五月原清隆のブログハラスメント

これからは、セクハラでもない。パワハラでもない。ブロハラです。

四国新幹線の問題点

 10連休の最終日に、日帰りで大阪へ行ってきました。メインの目的は麻雀でしたが、折角大阪へ行ったのだからと、おおさか東線を乗り潰すと共に、恵美須町のモモモグラで開催されている「漫画ローレンス展」に行ってきました。

 流石に、お土産を買おうにも、職場に持ち込んだらセクハラで一発レッドカードの限りなくアウトに近いアウトな商品しかありませんでしたから、手ぶらで帰ってきましたけどね。

 さて、またも新幹線ネタです。これまでは長崎新幹線の話ばかりでしたが、今回は四国新幹線の話です。

 このツイート主に些かの事実誤認は見受けられるのですが、私自身は「四国新幹線は不要」という立場です。但し、これはあくまでも四国新幹線整備新幹線として建設するならばという前提であり、四国4県が地域単独事業として四国新幹線を建設するのであれば、住民の総意に基づく限り外野が口を挟むべきではないと考えます。

 整備新幹線のスキームで四国新幹線を建設しようとする場合、その着工時期はどんなに早くても北陸新幹線敦賀=新大阪が開通する2046年度以降になります。現時点でさえ、JR四国の沿線自治体は過疎化に次ぐ過疎化で旅客需要が落ち込んでいるというのに、これから更に四半世紀も経過した後となれば、最早B/Cの計算すら出来ないレベルまで沿線自治体の人口減少が申告になっている事が予想されます。そして、JR四国の経営状態も極めて深刻な事態に陥り、現在のJR北海道のような立場に置かれている事でしょう。

 では、これから速やかに四国新幹線を事業化するならばという話ですが、これは全く現実味がありません。と言うのも、整備新幹線のスキームによる着工を待たないという事であれば、事業費に係る国費負担は一切期待できないという事になりますから、事業費の全額を四国4県や沿線市町村で負担する必要があります。当然ながら、JR四国にも自社事業として四国新幹線を建設できるだけの余裕はありません。構想を練るだけならタダかも知れませんが、いざ四国新幹線を建設しようとなれば、その費用を誰が負担するのかという議論で早々に行き詰まってしまいます。

 となると、今度は「四国4県の身の丈に合った輸送力増強」という事で在来線の改良という考え方も出てきますが、残念ながらJR四国の在来線に改良の余地は殆ど残されていません。JR四国の特急形車両が振り子式車両ばかりなのは、それだけ在来線の線形が悪いという事でもあり、これを改良するとなると線路の大幅な付け替えが必要になってしまいます。新幹線であれば、駅付近以外は山間部を長大トンネルで貫く事も可能ですが、在来線の改良となると既存駅の経由は不可避となる訳で、若干の駅移設を受容するにしても土地買収費用だけで膨大な金額になってしまいます。勿論、複線化なんかしようものなら、更に事業費は膨れ上がってしまいます。

 国鉄分割民営化から30年余のJR四国の歴史は、血反吐を吐くような努力で特急列車を高速化しても、結局は高速道路の開通でフルボッコにされるという繰り返しでした。その昔、国鉄改革において角本良平氏が「四国の線路は全て剥がしてしまうべき」と主張していましたが、四国新幹線を建設する財源が沿線自治体になく、整備新幹線のスキームで順番待ちしている間にJR四国の体力が尽きる可能性も高い事を考えると、これからのJR四国が進むべき道は、現状維持よりも寧ろ縮小均衡です。どんなに在来線特急を高速化した所で、線形という根本的な問題が解消されない以上、高速道路を走行する自家用車や高速バスへの勝ち目はないのですから、先ずは車体傾斜式車両による高速化自体を諦める所から始めるべきです。振り子式車両に代表される車体傾斜式車両は、開発費や維持費が高額になるだけでなく、軌道への負担も大きくなります。それならば、今後開発・導入する特急形車両は、車体傾斜装置を省略し、最高速度も予讃線で110km/h程度に抑えた方が、高速バスとの競争力こそ失っても、特急形車両として「維持可能」なものになるでしょう。

 そして、これらの縮小均衡により特急列車も普通列車も採算を維持できなくなるのであれば、その時はいよいよ「四国における鉄道の要否」というテーマに真正面から向き合うべきです。正直な所、四国程度の人口規模や経済規模しかないのであれば、都市間輸送において鉄道と高速道路との両立が必要とまでは言えない可能性もあります。少なくとも、形式上は民間企業であるJR四国に路線維持の負担を押し付けるのは酷な話で、在来線を維持しようとするのであれば、四国新幹線の建設の有無に関わらず、行政の積極的な財政支援が不可避となります。あとは、四国4県が鉄道の維持に対してどれだけの財政負担を受容できるかの問題です。取り敢えず、「鉄道はタダでは維持できない」という認識は、四国4県の住民に(当然それ以外の住民にも)広めるべきでしょう。