五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

JALが定時出発に本気を出している模様です

 という事で、自戒の意味も込めて、こんな告知記事を紹介しておきます。

○定時出発のため、お客さまにお願いしたいことがございます

http://www.jal.co.jp/info/regulartime.html

 少しでも民間航空の知識がある人間なら、航空機の出発時刻が改札口のクローズ時刻ではなくプッシュバックの開始時刻であるという事は常識なのですが、航空会社の懸命な告知にも関わらず、なかなか一般旅客にまでこの事が浸透しているとは思えません。これがJR東日本ならば、「戸閉めヨシ、発車!」とドアクローズ=出発となるのですが、航空機の場合はドアクローズ後にも色々と手続きを踏まなければプッシュバックすらする事が出来ません。その詳細な手続きについては、上記記事で分かり易く書かれていますが、別に航空機の出発手続きなんかに興味がないという人は、搭乗口には時刻表所載の出発時刻の10分前までに着かなければならないとだけ覚えておいて下さい。



 上記記事の中で、特にJALの本気度が強く表れているのは、この部分です。

このようなことから、JALでは、お客さまにお早めにご搭乗いただくようご案内に努めておりますが、定刻の10分前を過ぎても搭乗口にお越しにならないお客さまがおられ、定時出発ができなくなると判断された場合には、定刻を待たずにご搭乗をお断りすることがございます。
※強調部は原文ママ

 以前日経BPの記事でJALの運航トラブルが取り上げられた時に、定時出発の確保が如何に困難であるかという事について書きました。ドアモード変更忘れが発生した主因は、少しでもプッシュバック要求を早く実施する為のオペレーションチェンジでしたが、本来の出発手続きに戻った現在、JALにおける出発遅延は更に深刻な問題となっているのでしょう。先月(2007年9月)の運航実績を見ても、国内線の定時出発率は95.7%とそれほど高くなく、全部で840便が遅延しています。そして、その4分の1以上は、「悪天候」「機材故障」「機材繰り」の何れにも該当しないのに遅延する「その他」になっているのです。

JAL企業情報 - 運航実績(運航情報)

http://www.jal.com/ja/operate/graph.html

 この230便の内、どれだけの便が航空機の定時出発に無理解な旅客によって遅延したのかは判りません。しかし、JALが航空機の定時出発に向けてこれだけ強いメッセージを発信しているという事は、少なからざる便が旅客引責による遅延であるものと予想されます。預託手荷物の時にも書きましたが、航空機の定時運航は乗客全員の協力あってこそなのです。未然の事故を防ぐ為にも、搭乗口には早めに向かうようにしましょう。特に、JML*1JGPは国内線でも優先搭乗できるようになったのですから、「最後に搭乗するのは恥」くらいに思うべきです。



 因みに、航空機の出発時においては、搭乗口から機内へ「ゲートクローズ5分前」のアナウンスをします。これは、「凡そ5分以内に乗客の搭乗が完了する見込みである」という意味でのアナウンスであり、決して5分後のゲートクローズを確約するものではありません。しかし、機内では運航乗務員も客室乗務員もこのアナウンスを目安に出発準備を進め、場合によっては地上管制にプッシュバックの予約を申請する事もあります。それ故、既にチェックインを済ませているはずの旅客が行方不明になっている場合は、ある程度の猶予時間を以て遅刻者を見捨てる判断を下す事もあるのです。
 もし、自分がその「遅刻者」に該当していると思った時は、一刻も早く近くの航空会社地上職員(GH)に声を掛けましょう。そうすれば、トランシーバーで搭乗口のGHに現在位置を連絡してくれますから、同一ターミナルビル内であれば、嫌な顔一つして搭乗を待ってくれています。羽田空港第2ターミナルビルがオープンした直後は、ANA便搭乗者が誤って第1ターミナルビルに向かってしまい、チェックインが済んでいるにも関わらず置いてけぼりを食らったケースがあったようですが、これも一刻も早くGHにアピールしていれば、乗り遅れなくて済んだ可能性が大です。自分の座席を確保し、航空会社の中の人を安心させる為にも、アピールは早めにしておくに越した事はありません。

*1:JMB DIAMONDの略です。