五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

パスネットにもマイレージサービスを

 昨日の記事の続きです。先ずはこちらからどうぞ。

○[ニュース]首都圏の私鉄・バスでもタッチ・アンド・ゴー

○私鉄・バスも「スイカ」 53社首都圏カバー

http://www.yomiuri.co.jp/tabi/news/20050729tb02.htm

 まぁ、前々から話題にはなっていましたが、いざ実際に共通化が実施されるとなると、やはり気になるのがプレミアム*1の取り扱いです。パスネットは元々プレミアムがゼロでしたが、バス共通カードともなると5,000円→5,850円というプレミアムの付き方でしたから、これがあるのとないのとでは大違いです。実際、知己のブログなどでも、「バス共通カードのプレミアムは何処に行ってしまうんだ?」という心配の声が上がっています。

○大沢3丁目:私鉄・バスも「スイカ」…53社が共通IC発行へ

http://blog.goo.ne.jp/ssl-srs-223-2000/e/bb6e60fa1d60287e6740951131148124

 恐らく、多数決でプレミアは付かなくなるんでしょうし、営業上もプレミアの必要性は薄くなっているのでしょう。それに、実際に従来方式のプレミアを付けようとしたら、設備改修などでかなりの手間が掛かりそうです。しかし、IC方式を導入するのであれば、ICならではのプレミアムの付け方というものもあるのです。


1.利用金額または乗車距離に応じてプレミアムを付与する

 これは、ICの履歴機能を利用したプレミアムの付け方です。既に、乗車履歴の参照はSuicaで実用されていますから、同様の機能をパスネットでも導入するだけです。現在、一度履歴を確認すると、そこまでの履歴は消去されてしまいますが、その消去される履歴の合計金額を計算して、その5%から10%程度の金額をプレミアムとしてチャージするようにすればいいんです。
 また、航空会社のマイレージサービスのように、乗車距離に応じたプレミアムの付与というのも、検討の価値はあるでしょう。現在のSuicaが乗車距離の情報まで記録する余裕があるのかどうかは不明ですが、システム改修費用以上の営業効果があるものと思われます。尤も、定期券をどう扱うかの問題は残りますけどね。
 更に、現在はICカードというクライアントのみに持つ履歴情報をサーバーでも持つようにすれば、乗車実績・利用実績に基づいた上級会員制度の導入も可能でしょう。流石にラウンジサービスは無理でしょうが、マイルUPボーナスのような形でプレミアムの増額を行う事は可能でしょう。まぁ、個人情報保護の観点から、実際の導入は難しいかも知れませんけどね。

2.自社発行のクレジットカードと連動してプレミアムを付与する

 これは、ICのチャージ機能を利用したプレミアムの付け方です。パスネットがクレジットカードでのチャージに対応するのかどうかは不明ですが、私鉄各社も自社ブランドのクレジットカードを発行している事ですし、これをパスネットと連動させない手はないでしょう。更に進化して、クレジットカードとパスネットとが一緒になったものが発行されれば、パスネットと同時に自社のクレジットカードも加入者が増える事でしょう。
 例えば、小田急ポイントインターナショナルカードで小田急発行のパスネットにチャージすれば、そのチャージ金額の10%をプレミアムとして付与する、といった感じです。或いは、クレジットカード側で貯まっているポイントを、パスネットに換算してチャージできるようにするのもよいでしょう。まぁ、これは上記の「利用金額に応じたプレミアム」とかなり重複しますけどね。

3.種々のキャンペーンを実施してプレミアムを付与する

 これは、ICの機動性を利用したプレミアムの付け方です。例えば、特定の路線を利用した場合のみ、ボーナスポイントのような形でパスネットにチャージするというような形です。Suica定期券のように持参人情報を記録するのであれば、特定の年齢層・利用者向けのキャンペーンなんてのもアリです。
 尤も、この機能は、逆プレミアムという形で割増料金を取るのにも有効だったりします。特定時間帯・特定区間を利用した乗客から割増料金を引き落とすなんて事になれば、オフピーク通勤の推進や輸送力増強工事の財源確保にも使う事が出来ます。まぁ、要は特特法みたいなものですね。定期旅客からであっても、利用回数・時間帯に応じて逐次割増料金を徴収できるというのがミソです。



 これらの方法は、国土交通省の横槍なども予想され、必ずしも導入が可能であるとは限りません。しかし、少子化だの何だので乗客数が減少していく事が確実である以上、鉄道会社も今まで以上に営業戦略というものが必要になります。今回のIC乗車券導入は、その営業戦略における大きな転換点でしょう。

*1:よく「プレミア」と表現されますが、これらは本来全く別の言葉です。混同しないようにしましょう。パスネットマンチェスター・ユナイテッドアーセナルが付いてきたら厭だなぁ。