五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

JALバースデー割引が半年で廃止

 折角誕生日を迎えたので、今日はこのネタで日記を書いておきます。

日航のバースデー割引に批判、9月30日で中止

JALグループ、2010年度下期の国内線運賃を届出

http://press.jal.co.jp/ja/release/201007/001587.html

 私は、バースデー割引の復活当初からこの手の批判に疑問を持ち続けてきましたが、僅か半年で廃止の憂き目に遭ってしまう事については、元ヘビーユーザーとして実に残念でなりません。とはいえ、今回のバースデー割引廃止の理由は、これらの批判が原因なのではなく、あくまでも競合他社との運賃競争の結果に過ぎません。そして、一連の運賃競争の結果により、バースデー割引はその存在意義を完全に失ってしまったのです。



 冷静な記事においては、今回のバースデー割引について、こう記載しています。

 日航は同割引の導入を、会社更生法適用を申請した直後の1月22日に発表。旅行の需要喚起につなげようとしたが、ライバルの全日空などから「公的資金をバックにした安売り」との批判が絶えなかった。その後全日空が、誕生日に関係なく45日前の予約でさらに安い「スーパー旅割」で対抗したため、日航も「スーパー先得」で追随した。中止の理由について「スーパー先得に客が流れ、利用が減ったため」と説明している。

 事実関係を順番に整理していくと、こんな感じです。

2010-01-22
JALがバースデー割引の復活を発表*1
2010-01-29
ANAがスーパー旅割の全路線拡大を発表*2
2010-02-01
JALがスーパー先得の大幅拡大を発表*3

 といった感じで、ANAは自社で既に廃止しているバースデー割引を復活させたJALを「公的資金によるダンピングだ」と批判した裏で、しっかりとバースデー割引対抗運賃をぶつけていたのです。そして、それにJALも追随せざるを得なくなり、結果としてバースデー割引の存在が薄くなったのです。
 バースデー割引とスーパー先得との最大の違いは、その実質的な予約開始日です。バースデー割引が原則として搭乗日の2ヶ月前であるのに対して、スーパー先得は四半期初日の2ヶ月前にその四半期分を一斉に予約受付してしまいます。これにより、両運賃で座席枠を共有しているクラスJについては、バースデー割引の予約開始よりも前にスーパー先得で座席枠が完パケなどというバカバカしい結果になってしまったのです。しかも、四半期さえ跨がなければ、バースデー割引には存在しないクラスJのお帰り確約もスーパー先得で擬似的に可能になってしまうのですから、これではバースデー割引を使う理由が殆ど残りません。
 また、これは未確認情報ではありますが、最近ではバーゲン系運賃で座席枠を共用しているなどという話もあります。これが事実だとすれば、普通席ですらバースデー割引の予約開始日前にスーパー先得で全部埋まってしまうなんて事すらあります。こうなれば、「搭乗日の21日前まで予約可能」などというバースデー割引のメリットは完全に棄却されたも同然であり、輿論とは無関係にJALがバースデー割引の廃止を検討するのも当然の事です。
 要するに、JALのバースデー割引を廃止に追い込んだのは、輿論ではなくANAのスーパー先得なのであり、「盛和会優遇に続いてまたも輿論に追い込まれたJAL」なんて報道は事実誤認もいいところです。そして、バースデー割引がスーパー先得へと移行する*4事によって、実は人気便の運賃相場がジワリジワリと上昇しているのです。JALの不当廉売云々を報道する暇があるのなら、こうした「見えにくい実質値上げ」こそ報道の対象にすべきでしょう。