五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

JAL富山陥落か

 3年前はかなりお世話になった路線なんですけどね。

日航、富山便含め見直し検討

日本航空が富山便の撤退を検討

http://www.kitanippon.co.jp/backno/200511/18backno.html#seiji1

 北日本新聞の記事URLは、恐らく来週以降にならないと有効にならないと思われます。一方で、北日本放送の記事URLは、1ヶ月でリンク切れになるものと思われます。タダでURLを引っ張っておきながらこんな事を言うのも難ですが、もう少しアーカイブ機能を充実させて欲しいものですね。
 で、JAL富山線なんですが、これは「痛みに耐えてよく頑張った」と言うべきでしょう。チェックインカウンターは到着ロビーの奥に押し遣られ、3便化の希望は「沖縄線に必要だから」と断られ、それでいて手荷物検査所のX線検査機は「JAL就航の所為で混雑するようになったから」と増設費用を負担させられました。2002年7月の就航当初など、JALは本当に邪魔者扱いで、同時期に就航した岡山や山口宇部での扱いから見ると、本当に気の毒なくらいでした。
 元々、富山・岡山・山口宇部の3路線は、「JAL・JAS合併によって地方路線が充実する」という公正取引委員会へのパフォーマンス用に参入した経緯があって、それぞれの空港から就航している東京線は、JAL就航まではANAの独占路線でした。それ故、地元においてはANAの営業力が強く、3路線ともJALはかなり苦戦させられましたが、その中でも特に富山では、官民一体となったJALへの嫌がらせにより、今回の撤退検討に至ってしまいました。しかし、撤退してしまえば「やはりJJ合併は寡占狙いではないか」という公取委の詰問が直撃する事になりますし、かといって路線を存続してもANAの前にジリ貧です。ここで撤退という議論をせざるを得なくなったのは、それだけJALの経営状況が追い詰められているという事なのでしょう。まぁ、トラブル云々については自業自得という面もありますが。
 では、何故富山ではANAが強いのかというと、それは偏に若狭得治の影響です。運輸事務次官時代は「運輸省天皇」と呼ばれ、全日空社長時代はロッキード事件に絡むなど、良くも悪くも影響力の非常に強い「ドン」だったのですが、その若狭得治が富山県*1の出身なのです。それ故、岡山や山口宇部とは比較にならないくらい、富山県においてはANAの存在は大きなものがあります。何せ、3年前に私が富山県庁に取材した時は、県職員がJALに対して「就航させてやってるんだからありがたく思え」と言い切ったくらいです。同時期に取材した岡山県庁や山口県庁では、「JALに就航して頂いた事をありがたく思っている」と言っていたのですから、どれだけ富山県がANA一色なのかは想像に難くありません。私も、当時の中沖豊富山県知事を「バカ沖」などと罵ったものです。
 3年前においても現在においても、羽田枠の貴重さは変わりありませんし、今なお羽田線の新設や増便を望む地方の声は数多くあります。佐賀空港大館能代空港のように、羽田線の維持に補助金を出している空港もあれば、能登空港のように搭乗率博打をしている空港すらあります。

能登空港搭乗率保証制度における年間目標搭乗率70%の達成(速報値)及び
能登空港開港1周年記念キャンペーンの展開等について

○東京=能登線 「搭乗率保証制度」にもとづく実績報告について

能登空港の搭乗率保証

http://hokuriku.yomiuri.co.jp/hoksub2/kodomo/ho_s2_04021801.htm

 そんな中、航空会社から羽田線増便の要請があったのに、無碍にそれを拒否したのは、全国でも唯一つ、富山空港のみです。羽田線の維持に苦労している他空港から見れば、富山県は何様の心算だ!」と怒りたくもなる事でしょう。



 で、今後のJAL富山線なんですが、恐らく機材を縮小しての運航継続になるのではないかと思います。先日の記事でも書いたとおり、B737-400やMD-90にもクラスJが設置されるようになりますし、既に山口宇部線MD-90での就航に切り替わっています。トラブル報道でJALへの風当たりが強くなっている現在、更にその風当たりを強くするような富山撤退は、余りJALにとっても得策ではない事でしょう。
 但し、2011年とも言われている北陸新幹線富山延伸の際には、JALは容赦なく富山から撤退する事でしょう。富山線運休の理由が「ANAに負けて」ではなく「新幹線に負けて」という事であれば、流石に公正取引委員会もそれ以上突っ込む事は出来ませんからね。それに、航空から鉄道へのモーダルシフトは、京都議定書に沿った炭酸ガス排出削減にも合致しますから、国土交通省としても富山線の運休は是認するしかない事でしょう。近距離路線が少なくなれば、その分羽田枠を長距離路線(国際線を含む)に回せますからね。

*1:私の記憶が確かならば、砺波市の出身です。