昨日・今日と散々ダメ出しばかりしてきたスターフライヤーですが、少しは建設的な意見も述べておくべきでしょう。新北九州空港には最早付けるクスリはありませんが、スターフライヤーはやり方次第で何とかなる可能性もあります。特に、スターフライヤーのA320に全席搭載される個人用液晶テレビについては、機内エンターテインメントに一大パラダイムシフトを巻き起こす可能性も秘めているのです。
ここでは、ハード面・ソフト面の両方について、これからスターフライヤーが出来る事を考えてみます。その骨子は、以下の通りです。
以下、順を追って書いていきます。
1.電気式のヘッドホンを提供する事
これは、最低限満たすべきサービスといえるでしょう。今時、エコノミークラスでも電気式ヘッドホンは常識であり、これから就航しようという機材で空気式ヘッドホン(通称:聴診器)なんか採用するようでは、その航空会社の機内エンターテインメントに対する見識が疑われます。まぁ、流石に全席に個人用液晶テレビを設置するような航空会社が空気式ヘッドホンなんて採用しないだろうとは思っていますけどね。
因みに、この空気式ヘッドホンですが、実は意外な使い道があります。それは、前後の座席間で糸電話代わりに使うというものです。幾ら静粛化が進んだとはいえ、まだまだ機内は色々と騒々しいもので、前後にいる同行者との会話もままならない事がよくあります。こんな時、空気式ヘッドホンの原始的な構造は、意外と会話に便利だったりするのです。普通席なら全座席に備え付けられていますし、非電源系ですから航空機の各種機器にも悪影響を与えません。クラスJに座っていても、たまに空気式ヘッドホンが欲しくなりますね。
2.設備のメンテナンスを充実させる事
これも、常識といえば常識です。どんなに高級な機材だろうが、どんなに充実したコンテンツだろうが、機内エンターテインメント機器が故障していたら唯の箱です。コンテンツ不足の不満は甘受してもらう事が出来ても、機材故障の不満は決して乗客が許さない事でしょう。しかも、就航したばかりのスターフライヤーで機内エンターテインメントが故障ばっかりというのでは、全くお話になりません。
機内エンターテインメント機器は、そのシステム負荷の高さにより、ちょっとした事でも不具合が発生するものです。日がな一日羽田=北九州を飛び続け、その都度酷使されるシステムなのですから、こまめなメンテナンスは欠かせません。取り敢えず、羽田空港と新北九州空港とに機内エンターテインメント専門の技術者を常駐させ、ターンアラウンドタイムを用いて全座席の画面チェックをするくらいの事はした方がいいでしょう。どうせ、A320にしては余裕のあるターンアラウンドタイムなのですから。
3.AVODに対応する事
上記2つは純粋にハード面での対策ですが、ここからはソフトの話も含めていきます。スターフライヤーは、羽田→北九州も北九州→羽田もブロックタイムが1時間35分ですから、予想されるフライトタイムは約1時間15分という事になり、巡航中にベルトサインを消灯できるのは長くても1時間あるかないかといった所でしょう。基本的に、機内エンターテインメントは巡航中しか利用できませんから、自然とそのコンテンツもこの時間内で完結させる必要があるのです。
そうなると、オーディオプログラム・ビデオプログラムとも、AVODの採用は必要不可欠といってよいでしょう。エンドレス再生だと、一度聞き逃したり見逃したりしてしまったら、その個所は二度と視聴する事が出来なくなるのです。コックピットの無線通信を実況中継*1するのならいざ知らず、基本的に機内エンターテインメントのコンテンツは全て録画・録音なのですから、個人用液晶テレビを最大限活用する為にも、是非AVODは採用して欲しいところです。フライトタイムが短いからこそ、機内エンターテインメントはエエトコドリにすべきなのです。
序でに言うと、提供するコンテンツそのものにしても、基本的には10分から30分程度のショートプログラムを中心にすべきです。流石に、1チャンネルを専有して清河への道を48番フルコーラス流すようなバカはいないでしょうが、特にビデオプログラムともなると、フライトタイムを無視したコンテンツ選択をしてしまう事がままあります。

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4.Yahoo!ミュージック及びGyaOからコンテンツの提供を受ける事
最後に、純粋なソフト面の問題です。機器もメンテナンスも完全、AVODでバッチコーイ!となったところで、流すコンテンツがなければ、全て無用の長物となります。しかし、ジェットブルーの真似をしてスカパー!やUSEN440と契約してしまおうものなら、そのコンテンツ使用料だけでかなりのコストになってしまいそうです。
こうした時に、全て自前のコンテンツだけにしてしまうというのも、それはそれで1つの対策法です。しかし、機外カメラと航空無線とで満足できる乗客など、ほんの一握りでしかありません。それに、これでは折角の個人用液晶テレビが役不足になるというもので、ケニアからはるばるもったいないばあさんワンガリ・マータイさんが「MOTTAINAI」と怒りに来るでしょう。

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双方とも、オンラインコンテンツという特質上、機内エンターテインメントにおけるシステム負荷にも柔軟に対処できるでしょうし、コンテンツの質量とも日本の無料放送では最高水準にあります。あとは、シャイロック、じゃないや、ジャスラックがオンライン配信用コンテンツの機内配信を認めるかどうかですね。実は、これが最大の壁になるような気がします。
○JASRAC ネットワーク課
http://www.jasrac.or.jp/network/
スターフライヤーの機内エンターテインメントへの採用は、Yahoo!ミュージックにとってもGyaOにとっても、認知度向上の為に多大なる貢献をする事でしょう。しかし、Yahoo!ミュージックにとってのメリットは、認知度向上に留まりません。A320のAVOD及び個人用液晶テレビというインフラが、Yahoo!ミュージックにとって新たな販路となる可能性もあるのです。
サウンドステーションは、当然ながら映像情報を伴いません。しかし、この間に個人用液晶テレビを遊ばせておく必要などありません。現在放送中の楽曲情報を個人用液晶テレビに表示すればいいのです。そして、乗客が気に入った楽曲があれば、その情報を乗客にメール配信できるようにするのです。FFPのないスターフライヤーでは手続きが面倒になるかも知れませんが、この辺は個人情報の有効活用で何等かの方法があるでしょう。将来的に機内インターネット接続が実現するのであれば、パソコン向けのサウンドステーションと同じく、気に入った楽曲を機内でオンラインショッピングなんて事も検討する価値があります。「スターフライヤー割引」のようなものでも設ければ、或いは利用者に対する新たなアプローチとなるかも知れません。
以上は、全て絵空事に過ぎず、その実現や維持には人的にも物的にも多大なるコストを伴うかも知れません。しかし、折角の個人用液晶テレビなのですから、それを最大限活用する方法は十分に検討すべきでしょう。そこそこ高い運賃を取ろうとするなら、それ相応の機内エンターテインメントも必要というものです。
従来の機内エンターテインメントは、双方向性に乏しく、そこから新たなビジネスに繋げようという意識が希薄な分野でした。だからこそ、従来の航空会社と全く異なる価値観を掲げるスターフライヤーには、機内エンターテインメントでも「一味違うホスピタリティ」を見せ付けて欲しいものです。尤も、新北九州空港を利用するような客層がエンターテインメントに全く興味を示さないようであれば、充実したコンテンツどころか個人用液晶テレビすら無駄な投資に終わるんですけどね。精々、「名古屋飛ばし」ならぬ「北九州飛ばし」が発生しない事を祈るばかりです。
*1:これはこれで、非常に聞いてみたいものですけどね。