五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

雀荘にシステムを

 さて、今週も例によってフェアリー漬けの日々だったのですが、システム屋の視点から雀荘を眺めていると、ある事に気付きます。それは、剰りにも雀荘のIT化が遅れているという事です。勿論、実際に業務を回しているメンバーにしてみれば、現在の手計算による運用の方が楽なんでしょうが、システム屋にしてみれば「ここはIT化できるのに」と思う個所が幾つもあるのです。



 例えば、フェアリーの場合、手書きの集計表で

  1. ゲーム開始時刻
  2. 対局者
  3. トップ者
  4. ゲーム代受領済み

 というものを記録*1しています。これと類似の卓稼働状況管理をしている雀荘は数多くある事でしょうが、不思議とこれをパソコンなどで集計している雀荘は殆どありません。十中八九の雀荘では、雀卓というリソースの管理が手作業で行われているのです。
 この状況を目にした時、曲がりなりにもシステム業界に携わっている人間であれば、「顧客マスタを組んでポイントカードの会員No.を主キーにすれば……」と考えるのが自然です。そして、「自動集計して業務日報を帳票出力する機能があれば、日次会計の締め処理も楽になるのに……」などと、脳内で要件定義してしまうものです。当然、リソース管理だけでなく顧客管理もIT化の対象になりますので、ポイントカードもスタンプではなく磁気カード或いはICカードにする事になります。まぁ、アニメイトのポイントカードがスタンプから印字に変わった*2のを想定してもらえればいいでしょう。
 更に、全自動卓そのものに外部インタフェース機能を設ければ、リソース管理や顧客管理と連動させて、対局者自動入力や成績管理といった事も出来るようになります。麻雀大学のように顧客の勝ち負けを集中管理しているような雀荘であれば、退店時の精算まで自動化が可能になるのです。チップの収受が一般的になっているフリー麻雀では、勝ち負けのIT化による一括管理は難しいのかも知れませんが、手計算による成績管理を実施している雀荘も数多くある事から、少なくとも全自動卓と連携した成績管理機能には一定の需要はあるものと思われます。



 では、何故雀荘のIT化が進まないのかというと、理由は至極簡単です。零細経営が殆どの雀荘では、業務をIT化する予算がないからなんですね。私みたいな常連客のシステム屋がボランティアで開発するのならいざ知らず、それなりのITベンダーにシステム開発を依頼するのであれば、最低でも200万円からの予算を見積もらなければなりません。さかえやウェルカムといったチェーン店であればいざ知らず、街中にある大多数の雀荘にとっては、この200万円というのはとても捻出できない大きな出費です。しかも、全自動卓とは異なり、業務システムは資産として計上できないのですから、余程IT化による業務効率向上が見込めない限り、雀荘のIT化は却って企業価値を下げる結果になってしまうのです。
 もう1つ、雀荘経営者がパソコンを使いこなせないという要因も、雀荘のIT化を大きく阻害しています。WordやExcelくらいなら何とかなるというレベルの業務ユーザーにとっては、リソース管理や顧客管理といった業務システムは、どうしても敷居が高く感じられてしまいます。勿論、その敷居を出来るだけ低くするのが我々システム屋の腕の見せ所なのですが、初心者レベルの雀荘経営者にシステムを使いこなしてもらう為には、徹底的な要件定義やユーザー教育が必要になってしまい、それがシステム導入費用に跳ね返ってしまうのです。
 これらの阻害要因を跳ね返し、雀荘経営をシステム化する為には、我々システム屋の努力だけではなく、マツオカやアモス*3といった全自動卓メーカーとの連携も必要になります。既に、ICタグ内蔵点棒や成績記録機能など、全自動卓という閉じた世界でのIT化はかなり進んでいるのですから、今度はそのIT化を全自動卓から外へと拡げていくべきなのです。全自動卓と顧客管理システムとの統合による総合的な「雀荘管理システム」が実現できれば、雀荘経営は新たな時代を迎える事になるでしょう。全自動卓メーカーにおいても、単に全自動卓そのものを販売するだけでなく、全自動卓を利用したシステムを販売できるようになれば、新たな収益源の確保にも繋がるのです。

 という事で、ネタだけは色々と温めていますんで、「IT雀荘」に挑戦したい方は是非私まで声を掛けて下さい。今ならお安うしときまっせー(;´Д`)

*1:この業務運用は、一見顧客の個人情報っぽく見えるのですが、カウンターでの精算時にこの集計表を目にした事がある人も多い事でしょうから、特に個人情報扱いはせず、公表してしまいます。別に、公表したからといって顧客に損害を与えるような性質の情報でもありませんしね。

*2:これって、最低でも10年は前の話ですねorz

*3:これはメーカー名ではなくブランド名のような気もしますが。