航空券の発売開始に合わせて少しずつ公式サイトが変更されていったスターフライヤーですが、遂に機内サービスの詳細が公表されました。
○スターフライヤー/サービス
http://www.starflyer.jp/service/service.html
従来の「Mother Comet」が概要設計なら、この「サービス」は詳細設計といったところです。これで、私がhttp://d.hatena.ne.jp/MayField/20060109#starflyer:思い込みで批評した機内サービスについても、もう少しまともな検討が出来るというものです。出来れば、首都圏でもシートの実物を展示して欲しいものですが、ここは公式サイトから読み取れる事だけで何とか頑張ってみます。
1.機内エンターテイメント機器
残念ながら、AVODには非対応のようです。まぁ、これは期待を裏切り予想を裏切らない結果といえるでしょう。但し、人間工学的に操作しやすいタッチパネルを採用した事は、高く評価してもいいでしょう。最近では、カーナビでもATMでもタッチパネルが一般的になっていますから、ついつい液晶モニターを見ると画面をタッチしたくなるものです。
肘掛けのコントローラーは予備ですね。十分な座席幅や肘掛けスペースが確保されていない普通席の場合、肘掛けのコントローラーは得てして誤操作の元になります。このコントローラーがどれだけ役に立つかは、タッチパネルの信頼性次第でしょう。
電源コンセントのレイアウトは、かなり無理をしているような印象を受けます。写真を見た限りでは、コンセントが肘掛けの前面にあるのか側面にあるのかが不明です。しかし、前面なら窓側の客が通路へと行き来する時に引っ掛けられますし、側面なら電源ケーブルが乗客の太腿と干渉します。やはり、普通席で電源コンセントというのは、些か勇み足だったような気がします。どうせ、そんなに飛行時間は長くないのですから。
2.INFLIGHT CHANNEL
個人用液晶テレビでは、ビデオ放送が6チャンネル・オーディオ放送が6チャンネルで、合計12チャンネルのコンテンツがエンドレスで放送されるようです。そのコンテンツはというと、以下の通りです。
- movie 6CH
- audio 6CH
- 7ch:クラシック音楽
- 8ch:ヒーリング(癒しの音楽)
- 9ch:未定
- 10ch:未定
- 11ch:未定
- 12ch:未定
何なんですかね、このしょっぱ過ぎるコンテンツは。折角の個人用液晶テレビでゴルフレッスンやら自社広告やら流すだなんて、役不足にも程があります。コンテンツに関する限り、スターフライヤーはジェットブルーの劣化コピーであると言い切って間違いありません。
強いて及第点をあげられるとするなら、ビデオ放送のコンテンツが15分から30分というショートプログラムであるという事です。まぁ、これとてレインボーセブンが10年前に通ってきた道で、往時の「JASポケットビジョン」は全てが15分から20分程度のショートプログラムでした。それは、現在の「JAL Entertainment Network」においても継承されています。こんな事は、国内線キャリアの常識というべきでしょう。
取り敢えず、今からでも遅くありませんから、ビデオ・オーディオともにスターフライヤーの核となるようなキラーコンテンツを入手すべきです。ゴルフレッスンのビデオを流すくらいなら、新人映画監督のショートフィルムでも流した方が、余程スターフライヤーのデザインコンセプトにも合致する事でしょう。どうせ、ゴルフに熱心になるようなオヤジどもはJALに乗るんですから。
3.お飲み物/アメニティ
これだけは、そこそこまともなラインナップを持ってきましたね。まぁ、そこそこ高い運賃を取ろうっていうんですから、飲み物くらいまともなものを提供して当然というべきでしょう。こんな所までケチるのであれば、スカイマークくらいに運賃を値下げすべきです。
スターフライヤーの機内で提供される飲み物は、以下の通りです。
どうやら、コーヒーはきちんと機内でドリップするようですね。競合するJALはクラスJのみレギュラーコーヒー*1ですから、アドバンテージになる……かな?
因みに、「新日本製鐵八幡製鐵所製造のスチール缶」というのは、こんなキャンペーンに乗っかっているようです。
○スチール缶ビール協賛店の募集のご案内
http://www.yawata.nsc.co.jp/pg_steel/pg_steel.htm#bosyu
塗装時の光沢を気にするビール缶においては、スチール缶よりもアルミ缶の方が人気が高いんですけどね。だからこそ、国内スチール缶の最大手である東洋製罐も、TULC技術をアルミ缶に持ち込んでaTULCなんて製品を発売しているんですが。
○aTULC(Aluminum Toyo Ultimate Can)
http://www.toyo-seikan.co.jp/product/atulc.html
ビールメーカーがスチール缶を受け容れるようになったら、ビール缶のシェアも圧倒的に東洋製罐のTULCが占める事でしょう。既に、アルコールを除く飲料缶については、東洋製罐の一人勝ちといった状態ですからね。
以上、具体的な機内サービスを概観してきましたが、やはり「一味違うホスピタリティ」と言うには些か物足りない感じがします。どうせ補助金やハゲタカファンドで運転資金は潤っているんですから、ここはもう少し機内サービスを奢ってもよかったでしょう。このままでは、スターフライヤーの機内サービスに期待していた向きから「見掛け倒しだ」と批判されても文句は言えません。
それでも、就航当初はご祝儀相場でそこそこ利用もされるでしょう。しかし、乗る度に満足度が高まるようなホスピタリティでなければ、スターフライヤーの顧客忠誠心は一向に高まりません。スターフライヤーに高イールドを齎すのは、株主優待運賃で座席を買い叩く株主企業ではなく、スターフライヤーの評判を口コミで広めるような一般ユーザーです。既に、イメージ戦略では新北九州空港もろとも圧倒的な勝利を収めているのですから、そのイメージを裏切らないよう、実サービスの水準も上げて欲しいものです。
*1:但し、ギャレー清掃後にコーヒーを頼むと、普通席用のインスタントコーヒーを提供される事もあります。これは、客室乗務員のオペレーションを無視した注文をする乗客が悪いだけです。