気が付いたら6月になっていました。来週には、YOSAKOIソーラン祭りで札幌に行きますが、ブロハラを開設した14年前には飛行機もホテルもJALバーゲンフェアで格安だったのに、今では1泊2万円でも宿が見付からないレベルになっています。YOSAKOIソーラン祭りの知名度が上がった事自体は喜ばしい限りなのですが、気軽に行けなくなってしまうのもそれはそれで考え物です。
さて、飛行機に乗ろうとする際には、必ず空港アクセスのお世話にもなる訳ですが、JR東日本が事業化を目論んでいる羽田空港アクセス線で、環境アセスメントの計画書が東京都から公表されました。
一次資料は、東京都環境局のホームページで閲覧が可能です。
これを見ると、所謂「東山手ルート」の計画がある程度詳細に載っているのですが、特記事項としては東海道本線との接続部が単線であるという事です。勿論、単線だから無条件に悪という事ではないのですが、空港アクセス鉄道には通常の鉄道路線よりも高度な定時性が求められますから、特に上野東京ラインと直結する東山手ルートにおいて定時性確保の大きな障害となる単線区間の設置は極めて高いリスク要因であると言うべきです。
とは言え、上野東京ラインや湘南新宿ラインまで拡げて考えると、この界隈は実に平面交差だらけだったりします。代表的な所で言うと、以下の通りです。
- 上野駅構内(常磐線下り×東北本線上り)
- 大崎駅構内・旧目黒川信号場(山手貨物線下り×品鶴線上り)
- 大崎駅構内・旧蛇窪信号場(品鶴線下り×山手貨物線上り)
- 大崎駅構内(目黒川→新宿×新宿→蛇窪)
- 品川埠頭分岐部(りんかい線下り×東臨運輸区出庫線)
これらの平面交差を旅客列車が多頻度で運行する訳ですから、ちょっとした遅延が大きなダイヤ乱れに直結し、空港アクセス鉄道としての羽田空港アクセス線への信頼を大きく損ねる事になります。一方で、これらの平面交差を解消しようとすると、莫大な事業費が必要になり、とてもJR東日本が単独で事業化できるものではありません。
一方で、仮にこれらの平面交差が全て解消し、何等かの形で東山手ルートも全線が複線化されたとしても、現在の計画では羽田空港アクセス線の羽田空港駅はたったの1面2線しかありません。Twitter界隈では、「1.5km程度の単線区間があっても毎時8本程度なら余裕で捌ける」との向きも見掛けられますが、抑も羽田空港のアクセス鉄道として片道毎時4本しかないのは剰りにも少ないと言うべきですし、新宿方面や新木場方面からの乗り入れを考えたら1面2線では剰りにも心許ないと言うべきです。恐らく、これはJR東日本が行政からの財政支援がなくても施工可能な内容として示されたものではあるのでしょうが、エルシャダイのルシフェルよろしく「そんな設備で大丈夫か?」と思ってしまいます。
そして、JR東日本が狙っているのは、この計画を受けて国土交通省や東京都が羽田空港アクセス線の容量不足を懸念する事でしょう。或いは、JALやANAといった羽田空港に就航する航空会社でも構いません。羽田空港アクセス線のステークホルダーが「一番いいのを頼む」と言ってしまえば、事業主体であるJR東日本の返答は唯一つです。
「じゃあ、その分の費用はお前が負担しろ」
個人的には、自動車安全特別会計の空港整備勘定(平成19年度までの空港整備特別会計)を投入してでも、羽田空港アクセス線は将来の多頻度運転に十分耐えられる設計にしておくべきだとは思うんですけどね。空港アクセス鉄道で設計をケチって大失敗した事例は、新千歳空港や関西国際空港で十分に見ているはずなんですが。