五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

中の人は分かっている

 現在、私が住んでいる相模原市では、月2回「広報さがみはら」を発行しています。

○広報さがみはら | 相模原市

http://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/koho/koho_sagamihara/index.html

 主要な新聞に折り込まれる他、相模原市の公共施設や鉄道駅などでも配布されています。最近、めっきり新聞も折り込みチラシも読まなくなった私は、主に東林間駅で「広報さがみはら」を取得しています。
 さて、その「広報さがみはら」の最新号(平成23年2月15日号)トップページでは、子宮頸がん予防(ヒトパピローマウイルス=HPV)ワクチンの無料接種の案内が掲載されていました。今回の無料接種の対象となるのは、以下の年齢に該当する人です。

平成23年3月中
高校1年生に相当する年齢(平成6年4月2日〜平成7年4月1日生まれ)の女子
平成23年4月以降
中学1年生〜高校1年生、3月中に接種した高校2年生に相当する年齢の女子

 新年度に高校2年生になる女子に吝い設定だなぁと思いつつ、その下に掲載されていた「子どもの未来のためにも予防接種を」という北里大学医学部公衆衛生学の太田寛助教相模原市保健所嘱託医)の記事を読んでみると、こんな事が書いてありました。

 子宮頸がん予防ワクチンは、子宮頸がんを防ぐためのものです。子宮頸がんは、性交渉開始前にワクチンを接種することで約70%のHPV感染を防止し、それにより子宮頸がんを予防できるとされています。しかし、残りの30%はワクチンでは予防できないため、性交渉開始後は必ず2年に1度、子宮がん検診を受けることが大事です。予防接種をしたことに安心して、がん検診を受けなくていいと勘違いしないようにしましょう。

 保健所嘱託医の立場からすれば尤もな発言なのですが、これを無料接種の対象年齢と掛け合わせて読むと、相模原市の女子は高校2年生にもなれば性交渉を開始しているという政策判断が何処かで為されているという事に他なりません。これは、18歳未満の「青少年」との「みだらな性行為又はわいせつな行為」を禁止している神奈川県青少年保護育成条例と真っ正面からぶつかる事になります。もし、県条例の建前通り「18歳未満の青少年は性行為などしない」という事であれば、子宮頸がん予防ワクチンの無料接種対象年齢を高校3年生まで拡大するのが筋ですし、あくまでも無料接種対象年齢が正なのだとすれば、相模原市は間接的に県条例違反を黙認ないし推奨しているという事になってしまいます。
 勿論、相模原市の保健政策と神奈川県の青少年政策とが完全に整合する事はありませんから、こうした矛盾は必ず何処かで出てくる事になります。しかし、相模原市の保健政策担当者が県条例の存在を知らないはずはありませんから、無料接種の対象年齢を決定するに当たって、何処かで「どうせ、高校2年生にもなれば、どんなに止めてもセックスする奴はする」という現状追認があったであろう事は、想像に難くありません。県条例違反は別途論じるにしても、取り敢えずHPV感染予防という結果を出す為には、相模原市も「高校生のセックス」という現実を見ざるを得なかったのでしょう。



 となれば、やはりここで真に問題とすべきは、実状と大きく乖離してしまっている「青少年の健全育成」のあり方です。現在の都道府県条例における「青少年の健全育成」の趣旨をそのままトレースすると、「18歳までは純潔、高校卒業と同時にヨーイドン」という、実に歪且つ危険な状態です。大人に対する性教育の機会が殆どない現状、「青少年はセックスをしない」という建前を全面に押し出した現在の青少年政策は、徒に犯罪者を生み出すだけでなく、思春期における性知識の取得機会を逸失させている事にもなるのです。
 昨今騒がれている少子化の緩和・解消には、その手段としてのセックスは必要不可欠です。出産適齢期を中心とした若い世代がセックスに励まない事には、絶対に少子化は解決しないのです。そして、若い世代にセックスさせる為には、単に「高校卒業まではセックスするな」と教育するのではなく、早い内から「如何にセックスすべきか」を教育すべきでしょう。避妊や性感染症予防といった知識とセットにしてこそ、初めて中高生への子宮頸がん予防ウイルス接種も真の意味を持つというものです。