五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

スターフライヤーがまたも珍運賃を発表

 9月に入っても、ブロハラは暫く休めそうにありません。

○新運賃(スターQ割・スター学割)の設定について

http://www.starflyer.jp/starflyer/news/news_20060901.html

 恐らく、スターフライヤー個人会員及びスターQ割は以前言及した「地元会員制度」を具体化させたものなのでしょうが、その時に指摘した問題点までそのまま具体化してしまっています。例によって、最も顧客として確保すべき首都圏在住者は蚊帳の外というオッペケペー丸出しの愚策なんですから、その時点でスターQ割にも自然と先が見えてしまったようなものです。



 で、スターフライヤー個人会員なんですが、思ったほど会員は集まらないのではないかなぁと思います。というのも、入会金が1,000円も掛かるという時点でJALマイレージバンクANAマイレージクラブに大きく見劣りしますし、そんな会員組織に入会しても会員専用運賃が往復割引から400円しか安くないというのですから、何の為にスターフライヤー個人会員になるのか、そのベネフィットが全然見出せません。STAR28やSTAR LIMITEDを利用すれば、わざわざスターフライヤー個人会員なんかにならなくても、スターQ割より余程安価な運賃で東京=北九州を旅行する事が出来ます。
 もし、スターフライヤーが本気で個人会員を募集しようとするなら、こんな運賃を発表する前に、とっとと「搭乗回数に応じたプレゼント」や「会員キャンペーン優先案内」といった具体的な会員特典の詳細を公表すべきです。JALマイレージバンクANAマイレージクラブに限らず、航空会社のFFPは「搭乗→マイル→無料航空券」という会員特典のフローが明確になっているからこそ、今日までビジネスモデルが続いているようなものです。一度FFPの上級会員になってみれば分かりますが、マイル獲得の手段がどんなに多様化しても、マイル獲得の基本が航空機への搭乗であるという事には何の変わりもありません。
 取り敢えず、当面の会員獲得に向けては、以下のような会員制度の詳細を公表する必要があるでしょう。

  • どれだけ搭乗すれば特典と交換できるのか?
  • 運賃による搭乗回数/マイレージ積算の差異はあるのか?
  • スターフライヤーへの搭乗以外でもマイルの獲得は可能か?
  • どのような会員キャンペーンを計画しているのか?
  • プレミアム会員制度への移行基準はどの程度か?

 その際に、居住地や勤務地による会員登録制限を撤廃すべきであるのは、言うまでもありません。今後も入会金を取り続けるというのであれば、なおさらです。



 蛇足ながら、スター学割についても触れておきます。この運賃、プレスリリースでは「STAR1より安価」とありますが、実際の運賃を見る限り「STAR7より安価」というのが正解のようです。11月分の運賃を見てみると、

  • STAR7が17,600円の便:16,000円
  • STAR7が16,600円以下の便:15,000円

 という二段階設定です。唯一、SFJ93/70便のみ*1がSTAR7よりも高い運賃設定となっていますが、

  • 搭乗当日を含む事前予約が可能
  • 搭乗当日の前便振り替えを含む予約変更は不可

 という特徴からして、実質的には学生向け特定便割引であると見なしてよさそうです。他業種においては、auが実質的な「学生向け年割」であるガク割を導入し、若年層の好評を得ています。

KDDI au: 基本料金割引サービス > ガク割

http://www.au.kddi.com/ryokin_waribiki/waribiki/gakuwari.html

 では、スターフライヤーauと同等の成功を収められるかとなると、私にはかなり疑問に思えます。というのも、絶対的に安価な料金プランである「ガク割」と異なり、時間に余裕のある学生であれば、スター学割以外よりも安価な運賃が幾らでも利用可能だからです。逆に言えば、学生がSTAR LIMITEDやSTAR28ではなく敢えてスター学割を利用するケースは殆どないという事です。社会人の突発的な出張でもあるまいし、学生の旅行が出発直前に決まる事など殆どありません。ましてや、最近では往復航空券+現地ホテルがセットになったフリープランも数多くあり、福岡発の東京フリープランは1泊2日で29,800円と、スター学割の往復料金よりも安価でホテルまで付いてきます。凡そ、スター学割が学生の移動需要に割って入る余地などないのです。
 もう1つ、スター学割について私が疑問に思っている事があります。それは、何故か小学生もスター学割を利用可能になっているという事です。別に、小学生でも学校事務室に申請すれば在学証明書を発行してもらう事は可能ですし、学割を適用する事に制度上の瑕疵は存在しません。しかし、小児運賃は全便均一で14,900円とスター学割よりも安価なのですから、敢えて予約変更に制限の掛かるスター学割を利用しようなどという小学生は皆無でしょう。こんな所からも、スターフライヤーのお座なりなマーケティング姿勢が見えてくるのです。

*1:この2便は、STAR7が13,600円に設定されています。その為、プレスリリースでも「STAR7より安価」とは掛けなかったのでしょう。