五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

スターフライヤーが遂にFFPを開始

 という事で、本日のメインニュースです。

スターフライヤー マイル会員制度スタートについて

http://www.starflyer.jp/starflyer/press/press_20060912_mile.pdf

 ああ、例の地元会員ね……とスルーしていたら、どうやら全く違う会員制度のようです。そういえば、地元会員制度のプレスリリースでも、「スターフライヤー個人会員」なんて文言が出てきていましたね。

○11月運賃届出について

http://www.starflyer.jp/starflyer/press/press_20060901.html

 結局、この個人会員とやらの正式名称が「マイル会員制度」になったようですが、剰りにも捻りのないネーミングセンス(のなさ)に、私は思わず頭を抱えてしまいました。どうやら、デザイナーズエアラインにネーミングセンスは必要とされていないみたいですね。



 さて、頭痛を惹起するような組織名はさておき、重要なのはプログラムの内容です。入会や搭乗によってどのような特典を得られるかが、FFPのキモなのです。果てさて、スターフライヤーの場合は……

  • 入会
    • 年齢制限なし
    • 入会金は無料
    • 年会費は未公開
  • マイルを貯める
    • 片道普通運賃で搭乗時の積算マイル:534マイル*1
    • 割引運賃で搭乗時のマイル積算比率は未公開
    • 獲得マイルの有効期限は未公開
  • 会員特典
    • 12,000マイルで往復無料航空券と交換
    • マイル実績に応じた各種プレゼント
    • オリジナルグッズの限定販売
    • 会員限定ツアーの販売
  • 早期入会特典
    • 12月までに入会すると以下の初回搭乗ボーナスマイル
      • 一般会員:1,000マイル
      • 地元会員:1,500マイル

 まぁ、例によって大事な部分にマスクが掛かっている状態で、果たして使い物になるのかならないのか皆目見当が付きません。とはいえ、例によって地元会員を優遇して首都圏在住者の反感を買うお家芸は披露されていますから、またぞろ首都圏での認知度が伸び悩むであろう事は想像に難くありません。



 取り敢えず、マスクが掛かっている部分について、私なりに予想してみました。

年会費:1,050円(消費税込み)

 本来、この手のFFPで入会費や年会費を取る事自体が異例で、当然ながらJALANAFFPの入会費や年会費は無料です。しかし、スターフライヤーのプレスリリースを見ると、年齢制限に触れておきながら「入会費なし」と年会費への言及を避けています。ここから想像できるのは、年会費を有料にしようとしているから「入会費無料」を強調しているのではないか、という事です。もし、年会費も当初から無料にしようとしているのであれば、プレスリリースの文言は当然にして「入会費・年会費なし」になるはずですからね。
 となると、気になるのはその年会費が幾らになるかですが、私はこれを1,050円と予想しておきます。これといって根拠はありませんが、「この程度なら入ってもいいかな」と思える年会費の上限が、私にとっては1,050円です。これが2,100円になってしまうと、JALカードANAカードの年会費と同額になってしまいますから、一気に入会の障壁は高く感じられる事でしょう。恐らく、その辺はスターフライヤーの中の人も重々承知ですから、「この程度までなら徴収できる」というギリギリの価格設定にしてくるはずです。
 日本人は、旅行中だと1,000円までは小銭に感じるようで、海外の土産物屋に行くと「1,000円ポッキリ」という価格設定をよく見掛けます。下手すると、1個400円以上もするような小物が「5個で1,000円」などと叩き売りされる事もあり、余程夏目漱石野口英世が低く評価されているのかなぁと思う事さえあります。まぁ、私なんかは海外で「1,000円」という声を聞く度に超反応で「買不起*2」と手を払ってしまいますが、他の日本人は面白いように1,000円均一に引っ掛かっています。特に、特定アジアにおいてはこの傾向が強く、支那や朝鮮へのツアーは得てして「特定アジア買い出し紀行」となるのです。
 となると、もし本当にスターフライヤーがマイル会員制度の年会費を1,050円に設定していたとしたら、スターフライヤー民度アルかニダにも劣るという事になりますね。まぁ、北九州の民度自体、決して高いとは思えませんが。

マイル積算比率:JALマイレージバンクと同じ

 要するに、こういう事です。

  • 普通運賃系:100%(534マイル)
    • 片道運賃・往復割引・回数券など
  • 正規割引運賃:75%(401マイル)
    • STAR1/7/28・STAR LIMITED・スターQ割など
  • 包括割引運賃:50%(267マイル)

 他に、団体包括割引運賃などマイル積算対象外運賃も幾つか出てくるんでしょうが、基本は上記の3種類だと思って間違いありません。もし、スターフライヤーが他路線に展開したとしたら、この積算比率がそのまま適用されるものと思っていいでしょう。
 では、何故ユナイテッド航空ノースウエスト航空のように「一律100%積算」になるとは思わなかったのかという事ですが、それは534マイルという区間マイルの設定があるからです。現時点では羽田=北九州の1路線しか運航していないスターフライヤーの場合、全運賃を一律100%積算とするのであれば、わざわざ区間マイルなんか設定する必要はありません。AIR DOのように、単純に「搭乗n回で無料航空券」とすればいいだけの話で、こちらの方がカウントも遥かに簡便です。敢えてそれをしないという事は、搭乗回数と特典とが直ちに比例しないという事であると考えるのが妥当でしょう。
 この推論は、プレスリリースで「片道普通運賃でご搭乗の場合」という文言が出てきた事により、なお信憑性が高まります。もし、一律100%積算であれば、敢えて「片道普通運賃」などというエクスキューズを持ち出す必要はありません。こういう表現をするという事は、割引運賃での搭乗時は積算比率が下がるという事を暗示しているようなもので、その積算比率は区間マイルと同様、やはりJALANAの追随であると見るのが妥当でしょう。

マイルの有効期限:マイル獲得年の翌々年末まで

 JALANAが言う所の「最大3年間」です。これまた、JALANAに追随した設定になるのではないかという予想です。別に根拠のようなものはありませんが、区間マイルやマイル積算比率でJALに追随するのであれば、マイル失効についても追随すると見るのが妥当でしょう。
 航空会社にとって、FFP会員の保有するマイレージは立派な負債です。ここでマイレージに有効期限を設定すれば、年に1回は大幅に負債を圧縮する事が出来ますから、経営基盤の脆弱なスターフライヤーにとって、この負債クリアはFFPの必須要件であると言えるでしょう。果たして、3ヶ月に1回以上スターフライヤーで羽田=北九州を往復する人間がどれだけいたか知れたものでもありませんが、1路線しか運航していない現状であれば、死蔵されたまま失効するマイレージも相当程度出てくる事でしょう。



 最後に、上級会員制度である「プレミアム会員制度」についても触れておきます。

  • 入会資格
    • 年間60回以上の搭乗
      • カウント対象となる運賃は未公開
      • 暦年でカウントするのか年度でカウントするのかは未公開
  • 特典
    • 北九州空港ゲート内ラウンジ利用
      • 同行者の利用可否は未公開
    • 空席待ち優先
      • 予約時なのか当日なのかは未公開

 まぁ、こちらも例によってマスクだらけなのですが、羽田=北九州を年間30往復もしなければ資格を得られないというのは、かなり厳しい条件です。JALANAであれば、年間25往復*3もすれば実質的な終身上級会員資格を得られるのですから、これでは多頻度顧客が他社に逸走してしまいます。しかも、プレミアム会員の特典を行使できるのが羽田=北九州線に限られるというのですから、国内線・国際線の全路線・全便で特典を行使できるJGCSFCに比べたら、その利便性は遥かに見劣りします。
 恐らく、マスクが掛かっている部分については、JGCSFCの追随になるものと思われます。しかし、本気でスターフライヤーが多頻度顧客を取り込もうとしているのであれば、資格付与のハードルをもっと引き下げるべきでしょう。どんなに高く設定しても年間50回、路線数の少なさを考えれば年間30回に設定してもいいくらいです。競合他社よりも簡単に上級会員資格を取得できるようにしてこそ、初めて他社から多頻度顧客を奪えるというものです。
 因みに、「プレプレミアム会員」については、最早論評するにも値しません。2ヶ月間で20回搭乗という事は、年間120回搭乗するペースに相当するのですから、JALANAであれば無条件で最上級資格を取得する事が出来ます。こんな旅客は、既にJALANAの上級会員資格を保有していますから、今更スターフライヤーに靡く必要性も必然性もありません。ハッキリ言って、「プレプレミアム会員」は資格取得者の少なさ故に企画倒れとなる危険性が大です。



 以上を総合するに、スターフライヤーのマイル会員制度は、取り込むべき多頻度顧客を他社に逸走させ、徒にマイル負債だけを増大させるという為体になりそうです。まぁ、それでこそデザイナーズエアラインとしての面目躍如という事なのかも知れませんが、十年一日のデザイン先行・顧客不在ぶりには、ほとほと呆れるしかありません。ひょっとしたら、1年も経たない内に大々的な制度変更があるかも知れませんし、場合によってはマイル会員制度の廃止すらあり得るでしょう。
 取り敢えず、スターフライヤーコスモス薬品の爪の垢でも煎じて飲めって感じですね。

○「業界に先駆けてポイントカード止めた」
九州で急拡大するコスモス薬品の選択

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20060712/106156/

 このEDLPという戦略こそがローコストキャリアの王道である事は、言うまでもありません。

*1:恐らく、JALの東京羽田=北九州の区間マイルをそのまま持ってきたんでしょうね。将来のANAマイレージクラブとの統合を見据えているのでしょうか?

*2:倭訳:高くて買えねーよ、バカ!ヽ(`Д´)ノ

*3:これに実搭乗マイルの条件も付加されますが、詳細は割愛します。