五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

スカイマーク「第二の創業」は半年でグダグダ

 さて、復活早々新北九州空港スターフライヤーばかりを追い掛け回しているブロハラですが、一方でスカイマークもかなりグダグダになっているようです。ブロハラ休眠中のプレスリリースを見るに付け、段々と頭痛がしてきました。以下、本稿に関係するプレスリリースのみを列挙します。

○2006年9月1日〜9月30日ご搭乗分の運賃を届出

○2006年9月の運航ダイヤを申請
羽田-神戸線を1往復増便、羽田-那覇線 季節定期便の運航期間が確定

○2006年9月1日〜9月30日ご搭乗分の運賃変更を届出

○2006年9月11日〜9月30日ご搭乗分 運賃一部追加値下げを届出

○「羽田-那覇線」2往復の定期便運航ダイヤ申請および運賃届出

○2006年10月1日〜10月31日ご搭乗分の運賃を届出

http://www.skymark.co.jp/company/inverstor/060731_press.pdf

 全部PDFなので読むのが面倒になるのですが、要約すると以下の通りです。

  • 普通運賃の夏季値上げを恒久化
  • 前割2/3/5/8/10の新設
  • 那覇線の定期便昇格及び昼間運航への変更
  • 10月以降の札幌線減便

 最早、「第二の創業」は完全に換骨奪胎されてしまいましたね。今年6月までのシンプルな運賃表がウソのようです。折角、「第二の創業」で運賃体系を単純化したのに、前割運賃を濫造して普通運賃の価値を自ら貶めているのですから、開いた口が塞がりません。
 確かに、大手航空会社や他の新規航空会社が多種多様な割引運賃を設定し、スカイマークの運賃体系に相対的な割高感があったのは事実です。しかし、スカイマークが前割運賃の濫造に追い込まれた最大の理由は、他社の攻勢でもなければ新幹線との競合でもありません。それは、スカイマーク自身が絶対的な低価格路線を放棄し、割引運賃の追加設定や普通運賃の値上げに踏み切ってしまった事なのです。
 この事については、以前から散々指摘してきた事なのですが、スカイマークの自縄自縛は、ここへ来ていよいよ最終局面に入ってきた感があります。既に、普通運賃の割安さという優位性は完全に失われ、各種割引運賃にしても大手航空会社の射程圏内に入ってしまいました。こうなると、運賃以外にセールスポイントを持たないスカイマークに、劣勢を跳ね返すだけの力はありません、今後は、ジワリジワリと大手航空会社にシェアを奪回され続ける事でしょう。
 そんな中、スカイマークはいよいよ那覇昼間便への参入を果たそうとしていますが、私にはとても勝算があるようには思えません。確かに、夏季深夜・早朝便の搭乗率は90%を超えましたが、これは偏に運航時間帯の妙にあったのであり、決してスカイマークそのものが認知されたという事ではありません。

スカイマークエアラインズ 2006年度 夏季ご予約状況

http://www.skymark.co.jp/company/press060821_contents.html

 低運賃だけが取り柄のノンフリルエアラインが相手であれば、大手航空会社の対抗手段は唯一つ、近接する時間帯の便を値下げするだけです。その低運賃にしても、JALANAが到底追い付けない水準ではなく、便数に至っては1日たったの2往復です。何だか、スカイマーク創業直後の福岡線と類似の事態が発生しそうな気がするのですが、スカイマークが二の舞を避けるだけの対抗策を用意しているとは思えず、札幌線のようにあっさりと力負けするのが関の山でしょう。
 こうなると、スカイマークにとって最後の砦となるのは、福岡線でも那覇線でもなく、大手航空会社の追撃がない神戸線という事になります。しかし、これとてスカイマークの地力によるものではなく、伊丹や関空との兼ね合いで大手航空会社が神戸線をお座なりにしているだけの話であり、何かのきっかけでJALANA神戸線を増便するような事があれば、スカイマークの牙城はあっさりと陥落する危険性が大です。スカイマークにとって唯一の救いは、羽田再拡張よりも前に関空二期工事が完成するという事です。この時、同時に伊丹空港の発着制限がより強化される可能性が高いのですが、羽田再拡張後の発着枠を巡る国土交通省との政治的な駆け引きにより、JALANA神戸線よりは関空線を充実させる可能性が高いでしょう。となれば、JALANAが東京=神戸線を増便するタイミングは、最速でも2009年度の羽田再拡張後という事になり、スカイマークにしてみれば約3年の猶予期間が与えられているという事でもあります。その間にどれだけ神戸でのブランドイメージ構築を進行できるかが、スカイマークの存否をも決定する事になるのです。
 今からでも遅くはありません。濫造し過ぎた割引運賃を一掃し、絶対的に安価な普通運賃に一本化する事、そして、就航路線を厳選し、大手航空会社に負けないだけの便数を用意する事、これこそが、スカイマークがノンフリルエアラインとして2009年以降も生き残る唯一の方法です。スカイマークが自らの低価格路線を信じられなくなった時、その機体に輝く一つ星は死兆星へと変わるのだという事を、スカイマークは改めて肝に銘じておくべきでしょう。中途半端に安価なノンフリルエアラインなど、消費者は誰も望んでいないのです。