五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

JALのoneworld加盟によって切り捨てられる路線

 日本航空は、国策会社としてのフラグシップキャリアだった経緯から、多くの国際路線を運航しています。その中には、ニューヨーク線やロンドン線のように飛ばせば飛ばすだけ儲かる路線から、グアム線やバンコク線のように子会社運航で何とか凌いでいる路線まで、様々な路線があります。最近では、「サイパン陥落」や「福岡脱走」のような事例もありましたし、その一方で支那大陸線のように「今が旬」となっている路線もあります。
 昨今の航空会社を取り巻く厳しい環境の中、JALとしてこれらの路線網を何とか維持してきた大きな理由の一つに、その独自路線があります。ANAがいち早くStar Allianceに加盟して国際線を利益率の高い路線に特化させたのとは裏腹に、JALは個別提携を基本とした小規模な集中に終始してしまい、今まで不採算路線を整理縮小出来なかったのです。それが、現在のJALとANAとの収益力の差に繋がっているのでしょう。必ずしも、トラブルだけがJALの業績を引っ張っているのではありません。
 しかし、oneworldに加盟するからには、JALはoneworldの路線網を徹底的に使い倒す肚でしょう。周回遅れで航空連合に加盟するからこそ、不採算路線からの撤退は「本気と書いてマジと読む」凄まじいものになる事が予想されます。では、どんな路線が撤退の対象になるのかというと、以下のような路線です。

 これらの路線に共通している事は、以下の3つです。

  1. ビジネス需要が少なく、乗客の殆どは観光客である。
  2. ビジネスクラス*1の有償運賃客が少なく、乗客の殆どはエコノミークラスに割引運賃で乗る。
  3. シングルトラック路線ではなく、撤退しても他社による運航が確保される。

 要は、前売り悟空やIT運賃の儲けにならない客ばかり集まって、人件費やマイルの持ち出しにしかならない路線が、整理・縮小の対象になるという事です。これらの路線についての「傾向と対策」を考えると、

アメリカ本土路線
アメリカン航空の運航にコードシェア
ハワイ・グアム路線
利益率・顧客忠誠度ともに期待できる自社客は成田=ホノルルに誘導、直行便なら何でもよしとする観光客は切り捨て。
オセアニア路線
カンタス航空の運航にコードシェア
ヨーロッパ路線
ビジネス需要は成田路線に誘導し、観光需要は切り捨て。欧州域内はロンドンからのブリティッシュエアウェイズ便にコードシェアでカバー。関空=ロンドンのブリティッシュエアウェイズ就航は期待薄。
アジア路線
ビジネス需要は成田路線に誘導し、観光需要は切り捨て。アジア全域について香港からのキャセイパシフィック航空便にコードシェアでカバー。

 といったところでしょうかね。イタリアや韓国*2の需要なんてのは何時捨てても惜しくないものですし、香港やオーストラリアについてはコードシェアの効果が最大限に期待できます。どうせ、欧州域内なんて成田からの直行便だけでカバーできる範囲は限られているんですし、徹底的にコードシェアに踏み切った方が賢明と言えば賢明ですね。
 実際、自社路線の縮小及びoneworld加盟会社との提携強化は、ここ1,2年で色々と見られるようになってきました。

○JALとBA、提携関係を拡大!

JALキャセイパシフィック航空コードシェア提携を拡大

http://www.jal.com/ja/press/0000276/276.html

 特に、福岡=香港を撤退してキャセイパシフィックとコードシェアなんてのは、明らかに今回のoneworld加盟が念頭にあっての事でしょう。残念ながら、対支問題の関係からか、福岡=台北台北=香港のみの搭乗は出来ませんが、JALのoneworld加盟の暁には、キャセイパシフィック便名での搭乗でもJALマイレージバンクにマイル積算出来るようになるでしょうから、JAL利用者にとっては選択肢が広がる事になりますね。



 ……えっ、JALは大韓航空とも提携強化してるだろって?
 (∩゚д゚)アーアーきこえなーい

*1:JALにおける正式名称は「エグゼクティブクラス」ですが、正規割引運賃は「ビジネスセイバー」なんですから、余り細かい事は気にしない方がよさそうです。

*2:両方とも半島国家なのは偶然です。多分。