五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

スターフライヤーの半月天下

 連休の中日にプレスリリースを出してきました。

○4月搭乗実績について

http://www.starflyer.jp/starflyer/press/press_20060502a.html

 そして、それを一早く報じたのが朝日新聞でした。

スターフライヤー搭乗率、4月は大幅低下

http://www.asahi.com/business/update/0502/081.html

 もう60%割れかよm9(^Д^)プギャーッ



 私は、4月16日の記事で「断面の切り方が悪い」と書きましたが、どうやらスターフライヤーの搭乗率低迷は断面だけの問題ではなかったようです。この時の50.2%という数字はJAL便も含んでの数字でしょうが、STAR LIMITED発売期間や4月29日・30日のゴールデンウィーク開始を計算に含めても53.2%というのは、「月間で搭乗率60%を目指す」とした堀高明社長の目標を大きく下回るものであり、弁解の余地はないでしょう。先日発表した夏季運賃・ダイヤでボッタクリ態勢への移行を表明している以上、「うちはビジネス客向けの航空会社ですから」などという言い訳も通用しません。この数字は、スターフライヤーの惨敗を意味するものと読み取って間違いないでしょう。
 まぁ、日中帯運航便に限った数字で見れば、4月のロードファクターは59.2%に到達していますから、前年同月のJALANAの搭乗率に比べても決して劣るものではありませんし、一応は合格点と言えるのかも知れません。しかし、スターフライヤーのセールスポイントである早朝・深夜便について見れば、自家用車利用が比較的容易な北九州空港アウトバウンドでさえロードファクターは50%内外で、羽田空港アウトバウンドで見ると双方向とも20%前後という惨憺たる有様です。当然ながら、こんなロードファクターで採算など維持できるはずもなく、これらの早朝・深夜便はスターフライヤーの収支を大いに圧迫している事でしょう。そして、それは同時に新北九州空港の「24時間運用」に対しても利用者から不要の烙印を押されている事も意味するのです。
 取り敢えず、ダイヤを公表済みの8月31日までについては、この早朝・深夜便も運航せざるを得ないのでしょうが、少なくとも羽田空港アウトバウンドの早朝・深夜便については、貨物輸送事業への参入が本格化するまで無期限運休すべきでしょう。キャビンの赤地をベリーで埋めるというのならいざ知らず、現状はキャビンもベリーも空気輸送だというのですから、収益性云々以前に資源の無駄です。スターフライヤーも「公共」交通機関なんですから、安っぽいプライドだけで公共性のないケロシンの使い方をすべきではありません。どうしても早朝・深夜便を飛ばしたいというのなら、それに見合ったユニットレベニューを稼ぎ出せるだけの需要を開拓してからにすべきです。

 もう1つ、相変わらず定時出発率が90%未満だというのも、実に気懸かりな数字です。以前にも書きましたが、この「定時出発率」というのはあくまでも出発時の遅延が15分未満だったもののみの話であり、最も発生頻度が高い到着時の遅延は全然カウントされていないのです。現在、スターフライヤーの定時運航において最も深刻な問題は、北九州空港到着時の遅延であり、北九州空港出発時の遅延など、ターンアラウンドタイムを切り詰める事によって十分に回復可能だったりします。どうせ数字を公表するのであれば、この最も深刻な北九州空港到着時の遅延がハッキリと分かる数字を公表すべきでしょう。
 ここで、朝日新聞は遅延の理由を「風向きや航空管制官がいないこと」に求めています。しかし、少なくとも風向きなんてのは言い訳にも何にもなりゃしませんし、もし本当に風向きが遅延の原因なんだとしたら、それは新北九州空港そのものに致命的な欠陥が存在するというだけの話です。中部国際空港にしても新北九州空港にしても、最近の海上空港は横風に弱いものばかりです。その中で、神戸空港では不思議と横風による遅延なんて話は聞かないのですが、こちらは一体どんな感じなんでしょうかね。まさか、マスゴミの逆風を受けなかった空港は滑走路が横風に晒されるって事でもないでしょうしね(笑)。
 取り敢えず、新北九州空港の慢性的な遅延体質を改善するには、上記の通り航空管制官を配置する事が最も手っ取り早いんでしょうが、この利用実績を見せ付けられては、国土交通省としてもなかなか航空管制官を配置する気にはなれないでしょうね。唯でさえ人員不足が喧伝されている航空管制業務において、こんな片田舎の空港に余計な人員を割く余裕など何処にもありません。まぁ、どうしても新北九州空港航空管制官を配置したいのであれば、福岡県や北九州市補助金を積むか、米海軍の艦載機部隊を受け入れるかのどちらかしかないでしょうね。偶には、「損して得取れ」を実践してみてもいいと思うのですが。

2006-05-02 追記】
 ほぼ同じ内容で、PAXさんに先を越されてしまいました。

○PAXのひとりごと:現実は厳しい

http://blog.goo.ne.jp/boeing777-346er/e/ceb00f452e06453be168601d79c605cf

 航空交通流管理センターに関する行は一読の価値ありです。