、少なくとも旅客便に関しては福岡空港と同等の運用時間で事足りるというのが名古屋の現実であり、とても深夜・早朝便など運航してもユニットレベニューを稼げません。こんな所からも、「名古屋は夜が早い」という通説の正しさが知れてくるというものです。まぁ、ここで「セントレア=錦三乗り合いタクシー」なんか運行すれば、ある程度利用者も……いるんかいな?(;´Д`)



【2005-04-30 追記】
 深夜・早朝便であれば、意外とグアムに飛んでみるのもいいかも知れません。既に、東京・大阪からは深夜・早朝便が定着していますから、チャーター便であれば北九州から就航する事も強ち無謀とは言い切れないでしょう。北九州深夜発・北九州早朝着であれば、現在福岡に就航しているコンチネンタル航空*1とバッティングする事もなさそうです。
 但し、グアム線に就航するとなると、気にしなければならないのは着陸料の申請です。一応、A320のカタログスペックでは最大航続距離が5,500kmとなっているのですが、ANAにおける最大航続距離は2,380kmとなっています。

ANA国内線 - 機種・シートマップのご案内 - エアバス A320

http://www.ana.co.jp/dom/inflight/seatmap/a32/index.html

 何故このような違いが出てくるかというと、ANAが燃料積載量を大幅に抑えて着陸料の申請をしているからです。空港への着陸料は、航空機の最大離陸重量によって決定しますから、縦令同じ航空機であっても、燃料積載量を少なく設定する事により、満タン積載時よりも着陸料が安くなるのです。札幌=那覇区間マイルが1,398マイル(≒2,240km)ですから、2,380kmもの航続距離があれば、殆どの国内線では事足りてしまうんですね。
 恐らく、スターフライヤーの着陸料申請もこの2,380kmに従っている事でしょうから、グアム線に就航する際には、最大航続距離に対応した最大離陸重量での着陸料再申請が必要になります。まさか、東京線とグアム線とで完全に機材運用を分離する事などないでしょうから、グアム線を運航する事により、東京線の着陸料も上がってしまうのです。更に、これは北九州空港だけでなく羽田空港でも同様の手続きが必要になりますから、スターフライヤーにとっては大幅なコスト増という事になってしまいます。
 まぁ、スターフライヤーのホームページではエアバスのカタログ値通りの最大航続距離を掲載していますから、ひょっとしたら着陸料の申請もこのカタログ値通りで済ませているのかも知れませんね。そうであれば、取り敢えず近距離国際線に就航するハードルの1つはクリアしている事になるのですが、他にもETOPSの取得や機内ギャレーの整備など、国際線就航へのハードルは数多く存在します。とはいえ、スカイマークでさえ国際チャーター便の就航に成功したのですから、スターフライヤーだけが不可能であるなんて言い訳は通用しませんけどね。

*1:時刻表を見る限り、4月からはコンチネンタル・ミクロネシア便名になっています。どっちであろうと殆どの旅客にとっては気にならない所ですが、一体真相はどっちの運航なんでしょうかね。