五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

貴族としてのJGCに求められる資質と責任

 さて、こんなニュースが流れてしまっては、掲題の件についてこれ以上新春企画などといって引き延ばす事は許されないでしょう。時差も発生している事ですし、ここでキッチリと私のスタンスを示しておく事にします。



 日頃ブロハラを読んで頂いてる方々には、JGCとは一体どんな組織であるかは説明しなくてもよいでしょう。しかし、何かの間違いで今日初めてブロハラを読んでしまったという人の為に、JGCの何たるやを説明している公式サイトを紹介しておきます。

JALマイレージバンク - JALグローバルクラブ(ご搭乗の多いお客さまへ)

http://www.jal.co.jp/jalmile/jgc/

 要は、昔取った杵柄だけでJALの上級会員資格が終身保障される組織です。言い方を変えれば、JAL上級会員の同窓会みたいなものです。一部、上記手順とは関係なくJGCへのインビテーションを受けて会員になった人もいますが、大抵は「過去にJALの多頻度搭乗客だった人」で構成されていると考えて間違いありません。
 JALマイレージバンク(JMB)には、このJGCとは全く別の評価軸による上級会員制度がありますし、世界標準はその「別の評価軸」、即ち暦年毎の搭乗実績により都度上級会員資格の有無を判定する方法です。実際、JALが加盟しようとしているoneworldにおいても、やはり標準的な上級会員制度はこうした暦年毎の搭乗実績が判断基準となっています。それでもなお、JALがJGCという制度を存続させ、剰えJGCをFLY ONサファイアよりも上位に位置付け続けるのは何故でしょうか。私は、その理由を貴族制度に求めています。要は、JGCはJALにおける貴族階級であるという事なのです。



 本来、「多頻度顧客の囲い込み」だけを考えるのであれば、JGCのような終身上級会員制度は必要ありません。既に、JALにはFLY ONポイントという民主的な上級会員資格の評価基準があるのですし、乗客としても低頻度利用であれば上級会員向けの特典など余り必要ないからです。また、JALカードCLUB-A会員であれば、JGC会員が享受する特典とかなり近いベネフィットを受ける事も出来ます。最近は手荷物検査後のセキュリティエリアにカード会社のラウンジも出来つつありますから、JGCを存続する理由、或いはJGCであり続ける理由など、風前の灯なのです。
 しかし、ここでJGCを上級会員ではなく貴族であると見なせば、話は別です。JGCに入会するには、JALカードCLUB-A会員として高価な年会費を払わなければなりませんから、単なる上級会員志向だけでは維持できません。JGCに入会する事は、即ちJALへの終生の忠誠を誓う事なのです。だからこそ、毎年の搭乗実績によって資格を与奪される平民とは異なり、カード年会費だけでその身分が生涯補償されるのです。
 では、貴族たるJGCに対して、JALはどうある事を要求しているのでしょうか。言うまでもありません。JALの忠誠な顧客として、他の乗客の模範となる事です。JGCがイメージリーダーとなってJALの紳士的なイメージを築き上げ、そのイメージを以てJALに紳士的な顧客を育成し、JALと顧客とが相互に発展する事、これこそがJALの描く理想像でしょう。
 他の乗客の範たる為には、単に自己の利便のみを考えてJALを利用する事は許されません。乗客全体の利便に配慮し、運航乗務員や客室乗務員の円滑な業務に貢献し、JAL及びその利用者全体の環境改善に資してこそ、初めてJGCといえるのです。そういう意味で、真にJGCたり得る為には、高度にスーパーエゴが発達している必要があるのです。JGCが貴族制度である限り、その会員には常にスーパーエゴが求められるといってよいでしょう。

 そういえば、2ちゃんねるにこんなコピペがありました。

僕は道を歩いていて、ときどきクスッと笑うことがある。
「ああ、自分は天下のJGC会員なんだ」と思うと、嬉しさがこみ上げてくる。
JGCに入会してから2年。
JGCキットが届いたときのあの喜びがいまだに続いている。
JGC JALグローバルクラブ」・・・・・
その言葉を聞くと、僕は自然と身が引き締まります。
JGC会員の先輩方に恥じない自分であっただろうか・・・・。
しかし、先輩方は僕に語りかけます。
「いいかい?伝統というのはJGC会員が作り上げていく物なのだよ」と。
僕は感動に打ち震えます。
JGCが何をしてくれるかを問うてはならない。
君がJGCに何をなしうるかを問いたまえ」
僕は使命感に胸が熱くなり、武者震いを禁じえませんでした。
でもそれは将来日本の各界をになう最高のエリートである僕たちを鍛えるための
天の配剤なのでしょう。
JGCを作りあげてきた会員はじめ先達の深い知恵なのでしょう。

JGCを所有することにより、僕たち会員は伝統を日々紡いでゆくのです。
嗚呼なんてすばらしきJGC
知名度は世界的。人気、実力すべてにおいて並びなき王者。
素晴らしい実績。余計な説明は一切いらない。
グラホの人には「JGCです」の一言で丁重の眼差しが。
合コンのたびに繰返される旅行好きな若い女性たちの側からの交際申し込み。
搭乗口前のマダム達からの熱いまなざし。
そして優先搭乗のたびに味わう圧倒的なJGCパワーの威力。
JGCを所有して本当によかった。

 まぁ、所詮コピペですから、85%は読み流しても構わないのかも知れません。しかし、私はこの一節に強い感銘を受けました。

JGCが何をしてくれるかを問うてはならない。
君がJGCに何をなしうるかを問いたまえ。

 果たして、それだけの使命感或いは責任感を抱いているJGCは、12万人といわれる会員数の内どれだけいるのでしょうか。少ない経験から私が見る限り、JGCの殆どは使命感も責任感もなく既得権益にしがみついているだけの残滓であり、とても貴族と呼べるようなものではありません。私にとってのJGCの平均像は、

  • チェックイン締め切り時刻に平気で遅刻する。
  • 出発直前になってもサクララウンジでビールを呷っている。
  • 事ある毎に客室乗務員を呼び付け、機内業務の進捗を阻害する。
  • 少しでもイレギュラーが発生すると、烈火の如く怒り狂う。

 と、模範どころかJALの恥部そのものです。JALに対して特別な敬慕の念を抱かない人々にとっては、こうした恥部こそがJALのイメージなのです。



 アジア・太平洋戦争での敗戦により日本から貴族制度が消滅して60年、JGC会員に対して「Noblesse Oblige」の精神を求める事自体に無理があるのかも知れません。しかし、自らがJGCであると自覚する以上、自分自身の行動がJAL或いは他の旅客から常に環視されているという意識だけは持っていて欲しいものです。それだけでも、自然と機内外での行動に自律が生まれるものです。
 それでもなお自らのスーパーエゴに不安があるというのなら、せめてこれだけの事でも進んで実践して下さい。

  • 時刻表に書いてある注意事項に従う。
  • 機内では乗務員の指示に従う。
  • 客室乗務員にはきちんと挨拶する。

 上記は何れも決して難しい事ではありませんし、世間一般には「常識」とされる事です。その「常識」すら守れていないのが、現在のJGCなのです。それは、「当たり前」とされる安全対策すら徹底できていないJALそのものに通じる所があるのかも知れません。
 繰り返しになりますが、JGCは貴族なのです。JALとJGCとが相乗的に発展してこそ、初めてJGCの存在意義がJALに認められるのです。JGCの存続がJALにとって不利益でしかなくなった時、JALは容赦なくJGCを切り捨ててくる事でしょう。JGCが廃止にならない為にも、是非JGC会員にはNoblesse Obligeの精神を抱いて欲しいものです。