五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

新北九州空港の成績評価はもう出ている

 さて、スターフライヤーはどうやら目を覚ましたようですが、新北九州空港の中の人は未だに寝ぼけ眼になっているのかも知れません。そんな事を、ふと先月の西日本新聞社説から思い出しました。

○成績評価を早めにしては 北九州空港

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/column/syasetu/20060729/20060729_001.shtml

 成績表など必要ありません。現時点においてなお年間283万人などという看板を掲げている以上、年間100万人行くか行かないかなどとほざく新北九州空港は落第決定です。年間需要予測に対して剰りにも貧弱であるターミナルビルの施設容量さえ満たせていないというのですから、最早追試の必要もないでしょう。一刻も早く、もう一度1年生からやり直すのか、それともこのまま退学するのかの決断を迫るべきでしょう。当然ながら、私は退学を推奨しますけどね。
 新北九州空港の利用低迷について、関係者は口を揃えてこう言います。

首都圏での認知度が足りない。

 まぁ、首都圏での認知度が低かったからこそ、能登空港神戸空港のように全国的な反対運動に晒されなくて済んだという側面もありますが、対策すべき部分が判っていながら何等有効策を打ち出してこないのですから、認知度不足を利用率低迷のエクスキューズに利用すべきではありません。そういう事は、在京キー局でCMの1本でも放映してから言うべきでしょう。
 ただ、首都圏での認知度が向上したからと言って、それがそのまま利用促進に繋がるかというと、私は甚だ疑問に思います。というのも、北九州空港の周辺には、わざわざ航空機で駆け付けるほどの観光資源がないからです。九州全域に潰しが利く福岡空港は別格にしても、熊本や鹿児島、宮崎など、空港周辺に幾らでも観光資源があります。しかし、それが北九州にはないのです。つまり、北九州空港の周辺には、首都圏在住者が心時めかせるような物件が皆無であるという事です。
 取り敢えず、ここでも「北九州空港のメインユーザーはビジネス客である」というエクスキューズはあり得ます。しかし、北九州工業地帯が完全に没落した現在、東京から見た北九州など、単なる一地方都市以上のものではありません。つまり、北九州アウトバウンドのビジネス需要は数多くあれど、北九州インバウンドのビジネス需要は殆ど存在しないという事です。だからこそ、北九州空港にとっては北九州インバウンド需要の創出が急務となるはずなのですが、この点で無策に愚策を重ねた結果が、現在の惨憺たる利用実績なのでしょう。
 そういう意味で、関心空間が募集しているスターフライヤーのモニターキャンペーンは、北九州空港の性質を実に象徴的に顕しています。

○「快適な日帰り出張」レポーター募集 - 関心空間

http://www.kanshin.com/campaign/starflyer/entry1

 ここで特に注目すべき部分は、この件です。

たとえば特徴である早朝・深夜便を利用すれば、朝7時30分〜夜11時まで、ナント! 最長で15時間30分も九州に滞在することが可能になります。
この機会に「こんなところにも行けちゃいました」というようなあなたらしいユニークな「出張」をレポートしてみてください。

 その「こんなところ」の一例として湯布院温泉や阿蘇山などが挙げられているのですが、穿った見方をすれば、北九州空港周辺に首都圏在住者を満足させる物件がないからこそ、わざわざ遠くの観光地へでも行けるという事を売りにするしかないという事です。言うまでもありませんが、これらの観光地へ行こうとするなら、わざわざ北九州空港など利用しなくても最寄りの空港が別途存在しますし、航空運賃の差額など現地での移動経費であっさりと減殺されてしまいます。
 これを逆に言うと、北九州という目的地そのものに十分な魅力があり、そこへ行くのに便利な空港が存在すれば、自然とその空港は旅客が集まってくるという事です。湯布院や阿蘇へ行くのにわざわざ北九州空港を利用しようなどというバカが殆ど存在しないのと同様、北九州へ行くのにわざわざ福岡空港山口宇部空港を利用しようなどというバカも殆ど存在しない……というのが、抑もの新北九州空港建設の意義だったはずです。しかし、首都圏の人間に関する限り、現状は「わざわざ北九州に行こうなどというバカは殆ど存在しない」といった所でしょうか。どんなに空港そのものが便利になろうと、その後背都市に対する需要が存在しなければ、その空港自体が無価値になるのです。この点において、新北九州空港は正に無価値の空港であると言えるでしょう。