五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

いすみ鉄道の気になる客層

 さて、2年くらい前から「荒川も相模川も越えていない」とぼやいていた私ですが、先日久々に荒川を越えてきました。それも、仕事だの家族旅行だのではなく、純粋な乗り潰しです。というのも、JR東日本からこんな都合のいい企画乗車券が出てきたからです。

○パワフル×スマイルちばフリーパス

http://www.jrchiba.jp/event/campaign/pdf/pawasuma.pdf

 これで小湊鐵道いすみ鉄道を同時に片付けるとともに、今まで手付かずだった成田スカイアクセス芝山鉄道も乗ってしまおうと、土曜日の朝から1日掛かりで千葉県を乗り回してきました。その結果、目論見通りの乗り潰しは完了したのですが、そこで気になったのは、いすみ鉄道で乗り合わせた客層でした。というのも、どうやら乗客の85%が鉄ヲタなのです。
 今回、私は以下のような行程で乗り潰してきました。

京成上野0920(スカイライナー17号)1004成田空港……東成田1052(芝山鉄道)1056芝山千代田1110(芝山鉄道→京成東成田線)1120京成成田……成田1142(成田線444M)1215千葉1227(千葉都市モノレール)1232県庁前……本千葉1301(内房線177M)1315五井1347(小湊鐵道)1456上総中野1508(いすみ鉄道22D)1602大原1613(外房線京葉線72Mわかしお22号)1734東京

 今回の行程のキモは、如何に効率よく五井→上総中野→大原と乗り継ぐかでしたが、大原からの脱出まで考えると、太字部分の乗り継ぎがベストチョイスでした。実際に乗ったのはパワフル×スマイルちばフリーパスの初日(2012年1月14日)でしたが、小湊鐵道で乗り合わせた乗客は、その殆どがいすみ鉄道へと流れていきました。そして、上総中野折り返し組も含めると、実に乗客の85%が単にいすみ鉄道に乗りに来ただけの客だったのです。勿論、その中には乗り潰しで遠征してきた私自身も含まれます。
 こうした乗客は、ムーミン列車やキハ52といった車両や駅舎などにこそ興味を持つものの、沿線の観光地などには大して興味を持ちません。そして、一度乗ってしまったが最後、余程のコンテンツがない限り二度とその路線には訪れないのです。実際、上総中野から22Dに乗っていた乗客の殆どはそのまま大原まで乗り通し、少なからざる人数がそのままわかしお22号へと流れていきました。中には、五井から上総中野・大原を経由して蘇我まで私と同じ行程を辿った人すらいました。
 いすみ鉄道の鳥塚亮社長は、公式ブログでこんな事を書いています。

私はまじめな人間じゃないので、ローカル線を交通機関として正面から捕えていない。
そりゃ、交通機関交通機関ですけど、他の使い道を探しているのです。

赤字を税金で負担してもらっているのだから、もっとまじめに取り組め。

そういう人も少なからずいらっしゃいます。

でも、税金で負担してもらっているから、その分鉄道が地域の広告塔になって、その地域が全国区になって、たくさんの人が来るようになるのですから、私は間違っているとは思いませんし、それで地元が納得して、故郷の風景も守ることができるのですから、外部の人間が「正論」を言っても聞く必要はないと思っています。

 確かに、いすみ鉄道には「たくさんの人」が来ているのかも知れません。しかし、その乗客が地元経済を潤しているのかというと、私には甚だ疑問でなりません。というか、肝心のいすみ鉄道自身ですら、社外で販売されている企画乗車券の乗客ばかり来ていては、ユニットレベニューは下落していく一方です。
 手っ取り早く乗客を掻き集める手段として鉄ヲタに目を付けたのは、鳥塚亮社長の慧眼でしょう。しかし、鉄ヲタを半永久的に釣り続ける為には、鉄ヲタ用のコンテンツを捏造し続ける必要があり、それだけ「公共交通機関としての鉄道」には無理が出てくるのです。そして、そんな捏造された「故郷の風景」が税金を投入してまで守るべきものなのか、地元の人は今一度考えた方がいいでしょう。
 公務員として、そんな違和感を抱えながら、私は東京へと帰ってきたのでした。